百五十一話 辺境の街の様子
今日は軍務卿と合流して、レイクランド辺境伯領の国境の街まで行く予定。
朝早くに軍務卿がレイクランド辺境伯の屋敷に着いて、朝食を食べたら馬車に乗って出発。
軍の警備もついているので、護衛はバッチリ。
レイクランド辺境伯様も、視察を兼ねて一緒についてきます。
「うわあ、綺麗な湖だね」
「夏になると、湖のほとりで遊ぶ人も多いですよ」
「そうなんだ!」
道中はレイクランド湖沿いに道を進んでいく。
リズとスラちゃんは、窓に張り付いて景色を眺めている。
ちなみに僕とプリンはちょっとお休み中。
プリンは何時もの事だが、僕は昨晩寝るときに何回も侍従が様子を見に来たので、寝るのが遅くなってしまったのだ。
そして、今は侍従の膝枕で寝てしまっている。
「お兄ちゃん、起きないね」
「日々の疲れもあるのだろう。寝かせてあげなさい」
「はーい」
そんな会話が聞こえたかどうかはわからないが、馬車はトコトコと進んでいく。
僕が起きたのは、昼食を食べるために寄った村に着く直前だった。
「すみません、ずっと膝を借りてしまって」
「いえいえ、お昼寝の時も遠慮なく使ってください」
僕は侍従に申し訳なく言ったが、侍従は何故か肌つやがいい状態で笑顔で遠慮なくと言っていた。
「このお魚、骨まで食べられるよ」
「良く煮てあるので、骨も食べられて栄養もいいですよ」
「そうなんだ」
昼食で出てきた魚は、前世でいうさばの味噌煮みたいに骨まで柔らかく煮込んである。
リズもスラちゃんもプリンも、お魚をいっぱい食べているぞ。
流石にこの世界には、刺身は無いようだ。
昼食後は準備して再び出発。
少しの間僕とリズはお昼寝をして、無事に国境の街に到着した。
お昼寝の間再び侍従に膝枕をしてもらったが、侍従の方がいい経験になったと言っていたぞ。
馬車はこの街の代表の所に到着。
代表は何だか普通の役人って感じの人だった。
「元々、副代表の悪い噂は有名です。とても欲の深い人間です。それが王国と帝国に喧嘩売ったとなると、いつかは分かりませんが何かをやってくる可能性は高いです。我々にとってみればたまらない事ですが」
「共和国から帝国に行くには教皇国を通らないと行けないので、先ずは王国を狙うと見ていいだろう」
「後は共和国内で副代表にどの様な処分を下すかになりますね。帝国から共和国まではどの位かかりますか?」
「馬車だと最低十日間はかかるが、今回は移送を早めているらしい。途中各国で開発されている魔導船を使う可能性もあるな。それでもまだ共和国には着いていないだろう」
無事に副代表が共和国まで移送されて、共和国で何らかの罰を受けて貰えば良いが、こちらの思い通りにはならないだろう。
最低でも副代表の処分が確定するまでは警戒を強化しないといけない。
という事で、レイクランドの街の郊外にある駐屯地とゲートを繋ぎ、追加の兵を配置した。
勿論、国境の街やレイクランドの街に加えて、街道も警備を強化するという。
「うーん、怪しい人はいないよ」
「そうだね。普通の人ばっかりだね。酔っ払いはいるけど」
国境の街を少しだけ歩いたけど、周囲には不審者はいなかった。
レイクランドの街に戻っても、特に怪しい人は今の所いないようだ。
今日は軍務卿もレイクランド辺境伯様の屋敷にお邪魔して、夕食を食べながら色々と話した。
「しかしながら、アレク殿下の魔法は物凄い。僅か二日で守備が整ってしまったぞ」
「今回は魔導船も使いましたから。僕は初めての場所にはゲートは繋げられません」
「それでも大量の兵を街道を使って運ぶとなると、何かあると察知されます。ゲートですとその心配も少なくなります」
「既にホーエンハイム辺境伯領で実践済みだが、アレク君の魔法は機動力を大幅に高める。アレク君がいるといないとでは、戦力にも差がでるのだよ」
でも、今日の対応だともしかしたら僕がいなくても大丈夫だったのではと思ってしまう。
とはいえ、これで応急対策は完了。
後は、共和国がどんな対応するかを待つばかりだ。
「とはいえ、アレク君の次の行事はホーエンハイム辺境伯の所の跡取りの結婚式に自身の誕生日パーティだ。少し時間が空くから、ゆっくりした方がいいな」
「陛下の誕生日パーティは夏ですし、五歳のイベントは秋なので急ぎではないです。遊ぶのもアレク殿下のお仕事ですよ」
「うう、久々に冒険者活動もやりたいな」
「そういえば、暫く冒険者活動もやっていないね」
一ヶ月はゆっくりできれば良いかなと思っているけど、ゆっくりできるかとても不安だ。
僕とリズと軍務卿は、一晩レイクランド辺境伯様の屋敷にお邪魔してから王城に帰ったのだった。
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