第三百八十一話 巡回の強化

 今回のバスク子爵領の元人神教国の不審な動きを受け、王国のみならず帝国や公国でも警備の見直しと巡回の強化をする事になった。

 勿論王国でも監視と巡回の強化をする事になったのだが、うちのメンバーもフル活用する事になった。

 とはいえ、オリガとガルフにマリリさんとマルクは十日間の新婚旅行に行っている。

 義理堅いオリガ達は新婚旅行を延期すると言って来たのだが、それはやめてもらった。

 人に頼る組織であってはならないと、軍務卿からも説得してもらった。

 サファイアとタコヤキも新婚旅行について行って、ドワーフ自治領の温泉街とサウスレイク侯爵領を回る予定だという。

 ワープは誰が使うの? と思ったら、ドラコの母親のご厚意で赤龍便を使う事が出来た。

 これなら何かあっても直ぐに王都に戻れる。


「それじゃあ、行ってくるね!」

「行ってきます」

「夕方には戻りますので」

「道中、気をつけてね」


 とはいえ、うちからも助っ人を出す事になった。

 いつも街の巡回を行っているミケに加えて、フェアとオリヴィエも今回の特別巡回部隊に入る事に。

 更には竜人で手の空いている者も参加するという。


「ふざけた奴らがまた出てきたって?」

「商売の邪魔をしようかって魂胆かよ」


 というか、また竜王妃様自ら参戦する事になった。

 確かにドラコとルシアの母親にとっては元人神教国に自分たちの商売を邪魔された経緯もあるので、元人神教国の不審な行動は他人事ではないという。

 帝国でも白竜、公国は海竜が中心となって警備に加わっている。

 かなり強力な布陣で巡回を行う事になった。


 巡回は意外な所でも行われる事になった。


「あ、ホワイトがやってきたよ」

「何も異常はないって」

「頑張って」


 王城内はホワイトを中心として、スライム軍団の何匹かが様々な所を確認している。

 真っ白のネズミでホワイトは分かりやすいと思うのだけど、念の為にホワイト用のマントを羽織っている。

 定期的に執務室に報告しに来てくれるけど、今の所大きな問題は起きていない。

 更に、大きな都市には他のスライム軍団が派遣されている。


「毎日ポツポツと捕まっていますね」

「人神教国の企みをを撃退した所が狙われている様だな」


 対策会議も随時開かれていて、巡回情報が入ってくる。

 過去に人神教国が活動した地域で特に残党が捕まっているという。


「どうもサトーの結婚式に多くの貴族が領地から離れるから、その隙を狙って襲撃を仕掛けるつもりだったらしいな」

「王都は警備が厳重になる分、その他の地域を狙ったという訳ですね」

「王都でも騒乱を引き起こすつもりだったらしいぞ。今更騒ぎを起こしても何もならんのに」


 各地で多発的にゲリラ活動を行うつもりだったのかよ。

 暫くは巡回を継続しないとならないな。

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