第三百八十話 厳戒態勢の中の結婚式
と言うことで、厳戒態勢の中で行われる事になったオリガとガルフにマリリさんとマルクの結婚式。
上位貴族が結婚式を挙げるくらいの規模の警備になった。
勿論軍からも追加の兵がバスク子爵領に送られている。
因みに追加で送られた兵は、既に建設が始まったバスク子爵領に隣接する軍学校にびっくりしていた。
「本当はこんなに大袈裟にするつもりはなかったのですが……」
「ある意味、記憶に残る結婚式になりそうです」
「仕方ないですよ。何かあったら大変ですから」
ウェディングドレスに着替えたオリガとマリリさんが申し訳なさそうにリンに話をしているが、こればかりはしょうがない。
厳重な警備をして、何事もなければ良いのだから。
因みに、幾つかのイベントも中止となった。
ブーケトスに屋敷の外での会食などだ。
ルキアさんの時の様に外でローストビーフの実演試食を予定していたタコヤキも、中止の一報を受けてガックリと落ち込んでいた。
来賓も屋敷と馬車での移動もなくなり、全て俺とスラタロウとホワイトとショコラのワープで運ぶ事になった。
街でも大々的なイベントは中止となり、お詫びに街の人に差し入れが配られる事になった。
そんな厳戒態勢の中で、オリガとガルフそしてマリリさんとマルクの結婚式が行われた。
と言っても、特記すべき事は特になかったのだが、マリリさんとマルクの両親は既に死別していたので、マリリさんの父親役をテリー様がしている位だった。
ブーケトスも行われないので、完全に教会内で完結する内容だった。
その為に、どこで結婚式を終わりにすれば良いかわからず、笑いが起きた位だった。
その後は屋敷での晩餐会なのだが、結婚式を簡素化した反動なのかこちらは大盛り上がりとなった。
うちの小さな子ども達にバスク子爵領で預かっている小さな獣人がニコニコと料理を食べていて、そこにオーウェン様にルーナちゃんも混じっている。
俺達の結婚式で提供される予定の料理も出されていて、ある意味試食会になっている。
大人達は次々に料理を食べていて、感想を聞いても美味しいとしか言っていなかった。
そして、外での料理ができなくなって落ち込んでいたタコヤキだったが、火事が起きないように魔道コンロを持ち出して即席料理ショーを開催している。
主人に喜んで貰おうとして頑張っていて、勿論マリリさんも珍しく大喜びだった。
こうして色々あったのだが、何とか披露宴も無事に終了となった。
「人神教国の件がもう少し落ち着いたら、街の人にお礼を言いたいですね」
「そうですね、小さい時から色々と気をかけて下さいましたから」
来賓も無事に送り届け、普段着に着替えたオリガとマリリさんがポツリとこぼしていた。
今回厳戒態勢で規模を縮小したのが、やはり心残りだった様だ。
「私達の結婚式が終わったら、改めて街の人に会いに行きたいですね」
「そうだね。俺もこの街の人にはお世話になったし」
リンが話しかけてきた事に、僕も同意だ。
平和になってきたと思ったけど、もう少し頑張らないといけないな。
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