第三百五十五話 子ども達の頑張り

 簡単な昼食を取りながら、今後の対応の検討をする。

 因みに、ビアンカ殿下達はまだ帰ってこない。

 当分時間が掛かりそうだ。

 なので、レイアと簡単に話を進める。

 先ずは防壁を作らないとならないが、街の拡張性も考えないとならない。

 なので、今回はただの土壁で作成する。

 土壁といっても高圧縮なので、防御力は抜群だ。

 問題は誰にやってもらうかということだ。

 この手の作業は、ビアンカ殿下にスラタロウが得意でアメリア達もできる。

 しかし、皆襲撃犯を追いかけている。

 ララ達にフローレンスも治療で忙しいし、タコヤキも炊き出しにフル回転だ。


「パパ、ここはあの子達に頑張って貰う」

「それしかないよね」

「テントも建てたし、食料もある。駐屯地と街道作成は、明日からでも問題ない」

「しょうがない。オリガと一緒に、防壁を作って貰おう」


 という事で、防壁作りはこの子達に頑張って貰います。


「「「頑張るぞー!」」」

「「おー!」」


 やる気満々のマシュー君達にニー達も参加。

 マチルダにコタローも、練習を兼ねて参加する。

 スライムの中では、土魔法が使えるチョコも参加します。

 他のスライム軍団は、治療を行っているマシュマロ以外は村の子ども達の遊び相手になっている。


「サトー様、この面々なら夕方までに余裕で終わります」

「思ったよりも土魔法が使えるのが多くて助かった」


 オリガからもオッケーを貰ったので、早速防壁作りを開始。

 

「村の発展も考えると、今の村外れから五百メートルは離れてもいいかな」

「その位でオッケー。それ以上は、造成する伯爵領よりも大規模になる」

「となると、防壁を作るのはこの辺になりますね」


 大体の防壁を作る場所を、土に線で引いていく。

 何だかオリガの身体強化が凄くなって、あっという間に出来上がったぞ。

 今は門は一箇所の方が良いだろう。

 という事で、ここからはマシュー君達の出番だ。


「この線の上に防壁を作ってみて」

「任せて」

「直ぐに作るよ」

「カチコチのにするよ」


 試しに作って貰うと、中々の固さの防壁が出来た。

 厚さも一メートルあるし、これなら大丈夫だろう。


「空掘は作っておく?」

「大丈夫」

「今は良いでしょう。マチルダとコタローは、門の周りを平らにしてね」

「はーい」

「うーんと、こんな感じでいいかな?」

「大丈夫ですよ。良くできました」


 オリガは子どもを褒めるのが上手いな。

 門の前の広場の整理を任したマチルダとコタローの事を、笑顔で褒めて上げている。

 さて、ここからは手分けして、防壁を作っていこう。

 土魔法使いが七人もいるので、あっという間に防壁が出来上がっていく。

 途中からはマチルダとコタローもまずまずの防壁を作れる様になったので、一緒に作って貰う。

 二人も役に立つのが嬉しいのかドンドンと作っていくけど、あまり無理をさせないようにする。

 対してマシュー君達にチョコは、物凄いスピードで防壁を作っていった。

 勿論、固さとかも申し分ない。

 

「「「やったー、出来た!」」」

「「できたよ!」」

「皆、良くできました」


 オリガから褒めて貰って、子ども達も得意気だ。

 高さも十分にあるし、これなら簡単に破られる事はないだろう。

 門の前で子ども達を褒めていると、襲撃犯を捕まえに行っていたビアンカ殿下達が戻ってきた。

 ビアンカ殿下は、出来上がった防壁を見て感心していた。

 

「おお、中々の防壁じゃな」

「「「「「えへへ」」」」」

「今日はこのくらいで良いじゃろう。明日からもっとパワーアップするぞ」

「「「「「おー!」」」」」


 あの、ビアンカ殿下。

 子ども達を焚き付けないで下さい。

 マシュー君達の目はランランとしています。


「父上からも報告があったのじゃ。街道作りに駐屯地作成には、どうしても多くの土魔法使いが必要じゃ」

「魔法の修行にもなりますし、私も護衛につきますから」

「「「「「頑張るぞー!」」」」」


 これなら、あっという間に街道とかは出来そうだ。

 因みに、本命の襲撃犯についても聞いて見よう。


「全て捕まえたぞ。勿論、王都に送ってある。明日からは、ドラコ達が中心になって周辺の警戒も開始するぞ」

「ふふふ。僕達竜の鼻からは、悪い人は逃げ切れないのだ」

「街を作る下準備もあるから、この際徹底的に見回って貰おう」

「任せて!」


 ドラコ達もやる気満々だし、王妃様達の尋問から出てくる情報もあるだろう。

 安心できる街づくりの為に、ここは悪党には退場して貰いましょう。

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