第百三十八話 助っ人の合流

「ルキアさんすみません。結果的にお邪魔してしまって」

「いえ、我が領の隣のことですから他人事ではありません」

「ガルフさんもマルクさんも、急に仲間としてすみません」

「サトー様、謝罪は不要です」

「急ぎ対応しないとならないのは、私も理解しております」


 夕方前にブルーノ侯爵領についた俺達は、その足でお屋敷に向かった。

 事前に話をしてあったので、すんなりと宿泊できた。 

 執務室で色々話をしていたけど、ガルフさんとマルクさんもちょうどいたので、今回の作戦への参加を打診し快諾してくれた。

 実行部隊はできれば信頼のおける人でないといけないので、ガルフさんとマルクさんの参加は非常に助かる。

 ちなみに軍務卿の奥様は、少し前に王都に戻ったそうだ。

 今度王都に行ったら、改めて挨拶をしないといけないな。


「ギース伯爵領へ向かう山道は確認できました。少し足元は悪いですが、半日もかからずにギース伯爵領へ着くはずです」

「調べて頂きありがとうございます。非常に助かります」

「馬車を通すにはある程度工事をしないといけませんが、この件が終われば整備をして有効活用したいものです」

「交易できるようになると、互いの領にとってもメリットですからね」


 これは陛下が言っていた、街道の整備にも通じる所がある。

 この件が無事に解決できたなら、街道の有効活用も考えないとな。


「サトー様。明日ですが、道案内を兼ねて獣人部隊をつけます」

「それは有難いのですが、激しい戦闘が予想されます。獣人部隊の方は大丈夫ですか?」

「大丈夫です。魔獣との戦いも経験しましたし、何より再び人神教国の脅威が人々を危険にさらしているのが許せないとの事です」

「分かりました。助っ人感謝します」

「本来なら私も現地に向かいたいのですが、ブルーノ侯爵領は国境やギース伯爵領に接する重要拠点です。ここをしっかりと守る事に専念いたします」

「ルキアさんが後方でしっかりと守ってくれていることで、俺達も安心して行動できます」


 ルキアさんが一緒に行けなくて残念そうにしているけど、こればかりは仕方がない。

 むしろ獣人部隊をつけてくれて、こちらこそ感謝しないと。


「暫くランドルフ領に行っていましたけど、こちらの様子はどうですか?」

「皆さんのおかげで、順調に進んでいます。各地から難民も戻り、商人が活発に動き始めて流通が改善したのが大きいです。まだスラム問題とかもありますが、これは徐々にやっていきます」

「それは良かった。内政はトムさんに色々任せてしまってますが、大丈夫ですか?」

「はい、他にも文官候補生が増えましたので。トムさんには非常に助かっています」


 元々自治組織もあったし、ワース商会がいなくなったから流通も活発になっている。

 このまま経済が活性化したら、罰金も早く収められるのかもしれない。

 そのためにはトムさん達文官の力も必要だけど、それもうまくいっている様だ。

 あの元領主夫人と元嫡男のせいでブルーノ侯爵領は大変な目にあったけど、このまま順調に進んでもらいたい。


 食堂に移動している皆で夕食になったが、何だか豪華な料理が出てきた。

 どうもスラタロウが張り切って作ったらしい。


「ルキアさん。豪華な料理になっていますね」

「どうも私とアルス王子の婚約決定のお祝いだそうです。もちろんサトー様やリン様にミケちゃんの授爵の件もありますよ」

「そっか、ルキアお姉ちゃん婚約したんだよね」

「ありがとうございます、ミケちゃん。ミケちゃんも貴族当主になって凄いわ」

「えへへ、ありがとう」

「名誉爵位かと思ったら男爵だったので、俺もビックリしました」

「でもサトー様とずっと一緒にいたのですから、それだけ功績も沢山ありますわ」

「落ち着いたら、皆でパーッとお祝いしたいね!」


 皆でワイワイやりながら、ちょっとしたお祝いとなった。

 人神教国の件が片付いたら、改めてお祝いしないと。

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