第三話 神様? からのからの手紙

「うーん、気持ちよく寝れたぞ。おや? 何を頭抱えているんだ主人?」


 眷属のオオカミが起きたらしいが、こちらは色々ダメージがありすぎて頭が痛い……

 まさかこの世界で初めて遭遇した人に、猫耳幼女に抱きつかれている所を見られるなんて……


「? 何かあったのかよく分からないが、上のものから手紙預かっているぞ」


 そうだよな……お前は寝ていたから何も知らないだろうな……

 

「そういえば、お前の名前はなんだ?」

「我が名は『シル』だぞ。よろしくだ、主人」


 シルと名乗ったオオカミから、神様? からの手紙を受け取って読もうとするが、


「えへへ。お兄ちゃん」


 ……猫耳幼女がまだ抱きついたままだった。


「えっと、君の名前は何かな?」

「私の名前は『ミケ』だよ! お兄ちゃんがつけてくれたんじゃない!」

 

 Oh……、私はいつの間にかこの初対面の猫耳幼女に名前をつけていたのか……

 とりあえず、手紙を読まないと。


「ミケ、お兄ちゃん手紙を読みたいから、少し離れてくれないかな?」

「えー、分かったよ……」


 ミケは渋々ながら離れてくれた。

 これでゆっくり手紙を読める。

 手紙を開封して中身を読み始めた。


「サトーさんへ。

 異世界転生に同意してくれてありがとうございます。

 簡単ですが、この世界について説明します。

 今サトーさんがいる世界は、もともとサトーさんが住んでいた世界と大きく異なります。


 ・魔法があります

  大なり小なりですが、この世界に住んでいる殆どの人が魔法を使える要素があります。

  魔法は簡単に言えばサトーさんの世界にあったゲームの様なものです。

  魔導書というものを使って勉強をする事で、魔法が使えるようになります。

  ただし、その人に素養がないと魔法は使えません。

  サトーさんもいきなり魔法は使えないので、頑張って覚えてください。


 ・魔物がいます

  この世界には魔物がいます。

  魔素と呼ばれる物の影響で、動物が変化したものです。

  中にはドラゴンみたいなのもいるので注意を。


 ・色々な職業があります

  この世界は、冒険者や武器屋、食堂や宿屋など、色々な仕事があります。

  最初は冒険者をやってお金貯めるのがいいでしょう。

  その内に貴族や王様になったりするかも。


 ・色々な種族がいます

  人間に限らず、獣人やエルフなどの種族もいます。

  それぞれ独自の文化を持っています。

  サトーさんなら大丈夫かと思いますが、仲良くしてください。


 サトーさんに異世界に来ていただくにあたって、幾つかプレゼントをしました。

 一つはアイテムボックスです。

 アイテムボックスは色々な物を格納できます。先ずは、当面の資金と色々な備品を入れておきました。

 武器も入っているので、さっそく装備してください。

 また、この世界の文字や会話が出来る様にしておきました。色々な種族がいますので、積極的に話してください。

 流石に家畜とは喋れないので、そこはご注意を。


 最後になりますが、同行者に眷属の他に一名追加しました。

 元の世界にいた猫カフェの猫がぜひ一緒に行きたいとの事です。可愛がってあげてください。


 では、この世界で良い縁があります様に」


 おお、色々な物を用意してくれたんだ。後で色々確認をしよう。

 でもその前に。


「ミケ、おいで」

「はーい、お兄ちゃん」

 

 ミケを呼び寄せて、さっきの手紙の事を確認しようとした。

 

「ミケは、あの猫カフェのミケだったんだな。いつも一緒にいてくれた」

「そうだよ! お兄ちゃんがいつも撫でてくれたミケだよ!」


 やっぱりあのミケだったんだ。

 猫カフェでも特に人懐こかった三毛猫がいたけど、なんとなく雰囲気が一緒だ。

 一緒に来てくれたのは嬉しいけど、念のため確認しておこう。

  

「これから大変な冒険生活になるけど、ミケは大丈夫か? 危険な事もあるかもだよ?」

 

 これからキケンな事もある可能性も。もし嫌がったら、神様? にお願いして元の世界に戻してもらおう。


「大丈夫だよ! お兄ちゃんと一緒ならどこにだって行けるよ!」


 そういってミケはまた、胸に頭を擦り付けて来た。

 ……ここは腹を括るべきかな?。


「分かった、一緒に頑張ろうね!」

「はーい!」


 ミケの頭を撫でながら言うと、ミケは満面の笑みを浮かべていた。

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