第二話 異世界転生と猫耳幼女?
ちゅんちゅん。
風が木々を揺らす音と、日差しの温もり。
心地よい感覚の中、サトーは目覚めた。
「うーん、ここが新しい世界か」
街道と思わしき整理された道。
道の端にある木によりかかった状態で目覚めた。
服装は普段着ていたスーツではなくカジュアルな感じの服装。
右脇には、例の眷属という白い大きなオオカミが寝そべっていた。
「……うーん……」
ふと、誰かが俺の足で膝枕している感触……
視線を下げると、そこには何故か三毛の六歳位の猫耳幼女がすやすやと……
「えへへ、サトーさん……お兄ちゃん……」
わーお、何かキケンなことをしゃべっているぞ、この猫耳幼女。
普段なら猫耳に目がいって頭を撫でたくなる俺だが、今は汗が止めどなくダラダラ流れている。
……異世界に来て早々、何かやってしまったのか? 俺は……
いや、何も記憶はない。多分何もやっていないはずだ。
そう信じよう。
「うーん」
もぞもぞと動いてしまったせいか、猫耳幼女がパチリと目を覚ました。
「うーん……。あ、お兄ちゃんだ!」
目を覚ました猫耳幼女は、俺の胸に飛び込んで来て、頭をぐりぐり押し付けて来る。
「えへへ、お兄ちゃんの匂いだ……」
そのまま、猫耳幼女はうっとりしながら俺の匂いを嗅いでいる。
……一体何が起きているんだ? 異世界について起きたら、いきなり猫耳幼女に抱きつかれている。
からからから。
何か音が聞こえたかと思ったら、その音が止まった。
顔を上げると、一台の馬車が止まっていた。結構豪華な馬車だ。
馬車の窓が開いていて、貴族っぽい誰かがこっちを見ていた。
前後には騎士っぽい人が護衛している。
そうか、ここは街道っぽい所だった。
……あれ? もしかして、今猫耳幼女に抱きつかれている所、ばっちり見られている?
馬車の御者の人も、馬車の中にいる高貴っぽい人も、騎士の人も……ニヤニヤしている……
「「ヒヒーン」」
おい、馬もニヤニヤかよ!。
「……お兄ちゃん……」
猫耳幼女は相変わらずくっついたままだ。
もしかして馬車に気が付いていない?
ピュー。
ふと風が吹いたタイミングで、馬車は何事もなかった様に動き出した。
からからから。
馬車の走る音が遠ざかって、見えなくなっていく。
俺の異世界ライフは、出だしで終わったかもしれない……
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