第50話 ロシュール王国領主会議にて②◆
――それから、長い会議が終わって、各領主が退席し会議室を後にしてゆく。
しかし、ただ一人、ライルランドだけはまだ席を離れていなかった。
「退席しないのかね、ライルランド大公殿?」
「――国王陛下、一つ申し上げ忘れました。先ほど話した『
そう切り出したライルランドは席を立つと、陛下の座るところへゆっくり歩み寄りながら言葉を続ける。
「会話の中で、王国の艦隊戦力増強に貢献するとは申しましたが……
「な、何が言いたいのだ、大公殿……」
ライルランドに言い寄られてしまい、怯んでしまう国王。ライルランドはさらに国王へと詰め寄り、ある提案を持ち出す。
「そこでです。国王の統括する
すると、彼の提案を聞いた第一王子ラングレートが、憤慨して立ち上がる。
「きっ、貴様! 我が王国が誇る飛空軍艦隊を全て譲れと申すのか!」
しかし、憤る王子に向かって、ライルランドは冷静な態度のまま言葉を続ける。
「現在、
「む……確かに、それもそうだが……」
国王は言葉を詰まらせた。
「くっ……元はといえば、戦前まで貴様らの管理する領土も全て我が王国のものであったというのに……」
「ラミアン条約が結ばれ、各領主に領土を献上して以降、あなた方の権力がどこまで通用するのか、すでに御存じのはずでしょう。陛下が以前より望まれていた
そう皮肉交じりにライルランドは言い、くるりと国王に背を向ける。そして、会議室から退出しようとしたところで、何かを思い出したように「あぁ」と声を上げ、再び国王の方へ振り帰った。
「いけない、忘れてしまうところでした。ラングレート王子、この度はご結婚おめでとうございます。種族は違えど、人間とエルフという種族の
そう言ってライルランドは
○
ライルランドが会議室を出たところに、執事であるラダンが控えていた。
「ライルランド大公閣下、毎度の定例会議はいかがでしたか?」
「ああ、ラダン。つまらなくて会議中もあくびを
「しかし大公閣下、相手はあの伝説の海賊と
ラダンが懸念を口にするが、ライルランドは、まるで勝敗はすでに見えているとでも言わんばかりにニヤリと笑みを浮かべ、答えた。
「『目には目を』だよラダン。我が
「はっ」
ライルランドは、海賊討伐の指揮を一任する者のあだ名を口にした。
「『
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