第6話 暇つぶしの害獣退治
『悪いなネズミ、俺の体であるこの船を傷付けるような奴を、乗せておく訳にはいかねぇんだ』
「チュウ?」
俺は目の前のテールラットに向かって、「
「ヂュヂュヂュッ!!」
ボッ! と音を立ててテールラットの体に火が付き、全身の体毛が燃えて瞬く間に火達磨となった。テールラットは断末魔の悲鳴を上げてのたうち回り、やがて黒焦げの死体となって床に転がる。
『はい完成! テールラットの丸焼き一丁! 見る限りクソ不味そうだがな』
ふざけてそんなことを口走っていると――
【経験値が一定値に達しました。各種スキルLvが上昇します】
また脳内アナウンスが何かを俺に知らせた。
『スキルLv上昇だと? ステータスが変化したのか?』
俺は自分のステータスを確認してみた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【船名】なし
【船種】ガレオン(砲38門)
【総合火力】710
【耐久力】500/500
【保有魔力】442/500
【保有スキル】神の目(U)、
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
なるほど、これまで覚えてきたスキルのレベルが上がっている。あと、ちゃっかり総合火力も少しだけ上昇している。どうやら、テールラットを殺した際に得た経験値でレベルアップしたらしい。……って、船にもレベルアップの概念ってあるのか? 保有魔力が減っているのは、さっき「
『さっき、「
何回も練習しているうちに魔法も使いこなせるようになるだろうとも思ったが、ゲームの
『――それにしても、このテールラットの丸焼き、どうするかね……』
ここに置きっぱなしにして
俺は黒焦げになったテールラットを「念動」で拾い上げると、そのまま外へ持って行き、湖へポイと投げ捨てた。
……と、その刹那――
サバァッ!!
突如水しぶきを上げて湖から巨大な黒い影が飛び出し、丸焦げになったテールラットの死体を一飲みしたのである。
『うわっ!』
一瞬のことで、何がテールラットの死体に食い付いたのか見えなかった。どうやらこの湖には、どう猛な肉食の海洋生物が生息しているらしい。あんな奴が俺の腹の下に潜んでいるのかよ……俺は思わず身震いしてしまう。
『そうだ、「神の目」を使って視点を船底へ移動させれば、水の中も見れるはずだよな……』
俺は視点を水に沈む船底へと移動させ、湖の中を見てみた。さっきの生き物の正体は一体何だったのだろう?
『……ん? あの影は何だ?』
すると、水面下にうごめく巨大な影を捕えた。その影はどんどんこちらへ近付いて来て、やがて俺の前にその姿を見せる。
『なっ、ネッシーかっ⁉』
体長は約八メートルほどだろうか? 長い首を持ったその姿は、まるでジュラ紀の恐竜そのもの。しかも、胴体から生えているのは四本の脚ではなく四本のヒレで、ヒレを動かすことにより、湖の中を自由に泳ぎ回っていた。
俺は泳いでいるその恐竜のような生き物に向かって鑑定スキルをかけてみた。鑑定のレベルが上がったおかげなのか、多少距離が離れていても、鑑定は機能してステータスが表示された。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【種族】レイクザウルス
【HP】240/240
【MP】0/0
【攻撃】110 【防御】170 【体力】200
【知性】25 【器用】140 【精神】90
【保持スキル】潜水:Lv2、突進:Lv3、噛み付き:Lv4、警戒:Lv1
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
『やっぱり恐竜の仲間か? こんなのが湖にいたなんて……しかもあの体だと、テールラット一匹食らったぐらいじゃ満足しないだろうな』
湖の中を確認したところ、コイツの他に小さな魚などは見当たらない。全部コイツが食っちまったのか? それならなおさら腹も空くだろう。
俺は
図書室に置かれていた「イラスト付きでよく分かる! 世界生き物図鑑」によると、テールラットは暗い湿った場所を好み、繁殖力が強く、食べ物の少ない環境でも大量発生することがあるらしい。一方のレイクザウルスは肉食獣だが、魚ばかりを食べているわけでもなく、空腹時は狂暴化し、湖にやって来た動物や人間を襲って食べることもあるという。
こいつ、空腹になると狂暴化するのか……そんな奴に体当たりされて沈めらちゃ、こっちはたまったものではない。
『……しょうがねぇ。機嫌取りにお代わりでも探してやるか』
俺は図書室から視点を移し、船の中でも日の当たらない場所――主に
――結果的に、俺の予想は大当たりだった。試しに船の両舷に置かれている大砲の台車をスキル「念動」を使って動かしてみると、台と床の隙間から、まぁ出てくる出てくる。軽く五十匹以上はいるのではないだろうか? 薄暗い
『こんな大量のネズミを自分の腹の中に抱えてたってのか……考えるだけで寒気がするな』
まぁいい、俺の船に許可もなくタダ乗りしているとは良い度胸だ。まとめて丸焼きにしてくれる!
俺は覚えた火魔術基礎の「
「……ならば、雷魔術で一網打尽にしてやる」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます