くじ物語

第2話 とにかく歩き回って……

　おかしい……。

　今日はお祭りくじの販売初日……のはずが、どこのコンビニに行ってもくじがない。

　それでも、ようやくお祭りくじを開催している店舗を発見できた。八十枚フルロットで誰も引いていない。店員に聞いたところ、「今（二十三時）に出したところっス」と言っていた。

　昨日コンビニに電話をかけたが、「担当者不在でわからない」、「入荷次第」という曖昧な回答が大半で、私の地区では開催日時が読めない状況だった。ただ、ユビッターを眺めていると、既にくじを引いた人もおり、いてもたってもいられない。

　そこで、朝から十二時間以上歩き回って、合計二十六店舗のコンビニを巡った結果、この開催店舗に出会うことができたのだった。目当てはＡ～Ｇ賞の各フィギュアだが、八十枚のうち七枚しかフィギュア賞はないので、当てるのは至難の業だ。

　しかし、引けるのは資金の都合で二回。全てをこのくじに懸ける、そんな思いでくじの箱から、２枚のくじ券を取りだし、一枚目を捲る。

ぺり……ぺり…………Ｊ賞……

　二枚目

ぺり……ぺり…………Ｋ賞……

　千四百円を失い、手に入れたクリアファイルとタオルを握りしめ、コンビニを後にした。