2. 桜の木の下で


桜舞い散る木の下で私たちは出会った

初めて交わした会話

中身はくだらないことだったはずなのに

暖かかった風が冷たくなっていることにも気づかないほど

私たちは会話に夢中になっていた


それから毎日のように話した

それは十分のときもあれば、二時間の日もあって

話す時間はバラバラだけれど、とても大切な時間で

毎回会話の中身は相変わらずくだらないものだけれど

私たちにとってはかけがえの無いものだった


しかし、そんな毎日に終止符が打たれた

 

初めて出会ってから二年経ち

私たちは別々の学校へ進学することになり

桜の木の下で毎日話すことが出来なくなった

 


別々の学校へ進学する前、最後の日

私たちは再びあの場所へ集まった

「成人式の日、またここに集まろう」

そう約束を交わして

それぞれの目標へ向かって歩き出した



約束を交わした日から約三年

桜の木の下で会話を交わした日々が恋しくなる時がある

けれど今は精一杯目標に向かって努力し続けようと思う

成人式の日に、桜の木の下でいい報告が出来るように




 

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