第2話

「ルイヤ」

豪三がたずねると、

「なんだよ。心も体もおまえのものにはならね〜ぞ」

と、ルイヤが反抗した。

「それは、いいんだ。毎晩オマエが眠っているあいだに、タップリ味あわせてもらってるから」

豪三が舌舐めずりしてそういうと、

「サイテーッ」

と、ルイヤがソッポを向いた。

「オマエ、ワシになにか隠していることがあろう」

「いえ、別に」

「本当か」

「TN T火薬を三トンほど口の中で爆発させたことでございますか」

「怪獣でもしぬわい」

豪三がジッとルイヤの目を見つめた。

「イマいったこともちろん嘘だろう」

「イイエ、ルイヤはウソをつきません」

「誰か〜誰か〜ヤリを持て」

「ウソでございます」

豪三がヤリを収めた。

「お父様に秘密などなにひとつとしてあるわけが

ないじゃありませんか」

伊勢エビを丸齧りしながら、カスミがやってきて、そうほざいた。

「家庭円満。家庭円満」

カスミがそう唱和すると、ふたりが従った。


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