第4話 ペロル、国を出る

ペロルが起きたのは昼前だった。まともな食事をとっていなかったペロルのお腹は音を立てる。それを聞いていた村長はお昼を食べていた。


「通行証ならできておるぞ。最後の餞別に飯でも食っていくか?」


「マジで。あざ~す」


ペロルは四日ぶりのまともな食事にがっついた。村長もそんなペロルを見つめるだけで注意などしない。食事を終えたペロルは村長にお礼を言い通行証を受け取った。


「ペロル、元気でな」


その一言だけでペロルは泣きそうになったが、涙をこらえて走り去った。


村から関所までは馬車で三時間程の距離しかない。今のペロルの足ならば一時間で到着できるだろう。しかし、問題はその後である。クウァイツ共和国の一番近い街まで最低でも一回は野宿を挟まなければならない。もちろん普通ならばである。ペロルの足であれば一晩で走破できる。そのために村長の家で寝ていたのだ。


ペロルが関所に到着すると、門番が暇そうにしていた。ペロルは走るのをやめ、歩いて関所に近づく。


「止まれ。なに用だ」


門番から声をかけられたので大人しく止まる。そしてペロルは話し出す。


「洗礼の結果がこの国の法の下では生きていけない結果だったので国を出ようとここに立ち寄りました」


門番がこちらに来いと手で合図したので向かう。その途中に神を描いた踏み絵があったのだがペロルはそれを踏み抜いて門番の元まで歩いた。


この踏み絵はこの国の者ではないと証明する証でもある。つまり、ペロルはもうこのオランド聖王国の住民ではなくなったことを自ら証明して見せたのだ。


門番の目の前に立ち、村長より受け取った通行証を見せる。門番は隅々まで通行証を確認すると、門を通る許可を出した。ペロルは門番たちに一礼し、オランド聖王国を立ち去った。


その後は、ひたすら走る。途中で例の声が脳内で三度聞こえたがステータスポイントをすべてAGIに振っただけでスキルは取得しなかった。それは今まで行き当たりばったりでスキルを取得していたため、スキルポイントがない状態だと不安になってしまうからだ。


次の日の朝、ペロルは街にたどり着いた。そして街門へ一番前に並んだ。そして開門して門番から手を出されて気付く。


ペロルはこの国のお金を一銭も持っていなかった。


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