第3話 ペロル、村に着く
「規定条件を達成しました。スキルポイントを一、ステータスポイントを二獲得します」
ペロルはスキルポイントを使って夜目を取得した。ステータスポイントはもちろんAGIに振る。夜目を取得した瞬間、暗くなり始めていた周りの景色が昼間と変わらないように見えた。ペロルは眠気を感じていたがここで寝ることは死を意味することが分かっているのでまた走り出す。
朝日が昇りだすと同時に村にたどり着くことができた。ペロルはまず自分に与えられた家がどうなっているのかを確認しに行った。
そこにはすでに別の家族が住んでおり、ペロルの残していったものは既にその家族に使われていた。こうなっていることを覚悟していたため、ペロルに落胆の気持ちはない。
ペロルは村長の家へ向かった。この国には珍しく村長は狂信者ではない。それはこの村が辺境にあるため、他国の商人がたびたび寄っていくことも影響しているのだろう。
「村長。いますか~」
「なんじゃ。ってペロルじゃないか。お主は街に洗礼を受けに向かったはずじゃろう。どうしてここにおる?」
「実は洗礼を受けて結果が『走者』と言うものでして。この国にはそのような職がないため他国に行くことにしました。そのために走って帰ってきました」
「あの距離を一日で走ってきたのか?」
「はい。それで関所を渡るための通行書を発行してもらえませんか?あと寝ずに村まで走ってきたので寝床を貸してほしいです」
「はぁぁ~。まあその職業ではこの国では生きていけんのぉ。分かった。通行書を発行するのに半日かかる。その間にお主は眠っておけ。それで、国を出るのはいいとして何か仕事のあてはあるのかのぅ?」
「ないけれどとりあえず何とかなると思うよ」
そう言ってペロルは自分のステータスを見せた。すると村長は驚愕して声が出ない。村長は深呼吸を繰り返しようやく落ち着きを取り戻した。
「お主のステータスはおかしいぞ。AGIの高さは職業柄問題ないとしてもATKの文字すら見えんとは思わんかった。それでは荷運びの仕事も任せてもらえんのではないかのぅ」
「そうなのか?人のステータスなんて見たことないからおかしいことに気づかなかったよ。それでもこの国じゃあ仕事なんて就けないし生きていけないだろう。この国を出るのは決定だよ」
「まあ、仕方ないのぅ。このままにして死んでもらっても困るしのぅ。通行証を作るからお主はさっさと寝るといい」
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