第5話 ペロル、冒険者ギルドへ行く

「で、お前、入場料は?」


「これじゃあ、駄目ですよね?」


ペロルは聖王国のお金を見せる。しかし、門番の表情は険しくなっただけだった。


「お前、聖王国の出か。と言うことは職業もそんなにいい物じゃないな」


「はい。走者と言うものです。走る者と書いて走者」


「身分確認のためにステータスボードを見せてもらうがいいな」


「はい。どうぞ」


ペロルはステータスを門番に見せた。すると門番の顔が驚愕に代わる。


「お前、スキルを三つも持っているじゃないか。それにオートマッピング、これは珍しいスキルだぞ。これは相談なんだが、この街を一通り歩いて地図を書いてくれないか?そうすれば街への入場を許可するし、地図を売った代金の半分をお前に渡す。どうだ?」


ペロルはこのまま街に入れないと死活問題だったため、その依頼を了承する。


「助かる。あとこれは仮の入場証だ。冒険者ギルドか商業ギルドに行って身分証を作ったら返してくれ。期限は三日となっていてそれ以降になると犯罪者扱いになるから注意してくれ。じゃあ地図の件は頼んだぞ」


こうしてペロルは何とか街に入ることができた。ペロルはまずは目的のギルドに入るために走り始める。どうせ街中を走り回らなければならないため、道は聞かなかった。


三十分ほど走り続けてようやく冒険者ギルドに到着することができた。中に入るとテンプレのように絡まれることなく受付嬢の元までたどり着くことができた。


「ようこそ、冒険者ギルドへ。本日はどのようなご用件でしょうか」


テンプレのような挨拶を聞いたペロルはおなじみの言葉を返す。


「冒険者登録をしたいのですが」


「ではステータスボートを見せていただけますか?」


ペロルはステータスを受付嬢に見せた。すると受付嬢は驚愕しながらもステータスを写し取った。


「確認できました、ペロル様。それでここからは提案なのですがペロル様にぴったりの依頼があるのですがお聞きになりますか?」


「聞かせてください」


「分かりました。実はこの街では手紙の配送を受ける冒険者がいなくなってしまいまして、ギルド職員が自ら手紙を配達している状況なのです。それでペロル様は足が速く、それにオートマッピングのスキルをお持ちのようですので手紙の配達を受けていただけないかと」


「構いませんよ」


「本当ですか。ではすぐに手紙と地図を持ってまいります」


受付嬢は本当に嬉しそうだった。おそらくギルドの業務が終わった後で手紙を配送していたのだろう。ペロルはどうせ街中を回るのだからという理由で安易に依頼を受けたのであった。

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