第13話 前夜祭 失踪

「これ、マイのお面だよな。」

お面は糸が切れていた。人波に流された時に外れてしまったのだろうか。

「なぁおばさんたちのところに行ってみよう。もしかしたら、マイちゃんも居るかもしれない。」

ユウジたちはマイがいなくなってしまったことをに伝えるため、本部と書かれたテントに向かった。テントの中にいる大人たちもみんなお面を付けている。声をかけるとすぐにおばさんは見つかった。

「おばさん、マイちゃんみてない?」

「どうしたんだい?はぐれちゃったのかい?」

はぐれるまでのことを話すと近くにいた年配の男に何かを伝えた。

「大丈夫よ、放送してもらうから。」

笑顔で答えるおばさんに、タケルがマイのお面を見せる。

「あのさ、これ拾ったんだけど。」

お面をつけていてもおばさんの表情がみるみる強張っていくのがわかる。ちょっと…と言い残し奥に入っていくと、神主さんを連れて戻ってきた。

「あなたたちはお面を外してないわよね?」

全員が首を縦に振る。

おばさんが安心したように胸を撫で下ろすと、神主さんは静かな声で言った。

「みんな、今日はもう帰りなさい。マイちゃんのことは私たちに任せなさい。」

「でも…」

とチヒロが言いかけるとさっきまでとは別人のような声色で神主さんが言った。

「いいから。言うことを聞きなさい。」

それ以上何も言えず、ユウジたちは学校に戻ることにした。道中、泣き止まないチヒロをユイが慰めている。学校に戻り、寝室に入るとすぐに眠気が襲ってきたのかタケル、ユウジ、ヒロシの3人は何も話さず寝入ってしまった。


ユウジが目を瞑る。遠くの方で女の子の泣く声が聴こえる。声のする方に歩いていくと、そこには浴衣を着た2人の少女がいた。泣いている幼い少女を中学生くらいの少女が慰めている。

「あの、君たちは…」

声をかけると中学生くらいの子が顔を上げた。その顔はマイにそっくり、いやマイそのものだった。

「マイ…ちゃん?」

「お…い。…めんを…。私たちは…に…」

目の前が真っ白になり、目が覚めると空が白んでいた。タケルとヒロシはまだ寝ている。ベッドから降りようとすると扉のノックが鳴った。扉を開けるとそこにはユミが立っていた。

「少しだけいい?」

「あ、うん。2人も起こそうか?」

「ううん…大丈夫。ユウジに聞いて欲しいことがあるの。」

ユウジと呼び捨てされたことに戸惑った。ユミだと思った彼女はまるで別人のようだった。

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