第17話愚王の暴走
シェーラギルド協会は、国家権力の助けなく、災害級とも呼ばれるドラゴンを討伐した。その偉業は、マッシリア王国だけではなく大陸全土に
弱小ギルドだと思われていた我がギルドは一瞬にして、強豪ギルドの仲間入りを果たした。
特に、ドラゴン討伐に大活躍したブレアとミリアは、2階級特進を果たして、一気にA級冒険者入りを果たした。シグルドたち、ドラゴン討伐の参加者たちも1級昇進し、B級へと到達している。
今まで主戦力だったC級冒険者のほとんどは、B級まで昇格し、構成員の質を考えれば、国内屈指の大ギルドに成長したともいえる。さらに、騎士団長時代のわしの部下たちも、軍を辞めて、シェーラのギルドに加わってくれた。彼らはAからB級上位の猛者ばかりである。それが戦力としてこちらに加入してくれたのだ。
一緒に食事をしていたルイは、笑う。
「これで、我々の戦力は、名実ともに国内最強クラスのギルドになったわ。あなたは、まだ身分を隠しているけど……実質的に、S級が1名、A級が6名、B級が50名。下手な小国に匹敵する軍事力を、私たちは保有したと考えられるわ。いきなり、こんな大勢力が国内に誕生したのなら、中央は警戒しないわけがない。なにかしらのアクションを起こしてくるはずね」
「ああ、それは頭が痛いな」
「何を他人行儀なことを言っているの? あの愚王は、間違いなくあなたを狙ってくるはず。すでに、中央はメンツを完全に傷つけられているもの」
「だが、わしらのギルドに挑戦を挑めば、恐ろしい損害を受けるぞ。そこまで、バカだとは信じたくないが……」
「あの男ならやりかねない」
「ああ、注意しなくてはいけないな」
※
「ジークフリートが見つかっただけでなく、ドラゴン討伐に成功し、名声を上げただと!?」
「陛下、さらに、旧ジークフリート派の軍人多数が、今回の経緯を知り、軍に辞表を提出。向こうに合流しているようです。諸外国は、我々のドラゴンについての対応に失望の意を表明しております。我が国の国際的な信用は、地に落ちたかと……」
「おのれ、ジークフリートめ。シンパを集めて、反乱を企画していたのか! 卑怯者めっ」
「はぁ?」
「わからぬか。奴らは、余の信用を下げるために、この陰謀を企画したのだ。このままでは、間違いなく反乱を起こす。首謀者であるジークフリートを逮捕しろ」
「しかし……シェーラの街のギルドは、国に匹敵するほどの軍事力が……」
「黙れっ! 国王権力は神聖不可侵。余に逆らうものはすべて逮捕する」
「わ、わかりました!! すぐに、シェーラの街に役人を送ります」
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