第16話伝説の英雄
わしたちは、一気にドラゴンに向かって進む。
弓と魔力隊が後方より援護して、ドラゴンの動きを制限していた。
「みんな、手が空いている人は、あの2人に補助魔力を!!」
ミリアの指示が聞こえる。
ドラゴンは苦し紛れに、ブレスを吐く動作を見せた。
「ジーク師匠。どうしますか?」
「わしが先行する。お主は、わしの後ろから離れるなよ」
「はい!!」
ドラゴンは、弱々しいブレスを放った。やはり、援護が効いている。明らかに制圧力は弱くなっている。これなら、わしでも十分に対処可能だ。
「一刀流・
渾身の斬撃を飛ばす。斬撃によって、敵のブレス攻撃は、相殺される。
剣士でありながら、遠距離攻撃も可能であるこの技は、一刀流・水流派の奥義に限りなく近いものだ。
「いまだ、ブレア!!」
ドラゴンの視界は、幻術によって制限されている。今なら、攻撃は通りやすい。
「はい、師匠!! 一刀流・剛剣」
最も基本的な技ながら、安定した攻撃力を誇るそれは、確実にレッドドラゴンの左前足をとらえた。強力な一撃によって、奴の前足は宙を舞った。
『『やった』』と後方からは歓喜の声が聞こえている。ついに、ドラゴンに対して決定的な一撃を浴びせることができたからな。
そして、わしは続く。ドラゴンの皮膚は、剣すら通らない高い強度を誇る。
ならば、皮膚以外の場所が弱点になる。
わしは、全力で空に向かって飛び上がる。目指すは、敵の口の中だ。
「一刀流奥義・夢破」
わしの全力攻撃は、ドラゴンの弱点を斬り刻む。巨体は、断末魔を上げたのち、地面に沈んだ。
※
『強すぎる』
『なんだよ、あの爺さん。一刀流の奥義まで使い始めたぞ』
『初めて見た。あれって、S級冒険者クラスじゃないと使えないはずじゃ……』
『ああ、水流の奥義伝承者で、存命の者は3人しかいないはず。あの年齢だと、ジークフリートだけだ』
『ジークフリートって……』
『伝説の英雄!?』
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