第13話あらくれ冒険者フレイアの末路
わしたちは、無事にクエストを完了して街に戻った。このまま、ギルドに報告すれば、ブレアたちはC級冒険者に昇進できる。
冒険者の7割は、D級で停滞する。よって、この若さでC級に昇級できれば、かなりの有望格だ。
「見つけたぞ、爺っ!」
街の雑踏から、ひとりの男が殺意を持って、こちらに走ってきた。
ギルドの受付係を始めた時に、
あのあと、ずっと行方不明だったが……
おそらく、わしに対しての復讐を遂げるために、準備していたのだろう。後方には、ガラが悪い男たちを従えている。5人か。できることなら、話題になるのは避けたいんだがな……
「あの時は、ずいぶんとこけにしてくれたな。お礼参りに来てやったぜ。おい、野郎ども、後ろのガキたちを人質にするぞ」
「冒険者同士の私闘は、禁じられているが?」
「うるせぇ、こんな街、お前をボコボコにした後に、こっちから出て行ってやる」
相手は、実力だけならC級の強さはある。弟子たちに危害を加えさせたくない。だが……
「ジーク師匠、ここは俺が……」
ブレアが前に出てくれた。随分とたくましくなったな。わしが、あまり表に出ることができないことを理解して、引き受けようとしているようだ。かわいい弟子だ。
「あぁ? お前見たことあるぞ。たしかに、ブレアだな。落ちこぼれブレア!! 笑わせてくれるぜ。お前みたいな雑魚が、俺たちに勝てるわけねぇよな。でも、後ろのお前の彼女は、可愛いからもらってやるよ」
ブレアは、その言葉を聞きながら、剣に力をこめている。
「なら、来いよ。ビビってるのか?」
弟子は挑発して、フレイアをこちらに引き付ける。奴も剣を抜いた。
「てめぇ、その言葉、後悔させて……えっ!?」
「一刀流・
わしが得意とする水流の剣技だった。何度か練習で見せたことはあるが、詳しくは教えたことはない。ここに、連続攻撃を加えれば、最上級剣技となるが。こちらもかなり難しい技となる。自分で隠れて練習していたんだろう。「いつか、ジーク師匠の技もできるようになりたい」と言っていたからな。
高速で移動したブレアは、敵の剣を真っ二つに折った。実力差ははっきりしている。
「嘘だろ?」
あらくれは、目の前で起きたことを理解できていないようだ。
無防備にブレアに背中を見せてしまっている。
「わかったか? お前は、落ちこぼれの俺にも負けるくらいに弱い!! そんな弱いお前が、俺の大事な師匠や大切な人をバカにしていいわけがない」
「許して……く……ぎゃあっ」
きちんとみねうちをして、ブレアはフレイアを伸ばしてしまった。
『おい、嘘だろ。フレイア!! 冗談だと言ってくれ』
『逃げろ、あいつに勝てないんじゃ、俺たちもやられる』
仲間たちは、完全に戦意を折られて、逃亡しようとしていたが……
通りかかったシグルドと仲間たちに取り囲まれていた。
「おいおい、随分と俺のダチをバカにしてくれたようだな。覚悟はできているか??」
わしにウインクをしながら、シグルドは荒くれたちをボコボコにしていった。
※
―フレイア視点―
そのまま、俺はギルド協会に連行されて、冒険者を強制的に引退させられた。シェーラの街も追放刑とされた。くそ、この後どうすればいいんだ。
絶望した俺の目の前に、巨大な尻尾を持つ怪物が現れた。
「なんで、こんなところに……」
明らかに、俺を狙っている。まるで、草食動物を見る肉食動物のように……
「
その後、俺の体に激痛が走った。
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