第479話

「という訳でやってきました。新しい異世界」


ソフィアと咲耶様が戻ってきたと思ったらソフィアは既に和服を着ていて、なんかそのまま流れで異世界に連れてこられてしまった。


いやまぁ、ほぼ行くこと確定みたいな状況であったけど。行きますとはまだ言ってないんだよな…


お義父さんお義母さんにごめんなさいしにだってまだ行ってないし。


…ソフィア、もしかしなくても分かってて逢えて異世界行きをゴリ押した?


いやまぁ、態々確認はしないけどさ。


異世界から帰ったら絶対にごめんなさいしに行こう。


まぁ、来てしまったものは仕方ない。

切り替えていこう。


それにしても、これは小袖で良いのかな?

とてもソフィア似合っている。


以前。着物レンタルで和服を着たときも凄く似合ってたし本当になに着ても似合うね。


俺に関しては髷を結う必要なくて良かったねって感じかな。


俺も男性用の小袖を魔力で再現しているけど、髪型はそのままで問題ないとのことなので変更したりしていない。


戦国時代の男性用の髪型=髷ってわけじゃないんだろうけど。

イメージとして髷が強いよね。やっぱり武将のイメージが強いからかな。


ソフィアの金髪も色を変える必要って言うし

戦国時代にタイムスリップしたんじゃなくて戦国時代風の異世界なんだなって実感湧いてくるな。


「それにしても、これからどうしようか」


最終目標である神をどうにかするには、この異世界の神域にこちらから殴り込みに行く必要があり。

ノーヒントで入口かアイテムを探し出さなくてはいけない。



向こうが神域から出てきてくれれば話が早いんだけど。

まぁ、簡単には出て来ないよな。


神を倒すために送り込んだのにノーヒントかよとついつい言いたくなってしまうけど。

神が関わる事は情報の精度が落ちてしまうようだ。

その中でも神域の侵入方法となるとトップシークレットだろうし、こうなってしまうのも仕方ない。


利用しているとはいえ地球でも異世界のことになると万能ではないってわけだ。


だからといってやりすぎると俺みたいな存在が派遣されてくる訳なので、異世界でならやりたい放題出来るという訳ではない。


とはいえ、地球も何も対策を考えずに俺たちを送り込んだわけじゃない。


(現在は目標の神ではなく龍信仰の盛んな地域にいるはずなので、先ずは周囲の人の集落に行きましょう)


今、念話をしてきたのは、その対策であるミニ地球ちゃんである。


ソフィア以外の同行者で人の手のひらサイズで

背中から虫のはねようなものが生えている女性といったような姿をしている。


彼女は地球の分霊みたいなもので、ミニ地球ちゃんがいればいつでも自由に地球と異世界を行き来出来るし。情報収集もミニ地球ちゃんがしてくれるので俺達が何かする必要はない。


ぶっちゃけ、そんな事出来るなら俺達要らなくねと思はなくも無いけど。

ミニ地球ちゃんは戦闘はできないらしい。


というのも、戦闘力がないというわけでは無く。

目標の神だけを倒すように手加減をするのが難しいみたいだ。


相当手加減しても異世界事消しちゃう可能性の方が高いみたいなので、異世界を防壁として利用したい地球からしたら俺みたいな存在に依頼した方が良いという訳だ。


「龍信仰ね……面倒事にならなければ良いけど…」


ソフィアがそう言いながら無理だろうなという顔をして俺を見ている。


「いやいや。見た目は普通の人間だし。俺が龍だってバレる事は無いでしょ…多分」


自分でそう言っておいてあれだけど。

途中から自信がなくなってしまった。

ファンタジーアップデート以降もの凄い色々な事に都合好く巻き込まれているからな。

なんだかんだ言って今回も何かに巻き込まれることになりそう。


そうなったらそうなったで何とかするしかないけど…まぁ、何とかなるだろう。


「取り敢えず。人のいる場所に向かうか」


何時までも、ここで話していても何も始まらない。そろそろ人のいる場所に向かって移動を始めようとした瞬間、ガチャガチャという鎧を着た存在が歩いたときにするような音が聞こえてきた。


クッソ、面倒事が向こうから来やがった。

早すぎるだろ…


「どうする?」


「どうするって、確認しない訳には行かないでしょ」


最初は悪意感知が引っかからないから問題ないかなって思ったけど。

念のため物音を立てる存在のみに対象を絞って悪意感知を使用してみると、ドロドロと粘着質

非常に気持ち悪い悪意を感知した。


ドス黒い悪意を態々隠して行動しているやつとか絶対碌なやつじゃないだろう。


それにしては音が出るような鎧を装備して行動していたりしてアベコベな感じもするけど…


(そんなことより、その人物が従えている微かに神力を感じる魔物の方が気になりますね)


魔物っ!?全然感知できないんだけど…


予想以上にヤバい件じゃん。


でも、その微かに感じる神力が俺たちのターゲットのものだった場合、目標達成に近づきそうだな。


ってなると、ますます逃がすわけには行かなくなったな。


─────────────────────



読んでいただきありがとうございます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る