第475話

うーん。場違いというか。俺はここにいちゃいけないんだ感が凄い。


学校の授業中。一人そんなことを考える。


いくらスキルやレベルの概念が存在して、ダンジョンが出現、魔物まで現れるようになった非現実的な世の中になったとしても。

俺の存在は群を抜いて異質で非現実的なものだろう。


何時もだったら、だから何?ってこんなウジウジしないんだけど。

冗談抜きで死にかけたからか絶賛ネガティブ状態なので、どんどん悪い方に思考が偏ってしまう。


精神的に弱っているせいで〈憤怒の王〉の制御が上手くできなくて、こんな現状の俺自身にイライラし始めるし……


今日は何か、やらかす前に家に帰ろう。

学校を早退して家に帰る。

こういう時はソフィアに甘えるのが一番と思ったんだけど。

なんか当たり前のように家にいる天照様と真剣な話をしていたので断念。

と言うか。真横まで言っても会話を盗み聞きする事が出来なかったし。

ソフィアが俺に気付くことも無かった。


確実に天照様が、なにかしているんだろうけど。

天照様から『お主にも関係ある事だから後でしっかり説明してやるから、今は大人しくしておれ』


と念話があったので言われた通り大人しくその場から離れた。


「さて。どうしようか……体を動かしてストレス発散っ!思考をポジティブにっ!って気分でもないんだよな〜」


カラオケにでも行って満足するまで1人で歌い続ける?

なんかこれも違うな〜


「何処か綺麗な景色でも観に行くか?」


と言ってもそういう場所は大抵、人がいっぱいいるよな。

秘境的な場所だったらそうでもない気がするけど……


「そうだ!」


いい事、思いついた!と庭に出て龍の姿に変身する。

龍の姿の俺を見られると『何事だ!』って騒ぎになるので、纏うだけで透明になる事が出来る炎を全身に纏う。


大きく息を吸い込み。口を閉じたら勢いよく飛び上がりどんどん高く飛び上がる。


あっという間に雲の高さを通り越し、成層圏?でいいのかな地球を見下ろすことができる高度まで到達した。


邪魔は入らなくて素晴らしい絶景が見れるポイント。

思いついた時は俺って天才?って思ったけど。


実際にやってみると、かなり馬鹿なことしているよな〜って気づいた。


馬鹿なことをしただけの価値はある景色だけどね。

目の前に広がる景色は。


カメラの魔導具をマジックバッグから取り出して写真を何枚も撮っていく。


偶然、上からオーロラを見る事も出来た。


いや〜やっぱり綺麗な景色ってのは。

何か、もうここまで来たら月まで行っちゃうか?って考える程テンション上がってたけど。

流石に月まで行くのは時間がかかるので、今日は無理だろうと冷静になって止めた。

地球から月まで、地球一周分の何倍もの距離があるわけだからね。


飛んで行けないことは無いだろうけど。さすがに少し時間がかかる。


気づいたら、ここに来てから数時間経ってたからな。

そろそろ帰らないと。

帰りは理外の転移を使って一瞬だ。


うーん。メンタルもかなり回復したし。

この後、ご飯食べて、お風呂入って、ソフィアに甘えれば完全回復だな。


「ただいまー、ってソフィアどうしたの?」


何かソフィアが物凄く挙動不審だ。

原因はどう考えても天照様とした会話だろう。

何を話したの?とニヤニヤした天照様に視線を向ける。


「別に一ヶ月後に私の神域で、二人の結婚式を執り行うからって話をしただけだ」


なーに言ってんだか、この神様は……


式はE国で挙げるって話を決めて、色々調整している真っ只中なんですけど?


「その調整は年単位で時間がかかるだろう?」


「仕方ないでしょう。それだけ重要なものなんだから」


むしろE国王室のソフィアの結婚式なのに一年位で調整が完了するって相当急ピッチだと思うんだけど。


「それは否定しない。私だって理由が無ければ、こんな事していない」


「理由?」


ただただ思いつきで、引っ掻き回しに来たわけじゃないと?


「映司、そなたが進化してしまうとソフィアとの間に子を授かる事が出来なくなるからだ。年単位で時間がかかってたら、そなたは確実に進化しているだろう。お主らは式を挙げるまで子作りをするつもりは無いはずだ。このままだと手遅れになりそうだから、お節介を焼きに来たわけだ」


思ったより重要な理由だったな。

俺だってソフィアとの間に子供は欲しい。

お互い長命種になった訳だし、焦らずゆっくりって話してたんだけど……


取り敢えず。原因は俺に有るみたいだし。

天照様に詳しく説明して貰おう。


俺が今より種族進化しなければ問題解決っぽいけど。

テスカトリポカにボロ負けした現状。

このままじゃ良くないと思うんだよね。

ケツァルコアトルの存在が知られてしまった以上。テスカトリポカが日本にいる俺らに何か仕掛けて来る可能性が高い。


その時に今のままじゃ、ソフィアや皆を守る事が出来ない。

じゃ、手っ取り早く今より飛躍的に強くなるには、どうしたら良い?

ってなると種族進化が最有力な気がするし。


俺がそう考えるのが分かってるから、この話を持ってきてくれたって事なんだろう天照様は


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読んでいただきありがとうございます。

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