第474話
「仕方がなかったにしても。これで私が復活していることがテスカトリポカにバレてしまったな」
ケツァルコアトルが自分の存在を公にせず隠すのは、言ったところで現状の姿では信じられないだろうし。仮に信じられたとしても世界規模の騒ぎになって大混乱が起きるのは目に見えているからだと思ってたけど。
テスカトリポカに復活を悟られないようにする為だった訳だ。
「そうなると。今後、日本にケツァルコアトルを倒す為の刺客がテスカトリポカによっておくられてくる可能性も?」
「十中八九な。やつは私が少しでも力を取り戻す前に消して起きたいと考えているはずだ」
めんどくせぇ
「地球との誓約を破ったとかでテスカトリポカ消滅してくんねぇかな」
「無理だろうな。やつがそんなミスするとは思えない。地球との誓約は強力だ。だからこそ、それを神々が破らない限り地球が神々に手を出す事は出来ない。今回の件で地球の助力を得るのは難しいだろう」
今回みたいな事が出来ている時点でほんとに強力なのか?その誓約は?と突っ込みたくなったけど。
誓約があったからこそ、この程度すんでいるとも考えられるのか。
ぶっちゃけテスカトリポカは俺単体だけを狙って攻撃する必要なんてなかったはずだ。
まぁ、戦闘の感や体が鈍ってないか確かめる為にわざわざ俺と戦闘した的な雰囲気もあったけど。
誓約関連の縛りがあったからって理由もあったんだろう。
その状態でも手も足も出なかったんだけどね、結局……
あ〜クソッ!なんかイライラして来た。
何か〈憤怒の王〉の制御が上手く出来ていない感じ。
コレ感情を落ち着かせようとするより。
どっかで発散させてスッキリしちゃった方がいいかも。
「ソフィアと合流するか」
巨大蟻の殲滅ぐらいなら、このままソフィアに任せても問題ないけど。
ストレス発散のサンドバックに丁度良いだろう。
もうここにいる理由もないし。河村さんに声だけかけておくか。
テスカトリポカが黒い霧形態になってくれたおかげで俺が死にかけてた事はバレてないけど。
戦闘前に俺が焦ってたのはガッツリ見られてた訳だし。
適当に河村さんに声をかけてソフィアが飛んで行った方向に移動を開始した。
ーーーーーー
「あ〜ソフィアも結構キレ散らかしていらっしゃる?」
まだ少し離れているけど。周囲の気温が少し下がって来た。
いや、吐く息が白くなっているからちょっとどころじゃなくガッツリ気温下がってるよな。
気温が下がったおかげか巨大蟻の動きが遅くなっているし。
周囲への被害が少なくなってるっぽいから問題ないのかな?
ここは南米だから生活している人達はみんな薄着だし、すごい寒そうだけど。
巨大蟻に捕まるよりはマシだろう。
「ソフィアさんや調子はどう?」
「あんな感じだったのに凄いあっさり合流してきたわね……まぁ、怪我を治してから合流しただけなんでしょうけど」
「黙っててもバレるだろうからぶっちゃっけると今回に関してはケツァルコアトルが助けに来てくれなかったらガチで死んでた」
隠したとしても速攻バレるだろうし。
バレた時の反応が怖い。
現に笑顔のまま無言でジッと見てくるのがすごく怖い……
周囲の気温が更に一気に下がったと錯覚するレベルでゾクってした。
「まぁ、詳しい話は後でゆっくり聞かせて貰うとして。早く終わらせましょう」
「はい。分かりました」
これは余計なこと言えないな。
大人しく巨大蟻を殲滅して怪我人を治していこう。
「謎のさけ目と聞いた時から何となく察してたけど。やっぱり異世界と繋がる空間のさけ目だったか」
めんどいな〜ここが日本だったら空間のさけ目を破壊して終わり何だけど。
ここは外国だからな。
後で文句言われるかもしれないし。
例え助けてって救援要請されてここに来てたとしてもね……
有りそうなのは頼んでいたのは巨大蟻の殲滅で謎のさけ目の破壊じゃないとか言われるパターン。
流石にそれはないだろう、国中で被害出ている訳だしって思うかも知れないけど。
それが人間と言う生き物だからな。
とりあえず。空間のさけ目からわらわら出てくる巨大蟻を倒し続けているとBR国の軍が続々と集まって来る。
何か巨大蟻を倒すのはここまででいいって言うからここで撤退。
勝手に帰ったとか言われ無いように会話を録音して、俺が戦うのはここまででいいよって感じの内容の書類に軍のお偉いさんに署名して貰った。
「まぁ、そろそろ学校行かないと遅刻になっちゃうからちょうど良かった」
時差の関係上BR国はもう夜だけど。日本だと朝だからな。
平日なので普通に学校がある。
そろそろ帰らないと遅刻になってしまう。
向こうが『もう、帰って良いよ』って言うなら帰らせてもらおう。
この後、再び巨大蟻を抑える事が出来ずに国を蹂躙し始めたとしても。
それは国がこの選択をした結果だ。
まぁ、もう助けに行かないって訳じゃ無いからヤバそうだったら、もう一回助けに行くけど。
河村さんに自分達は先に日本に帰ってますねと連絡を入れてから転移で日本に帰還した。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます