第462話

「んっ勝彦から連絡?なになに……クラスのやつからカラオケに誘われたんだけど。映司も来ない?かぁ〜」


一通り最新のネットニュースを確認したあと動画を見てのんびりしていると勝彦からもの凄く高校生っぽいイベントへのお誘いのメッセージが届く。


参加するのも悪くないんだけど……

今日は外に遊びに行く気分じゃないな。


誘ってくれるのは嬉しいけど。今日は忙しいから遠慮しておく。

と返信しておいた。


それに俺がいると、どうしても目立ってしまうのでカラオケどころじゃ無くなって迷惑かける事になりそうだし。


勝彦に返信をしたあとは動画の視聴しながら、部屋の水槽の管理をしながら今度は海水水槽もやってみたいな、なんて考えていると半透明で茶色の液体が入っている瓶を持ったソフィアが部屋に入って来た。


「それがマンドラゴラ水?」


「えぇそうよ。濃縮もウィーの力を借りれば一瞬だったし、お湯に薬効成分を染み出させる時間以外は殆ど時間がかからなかったわ。

今からこれをドロテアに見せに行こうと思うんだけど。映司も一緒にどう?」


「そう言う事なら一緒に行こうかな」


魔力で作った服の見た目を部屋着から外着へと変更する。


転移を使ってドロテアのお店に直接移動した。


「久しぶりドロテア」


「あら。今日は映司も一緒なのね。久しぶり」


ドロテアと会うのはオークションの時に会ってから以来だっけか?

それ以降に会った気がしなくもないけど。

思い出せないし、オークション以来って事でいいだろう。



「まぁ、今日もただの付き添いで来ただけで何か用事があるって訳じゃ無いんだけどね」


「はいドロテア。例の物、出来たから持ってきたわよ」


ソフィアがそう言ってマンドラゴラ水をドロテアに渡す。


「……私の知っているものと少し違うけど確かにマンドラゴラ水のようね」


ドロテアはマンドラゴラ水を受け取ると1度お店の地下に引っ込んで行った。

相変わらず1階部分で販売している商品はジョークグッズが多いな〜と思いながらお店の商品を眺めていると、ドロテアが地下から戻って来た。


異世界で手に入れたマンドラゴラだからな。

同じ名前でも地球で手に入る物とは別物って事もあるだろう。


ドロテアの反応的に今回は全く同じでは無いけど、全くの別物って訳でもないと言ったところか。


「因みにどの辺がドロテアの知っているマンドラゴラ水と違うのかしら?」


「ほとんど同じだけど。ポーション等の生き物が服用して使うものの材料としては私の知っているマンドラゴラ水の方が優秀だけど。

魔導具の材料、付与の触媒としてはこのマンドラゴラ水の方が優秀ってところが1番大きな違いかな」


出来ることなら使い分けした方が良いって事か。


と言っても、この世界のマンドラゴラとはまだ遭遇してないし、使い分けなんて出来ない。


ダンジョンに入ってマンドラゴラ探ししても良いけど。

今持ってるマンドラゴラ水でもポーション系の材料にする事は出来る訳だし。

どれだけ時間がかかるか分からないノーヒント、マンドラゴラ探しをするつもりにはならないな。

運良く見つかったらラッキーぐらいの感じで良いや。


「ところで、このマンドラゴラ水は私に売ってくれるのかしら?」


「まだ国に販売許可申請をだして無いから今日売るのは無理よ。後々文句言われたくないでしょ?」


ダンジョンで手に入れたものでは無いけど。

似たようなもんだしな。

勝手に販売しているのがバレたら文句言われるという話じゃすまない。


いやまぁ、俺と言う戦力をその程度のことを指摘した結果失うことになるぐらいならって見て見ぬ振りしてくれる可能性も高いけど。


政府にサンプルを提出して認可を貰えば販売できるようになるっていう時点で、超優遇してもらっている状態だからな。


ひと手間ぐらいかけるべきだろう。

実際にサンプルを提出して販売許可の申請を出すのが俺じゃないから、そう思えるのかも

知れないけど。


……いや流石にそれは無いな。


特例を認められているのに、その申請すら面倒くさがるのはイカンでしょ。


「と言っても。今日なにも持ってきてないわけじゃ無いわよ。ほらこれ、お土産」


ソフィアは、そう言って龍酒(赤ワイン)を手渡す。


「これをお土産として渡されちゃこれ以上文句は言えないわね」


いや、まじで龍酒って便利だな。

天照様も一種類だけじゃどれだけ美味しくても飽きが来ると言って俺の作った龍酒をかなり喜んでくれたし。


魔女だって喜んでくれるし神様だって喜んでくれる。用意も簡単(赤ワインの方は少し手間がかかる〈主にフィロが〉けど)

お土産として最強のアイテムだよ龍酒は。


勿論、お酒が苦手な人とかにはお土産として渡せないけど。

それならそれで選択肢は他にも有るしね。

フィロの育てた果物の詰め合わせとかね。

なんならこっちの方が喜んでくれる人も多いだろうし。

ただ、珍しかったり高かったりすればいいって話じゃないのが難しいところだよねお土産って。


その後はドロテアのお店でいくつか買い物をさせて貰ってからドロテアのお店を後にした。



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読んでいただきありがとうございます。




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