第461話

「もしもし、進藤です」


「どうしたんだい?映司君。正直、映司君から唐突に電話がかかってくると、また何か起きるのかって不安になって来るんだけど…」


「そんなこと言われても。報告しない訳にいかないでしょ?」


対応が後手後手にまわってしまった方が不安になったり胃が痛くなる程度じゃすまないだろう。


「それはそうなんだけどね。それで今日はいったいどんな面倒事かな?」


まぁ、河村さんとただただ世間話する為だけに電話する事は無いからな。


「いやほら、少し前に天皇陛下にお届け物があるって話したじゃ無いですか?いつになったら渡しに行けるかなと思って。贈り主から『まだ届けてないのか?』って昨日言われちゃったんですよ」


渡すのは何時でもいいって言ってた癖にね。

まぁ、俺もそう言ったとしても数ヶ月届けられ無かったら、そう言っちゃうと思うけど。


「あ〜そう言えば。そんな話もあったね。正直忘れてた。確認してみる、と言っても向こうから連絡が来ていないところから察するにまだ完全に解決していないんじゃ無いかな?」


「それもそうか……うーんまぁ、ちょっと強引な最終手段も存在するので、問題が解決してなくても問題ないとも伝えてくれますか?

あっ!先に言っておきますけど。暴力で黙らせるとかじゃ無いですからね?最終手段の内容」


俺が最終手段とか言うと暴力で黙らせる事を指していると勘違いされる気がしたので、何か言われる前にそうじゃないよと伝えておく。


「それを聞いて安心したよ。因みに最終手段の内容を聞いても?……事前に聞いておかないと後悔する気がもの凄くする」


「いや〜最終手段って言っても大した事じゃないですよ。ちょっとスサノオを、その場に呼び出すだけで……」


出来るだけ軽いノリで最終手段について説明する。


神を呼び出す。そんな事言われたって普通は冗談だと思って信じないだろう。


だけど。俺の無茶ぶりの振り回されている河村さんからしたら何かあったらガチで神を呼び出すつもりだと理解したはずだ。


「もしもーし。河村さん大丈夫ですかー」


返事が返って来なくなってしまったので、聞こえてますかーと声をかける。


「……正直、神を呼ばれるぐらいだったら

映司君が殺気を飛ばして分からせてくれる方が何倍もマシな気がするんだけど……」


「嫌ですよ。そんな事したら俺が悪者にされちゃうかもしれないじゃ無いですか。まぁ、その時はE国に亡命するだけですけど。

それに、何も起こらなければ普通に宝玉を天皇陛下に渡して終わるんですから、そんなに心配する必要無いですって」


自分で言っといて何だけど。盛大にフラグを建てた気がする……


と言っても俺から喧嘩をうる訳じゃないし、もし何かが起こっても俺は悪くないって事で。


「とりあえず宮内庁に確認はとってみるよ」


「はい。お願いします」


話を通してくれないと、いつまで経っても話が進まないからな。


その後はシェリル達ワイバーンの赤ちゃん達はどんな感じで過ごしているか軽く聞く。


通訳兼護衛として派遣しているロスからも話は聞いているけど。

SCSF側から見た感想も聞いて起きたかったからだ。


「河村さんは忙しいのに長時間のお電話に付き合っていただきありがとうございます」


「いやいや、映司君からの連絡と言えば文句は言われないし。丁度いい休憩になったよ」


それ、後々俺がSCSFの人から文句言われない?と思ったけど。

実際話を伸ばしたのは俺だしな。

まぁ、仕方ないか。


電話を切った伸びをする。

リーリンさんとの模擬戦後の感じていた体の痛みもほぼ消えた。


今すぐやらなきゃいけない事も無いし何しようか?

マンドラゴラ達と実験しているソフィアの邪魔は出来ないし…

リーリンさんとの模擬戦が激しかったから、今から何処かのダンジョンに行って魔物と戦闘する気にもならないしな〜

偶にはダラダラ過ごすか……



「へ〜CA国の〈勇者〉のスキル持ちがリーダーをするパーティーがダンジョンマスターを討伐か〜」


楓さんから聞いた話〈勇者〉スキルは魔物と戦闘する時にBPに補正がかかったり、剣術系スキルだったり魔法系スキルだったりが使えるようになる強力な複合スキルだからな。


ダンジョンマスターの討伐ぐらい、そりゃ出来るでしょ。

倒したのは難易度の低い、下級ダンジョンのダンジョンマスターだろうし。

正直、A国もドミニオンアーマーを装備した軍人パーティーで下級ダンジョンのダンジョンマスターぐらい倒せるだろうし。

E国だってエリックさんとかロイヤルナイツなら倒せるだろう。

相性によっては討伐が厳しいって事もあるだろうけど。


なので、個人的にはダンジョンマスターを討伐したと大々的に発表されようがで?と言う感想しか出てこない。


世間的にはだいぶ盛り上がっているみたい。

〈勇者〉スキルについても今回公表されているから。

〈勇者〉ってスキルが有るなら〈魔王〉なんてスキルも存在するのかな?と言ったような発言をしている人もいるようだ。


勇者関係で変な事に巻き込まれないと良いな〜と思いながら記事のページを後にした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。





  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る