第460話
「何これ……えっ?あぁ、おはようマンドレイク君」
神々の宴会に参加する為に出雲大社に行った翌日。
今日は休日という事で2度寝をしてギリギリ午前中と言う時間に起きて1階に降りるとマンドレイク君がマンドラゴラ達を先導してお風呂場に向かっている場面に遭遇した。
もしかしてコレ夢か?と思ったけど。しっかり現実のようだ。
凄いコテコテだけど。頬っぺた引っ張ったら痛かったし。
「おはよう映司」
「おはようソフィア。で、コレはいったい何事?」
マンドレイク君達の後ろからソフィアが現れたので、手っ取り早くなんでこんな事になっているのか聞いてみる。
「マンドラゴラって本来の使い方ってみじん切りにして煮込む事で薬効を染み出させるとマンドラゴラ水っていう薬の材料になるみたいなんだけど。コミュニケーションが取れるなら、お風呂に入って貰った残り湯をマンドラゴラ水として使え無いかなって言う実験よ」
基本的なマンドラゴラ水の作り方はドロテアに聞いたらしい。
しかし、マンドレイク君を通訳としてマンドラゴラとコミュニケーションを取ることが出来た為、殺さずにマンドラゴラ水を確保する方法を試しているようだ。
従来の方法より工数が増えるだろうけど。
継続的に決まった量のマンドレイク水が手に入るってのはいい事だと思う。
「それじゃ結果が出たら俺にも教えてね」
今日はやることないし俺もその実験に参加させて貰おうかなって思ったけど。
マンドラゴラ達は皆女性らしく、男の俺は参加禁止と断られてしまった。
どうやらマンドレイク君は生後数日で既にハーレムの主になったようだ。
ソフィアがいなかったら血涙を流してマンドレイク君に嫉妬して事だろう。
そう言えばマンドレイク君の名前って決まったのかな?
フィロにあったら聞いてみよう。
じゃあ頑張ってね。と言ってソフィアとマンドレイク君達とわかれる。
今からリビングに行っても今の微妙な時間だと、12時になるまでご飯は食べられないだろうし。
リーリンさんにお土産を渡しに桃源郷に行くか。
昨日は帰って来てからリーリンさんと会ってないからな。
例のお土産をまだ渡せていない。
リーリンさんも空気が読めない人じゃないから、昨日は八塩折之酒を寄越せって突撃して来なかったけど。
今日はそうは行かないだろうから早めに渡しに行こう。
ーーーー
「ようやく来たか……来るのがあと十分遅かったら、こっちから突撃するところだったぞ」
桃源郷の中に入った瞬間リーリンさんがどこからともなく現れる。
お酒が大好きなリーリンさんが約半日待ってくれただけ奇跡なんだろうなと思いつつ八塩折之酒が入った瓢箪を山なりに投げる。
「こらっ!酒を雑に扱うな」
リーリンさんは、そう文句を言いながらキャッチする。
「それはそうと映司。今日は何も予定が無いんだろう?なら私の運動に付き合え」
「休日だからこそ、リーリンさんと模擬戦なんてしたくない……って言いたいところなんですけど。ちょうど俺もリーリンさんと模擬戦したかったところなんですよ」
自分が手も足もでない相手ばかりの場所に行ったからかな。
それとも、自分ひとりじゃ立ち上がれないレベルで酔っ払っている状態でさえ天照様には傷一つすら与えるイメージが出来なかったからか。
この間、リーリンさんが全くと言っていい程本気をだしていない状態とはいえ擦り傷を与えた事でちょっと調子に乗っていたのかな?
口ではまだまだとか言ってたのにね……
そう言う意味でも今回の宴会に参加した価値はあったという訳だ。
「……何時になくやる気じゃないか。そう言う事なら今までより少しだけ本気をだして相手してやろう」
ーーーー
「あ〜本当いつも以上にボコボコにされた」
傷は全て治したはずなのに身体中がまだ痛む。
魂とかスピリチュアル方面のダメージも治したはずなんだけどな……
「これぐらいの力を出てない私には楽に勝てるようにならなきゃ話にならないぞ?実力で上位の神と並びたいなら」
いやー本当に先は長いな。
本来なら長い年月をかけて到達する領域だろうし。
当然だろう。
「まぁ、焦ってもいい事無いだろうし。また相手してください」
一回模擬戦した程度で飛躍的に強くなれるわけが無い。
こういうのは継続することが重要なんだ。
「映司との模擬戦はいい運動になるからな。何時でも相手になるぞ。まぁ今日はこれから八塩折之酒を呑むから相手はできないけどな」
リーリンさんと連続で模擬戦なんて無理だし。
寧ろ有難い。
鼻歌交じりにスキップして桃源郷の奥に帰って行くリーリンさんを見送った。
「そう言えば。例の宝玉の話」
忘れないうちに河村さんに電話をかけて話しておこうって思ったのに既に忘れてた。
ダンジョン内からでも通話ができるトランシーバーも持っているけど。
緊急事態って訳でもないし。
直ぐに外に出られる状況だから、桃源郷から出て普通にスマホで連絡すれば良いだろう。
地面に大の字になって倒れていた状態から立ち上がり桃源郷から外に出た。
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