第457話

「おう、ようやく来たか」


「やっぱりスサノオもここに来ているのか。久しぶり」


想像以上のカオス空間だな〜と呑気に神域を眺めていると、知り合いの神様が現れる。

知らない女神を2柱連れて。


「それで、そちらの神様達は?」


「あぁ、こっちは櫛名田比売。それでこっちが━━━━━」


「いやいや、実際に目にすると地球が誕生しないように封印していただけは有るなと納得出来る。龍と悪魔の要素が混ざった生き物いや〜恐ろしいね」


いつの間にか俺の真横に移動していた女神が俺の事をペタペタ触りながら、スサノオの紹介を遮るように喋り始める。


うんまぁ、相手は神様だし。接近に俺が気づけないってのは驚かないけど。

せめて自己紹介終わってからにして欲しかったな。


「……その空気を読まない神が我が姉、天照大神だ」


片方が櫛名田比売なら神大市比売かなと思ったけど……そっちだったか。


「ふんっ!神殿にう〇こ撒き散らした馬鹿野郎に比べたら私の方が常識神だ」


え〜あの神話ホントの話なの?

神様だとしてもう〇こを姉の所持する施設にばらまくってヤバいでしょ。


……いや神話の話の中ではマシな方なのか?


それにしても地球が誕生しないように制限をかけていた組み合わせの生き物か……


地球の完全な制御化におかれている訳では無い異世界にいる時に自力で種族進化したからこその結果な訳だ。

色々綱渡りな行動ではあったけど、その分デカイリターンもあった訳だ。



「天照様、大変申し訳ないのですが。婚約者以外の異性に体をペタペタ触られるのは…」


「それもそうか。すまんかった」


天照様がそう言って俺から離れる。

なんかこの一瞬のやり取りで凄い疲れた。


「このまま色々話を聞きたいところだけど。部屋で座って食事を楽しみながら話をするとしよう。お主が持って来たクジラと烏賊を使った料理が中々美味しくてな〜」


そんな事を言いつつ天照様は1人何処かに向かって歩いて行く。


どうすれば?とスサノオの方を見ると『こうなったらついて行くほか無い』と返事が返ってきた。


櫛名田比売様も愛想笑いを浮かべている。


まぁ招待されたから来たけど。俺自身なにか目的があって来た訳じゃないし、大人しくついて行こう。


天照様の方を見ると想像以上に先に行っていたので、見失いなわないよう急いで天照様の後をついて行った。


「あ〜そう言えば、コカトリスの卵渡して無かった」


部屋に到着し、天照様が神の使いの1人に料理を持ってくるように頼んでくれたので、直ぐに運ばれて来た緑茶を飲みながら料理が運ばれて来るのを待っていると。クラウドホエールとクラーケンの肉は稲荷狐達に事前に運んで貰っておいたけど。


それ以外の用意していた食材を渡すの忘れてた。

いやまぁ、クラウドホエールとクラーケンで十分っぽい雰囲気は出てるけど。


異世界の食材だし味も美味しいしって事で結構好評だって言われたし。

神々は皆さん龍酒を楽しみにしていますって言われてたのに渡してなくても文句を言われないレベルだからな。

気にする必要は無いかもしれない。


「ほう。魔物の卵か…」


魔物食材の名前を呟いてしまったせいでこの部屋にいる神様全員から食べたいと言う無言の圧力を感じる。


「まぁ、最初から食材として渡すつもりで持ってきてるんで別に問題ないけど。数が沢山ある訳じゃ無いからコカトリスの卵を巡って騒ぎにならないか、ちょっと心配なんですよね」


一つ一つがダチョウの卵サイズとはいえ数個しか持ってないので、この神域に集まっている神様全員が食べれる量はない。


「そう言う事なら、ここにいる私たちだけでこっそり食べれば良い。櫛名田比売よ、調理を頼んで良いか?」


「お任せ下さい。料理は得意ですので」


当然テーブルの上にホットプレートが出現する。

どうやら本気のようだ。

魔物食材な訳だから魔力抜きが必要になる訳だけど……

まぁ、神様だし料理系のスキルがなくたって大丈夫なんだろう。


「コカトリスの卵って火に耐性があったりするんですかね?」


先ずはコカトリスの卵 本来の味を堪能しようと目玉焼きを作っているんだけど。

一向に白身が透明なままで白くならない。


「いえ、色が変わらないだけで火は通っている見たいですよ」


櫛名田比売様がコカトリスの目玉焼きの下に返しをいれて少し持ち上げる。


確かに透明なままだけど。火が通って固まっているようだ。


「そう言えば、天照様は目玉焼きはひっくり返して両面焼く派ですか?それとも少し水を入れてフタをする事で蒸し焼きにする派ですか?」


そこら辺、気にする人結構いるよね。

俺はどっちでも良いけど。


「私はどっちでも構わんぞ。……ただまぁ、このサイズの目玉焼きを綺麗にひっくり返すのは流石の櫛名田比売でも難しいのでは無いか?」


「そうですね。蒸し焼きにしましょう」


火が通っても見た目が変わらないせいで焼き加減が分かりにくそうだけど。

櫛名田比売様が多分大丈夫だろうと判断したタイミングで4等分されて全員に1切れづつ配られた。


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読んでいただきありがとうございます。










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