第458話
「調味料を付けなくても問題ないくらい濃厚な味をしている」
一度コカトリスの卵の味を知ってしまったら他の卵が食べれなくなりそう。
それだけ今まで食べてきた卵とは比べ物にならないレベルの美味しさだ。
実際にはコカトリスの卵以外は今後食べないなんて事はないだろうけど。
コカトリスの卵の味に慣れてしまったら苦労しそうだ。
肉や野菜に関しては既にそんな感じになりかけている。
肉はワイバーンの肉が大量にストックされてるし、野菜はフィロが育ててくれてる野菜があるからな。
このまま行くと海産物も同じ感じになってしまいそうだ。
美味しいものが毎日食べられるのはいい事だけど。それに慣れすぎちゃうってのも問題なんだな〜
「あっ!洞窟蟹っ」
忘れてた食材第2弾の存在を思い出した。
海産物では無いけど。海産物から蟹を連想して今日の為に手に入れた洞窟蟹も渡していなかった事を思い出す。
もう色々忘れちゃってダメダメだな。
まぁ、神が沢山いると言う状況に緊張しているせいって事にしておこう。
「ほぅ蟹と言ったか?」
「確実に蟹と言いましたね」
「忘れすぎじゃねぇか?映司」
「異世界の洞窟の中にある池や水源に生息する蟹です。生息している場所の重力が大きい程身が引き締まって味が美味しくなるそうです。揚げると殻がパリパリになって丸ごと美味しく食べられます」
洞窟蟹については、どれだけの神様が此処にいるのか把握出来ている訳じゃ無いけど。
コカトリスの卵と違って数を用意してあるのでコソコソする必要は無いだろう。
「面白い生き物がいるものだな異世界には」
「そうですね。雲の中をクジラが泳いでたりしますし。まぁ、地球でもダンジョンの中に入ったら似たようなものですけどね」
「それもそうだな。ところで蟹は用意できたのか?」
「そうですね。ある程度は数を用意してありますよ」
「そうか。ならコソコソ食べる必要ないな」
天照様がそう言った瞬間襖が開き神の使いが部屋に入ってくる。
「映司が追加で異世界の蟹を持ってきてくれたようでな。素揚げにすれば殻ごと食べれるらしい」
「かしこまりました。映司様」
「はいはい。すいません少し魔導具を使いますね」
コカトリスの卵についてはここに来る前までは覚えていたので自分が装備しているマジックバッグに移していたけど。
洞窟蟹に関しては完全に忘れていたので、ディメンションルームの中に設置してある時間停止が付いたマジックボックスに入れっぱなしだ。
問題ないと言われたのでディメンションルームを発動して中に入る。
マジックボックスから洞窟蟹がタンマリ入った袋を沢山取り出す。
「魔導具ってものは面白い……が恐ろしくもあるな。魔導具さえ有れば誰だってこんな事が出来るようになるんだろう?」
ディメンションルームから出て来ると天照様からそう言われる。
「まぁ、これレベルの魔導具は簡単に手に入る物じゃ無いけどね。でも、訳分からん程理不尽なスキルとかも存在しますからね」
正直、一般人でも拳銃より危険なスキルを持ち歩いているような世の中だからな。
「まぁ、そう言う世の中だからこそ我々も地上への干渉出来る事柄が増えてはいるんだが……罪のない善良な日本人がそう言ったモノの被害にあうのはな……だからこそ映司、お主がおこなう予定の月移住計画には期待しているぞ。失敗したら今まで以上に善悪関係なく被害者が増えるからな」
天照様からしたら日本人はみんな自分の子供的な感じなのだろうか?
子供まではいかないけど、大切に思っているのは間違いなさそう。
月移住計画の時だけ人?神が変わったように真剣な表情と声してたもんな。
まぁ、日本に暮らすどちらかと言えば人間側?の俺からしたら天照様がそう言う性格で安心した。
「そうですね。出来る限り頑張りますが。正直、地球の行動待ちなんですよね」
月に人類が生活出来るようにするには地球が用意した超高難易度ダンジョンをクリアする必要がある。
そのダンジョンが出現するのが、地球とこの話した時からだいたい一年後って話だったからな。
現状出来る事と言えば精々そのダンジョンが
出現した時に一秒でも早く攻略できるように
少しでも強くなっておくぐらいかな。
「まぁ、無理をするなとは言っていない。
何か困った事が有れば私の神域に相談しに来てくれればいくらでも力になるぞと伝えたかっただけだ」
協力的な神様が増えるのはいい事だ。
地球との契約で能力の使用に制限がかけられていようと俺なんかより色々出来るし知っているからね。
いざとなったら遠慮なく頼らせて貰おう。
「流れで真面目な話になってしまったが。今は忙しい仕事前の休み期間だ。何も考えずに美味しものを食べてしたい事して遊ぶぞ!櫛名田比売よ八塩折之酒を持ってきているか?」
「当然、父と母と共に作った物を持参していますよ」
「良し。映司の持ってきた洞窟蟹は良い酒の肴になりそうだし。映司と初対面の時に酔っ払っていたら威厳が地に落ちると思って宴会なのにまだ一滴も酒を呑んでいなかったからな。ここからは好きに呑むとしよう」
結局、この後は俺が帰る時間になるまで酔った天照様の相手をする事になってしまった。
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