第445話
「リンゴだけ仲間はずれってのは可哀想だからね。リンゴは俺がおやつを上げるよ」
大瀬崎さん達が用意したご飯には当然りんごの分はない。
かと言ってリンゴだけご飯が貰えないって言うのは可哀想なので、俺のマジックバッグの中に収納されている食べ物を少し上げる。
家に帰ったら、ちゃんとりんごの分のご飯が用意されてるから、上げすぎちゃうと帰ってからご飯が食べてなくて俺とリンゴが怒られる事になるからね。
「はい、リンゴの好きなイチゴ。それに今日は桃源郷で収穫した白桃もあるよ」
リンゴは俺が初めてドライフルーツをあげたときからイチゴが大好物だ。
リンゴが好物のイチゴを食べている間に白桃の皮を向いて一口サイズに切り分ける。
「大瀬崎さん佐原さん、どうしたんですか?こっちをじっと見て」
「い、いや桃源郷で収穫した桃。それって……」
「仙桃ってことですよね?新藤さん!」
なるほど。そう言う事か。
「確かに仙桃ですけど。食べても精々体の調子が少し良くなる程度で、寿命が延びたり仙人になれたりはしませんよ」
この仙桃は桃源郷に入って比較的直ぐの場所で採取できるもの。
入手が簡単な分、効果も控えめだ。
リーリンさんが言うには、食べると数千年単位で寿命が延びたり、特別な力が使えるようになる仙桃も確かに存在するらしい。
俺も未だに見た事無いレベルのアイテムだけど。
「仙桃である事は肯定するんですね……」
「隠す必要ないですからね。仙桃って言ったって大した効果を持っている訳じゃないですし。美味しいだけの白桃ですよ」
体の調子が多少良くなる効果は有るけど。
それぐらいの効果なら、他のダンジョンでも似た様な効果を持った食材を簡単に確保出来るからな。
この程度の効果だったらあって無いようなものだ。
「それでも仙桃って伝説上の果物ですからね?ポンと出てきたらビビります」
なんなら今この部屋にいる生き物の半分以上が伝説上の生き物であるリュウ何だけど……
まぁ、いいや何に対して驚くかはその人次第だし。
「映司様、1つご相談が有るのですが……」
リンゴにオヤツをあげ終わったタイミングを見計らってロスが話しかけてくる。
「どんな相談?」
「あの子たちに飛行訓練を兼ねた運動をさせてあげたいのですが。それをするには部屋としては広いですが流石に広さが足りなくてですね」
飛行訓練か〜。
訓練しなくても飛ぶことは出来るけど。
アクロバティックな飛行とかは練習しないと難しいよね。
それに運動と言う点でも、この部屋の中でゆっくりパタパタ飛んでいるだけじゃワイバーンの赤ちゃん達からしたら運動不足になってしまう。
「SCSFの練習場を借りるのは?」
「余り人が多い場所だとあの子たちが怖がってしまって……」
そっか。まだ、沢山人がいるところは怖いか……
「ってなると交差点ダンジョンが一番手っとり早いけど。従魔になっていない状態でダンジョンの中に入ったら、そのダンジョンの魔物になっちゃわない?」
「元々、ダンジョン生まれじゃない魔物は従魔だったり眷族になって無いとダンジョン内に入れなかったはずっす」
それじゃ、ダンジョンに連れて行くってのは無理な訳だ。
「どこかの広い建物でも貸し切って運動させるか」
どこかの体育館でも貸し切るのが一番だろう。
「帰ったら少し調べてみるよ」
俺じゃなくてクラリスさんがだけど。
まぁ、こう言うのは無理に自分でやろうとするよりクラリスさんに丸投げした方がスムーズに話が進むからね仕方ない。
その後は少しだけワイバーンの赤ちゃんたちとじゃれてから家に帰宅した。
「なるほど。それで体育館と言うか。広い建物を貸切で借りたいと。畏まりました、条件にあって直近で借りることが出来る場所を探しておきます」
「毎度毎度クラリスさんには申し訳ないけど。お願いします」
忘れる前にクラリスさんに事情を説明して、夜ご飯を食べて寝るだけなんだけど。
なんか眠くないし体を動かしたい気分だなと言うことで異世界にお出かけ。
洞窟蟹は確保したけど。もう少し食材を確保しておきたいからね。
(本日も食材を確保するために?)
(量もだけど種類的にももう少し欲しくてね)
異世界に移動すると創造神から直ぐに念話が届く。
(量。で言うならクラウドホエールと言う雲の中を泳ぐ大型のクジラ系の魔物などどうでしょう?雲の中を泳いでいると言うことは、空を飛んでいるようなものなので遭遇できるかどうかは若干運が関わってきますが)
雲の中を泳ぐクジラか。肉も大量に確保出来るだろうし。狙ってみるか。
クラウドホエールと遭遇出来なくとも。
空を飛んで広範囲を移動していれば何かしら食材になりそうな魔物と遭遇できるだろう。
(当然ですがクラウドホエールは雲の多い場所を探すと遭遇率が高いです)
まぁ、雲の中を泳いでいる訳だしな。
泳げる場所が広いところにいるのは当然だろう。
(ありがとう。取り敢えず、雲の多い方に向かって飛んでいってみるよ)
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読んでいただき有難うございます。
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