第439話

「それじゃ連れを迎えに行ってくるから」


リザードマンの先導で水路を進み主様が暮らしていると言う空間の手前に到着した。

かなり重力が増加しているな。

と言っても動きが鈍くなるとかそんな事は無いかな。


理外を使ってソフィアのいるところと繋がるワープホールを作り出しソフィアを迎えに行った。


「迎えに来たよ〜」


「時間通りね」


ソフィアのところに帰って来ると、ソフィアはキャンプとかで使う背もたれがついてる椅子に座って本を読んでいた。


〈嫉妬〉の能力で作られた霧に〈魔力障壁〉の結界を使って防御はしているみたいだけど。


魔物が出現する洞窟で物凄い寛ぎようだなと突っ込みたくなる。


「地龍も待っているだろうし。早速行こうか」


ワープホールをくぐる前に重力対策でソフィアの腕に絶炎を纏わせてソフィアに対する重力増加も無効化しておく。



「さてと。リザードマンの主様が俺たちに会いたい理由ってなんだろうな?」


リザードマンたちの後ろを歩きながら地龍が俺たちに会いたがっている理由を考える。


現状単純な好奇心ってのが一番可能性高いと思っているけど。

なにか他に理由があったりするのかな?


「我々は許可なくこれ以上進む事はできませんので、ここからはお2人でお進みください」


リザードマン達にお礼を言って先に進む。


ソフィアと二人で一本道を抜けると淡い光を放つ実をつけた蔦が天上や壁に生い茂る巨大な空間にたどり着いた。


今まではソフィアのために光源替わりの火球を周囲に浮かべてたけど。この空間なら光源は不要だな。


「よく来た。若き龍とその伴侶よ。私は地龍のラムールと言う」


「今回はご招待いただきありがとうございます。炎龍の進藤 映司です」


「婚約者のソフィア・パターソンです」


「うむ。お二人の事は創造神様から聞いている。別世界の神々の宴会で使う食材を探しているのだろう?」


なるほど。最初から話は通ってたわけね。

それなら先に言っておいてよと思わなくも無いけど。


それ以上重力の檻について事前に聞いちゃったらつまらないから、後は自分達で実際に確かめるよと言って創造神の話を中断させたのは俺なので文句は言えない。


あっ、ちなみにラムールさんはナイスバルクで白髪のイケおじの姿をしている。

執事服とか着せてシックなカフェで働かせたら毎日通う人が量産されそうな感じ。


「はい。創造神様に相談したらここの事を教えて頂いたので赴いたのですが……」


少し着いてきて頂けますか?と言われたので

ラムールさんの後ろをついて行くと。

リザードマン達が沢山いる地底湖にたどり着く。


リザードマン達がラムールさんの存在に気がつくと集合し膝まついた。


「昔、色々あって彼ら先祖を救いましてな。それ以来こうやって私に忠誠を誓い。私のために働いてくれているのです。スマンが誰か洞窟蟹を捕まえて来てくれるか」


ラムールさんがリザードマン達にそうお願いすると。

一番体格の良いリザードマンが地底湖に潜って行った。



蟹かー蟹良いよね。楽しみだな〜


そう言えば、此処って地上に比べてかなり重力が増加しているはずだけどリザードマン達は普通に生活しているよね。慣れとかでどうにかなるもんなのか?


まぁ、ラムールさんが何かしてるんだろうな。


そんな事考えていると地底湖の潜ったリザードマンが水面から顔を出した。


リザードマンが手には甲羅が手の平サイズのワタリガニそっくりの蟹が沢山入った袋が握られている。


「洞窟蟹自体はそこまで珍しい存在じゃ無いのだが、重力が大きい場所で暮らす程サイズが小さくなり身が引き締まり味が良くなると言う特性を持っていましてな」


「成程。ここで育った洞窟蟹は最高に美味しいと言うことですね」


ラムールさんがいるからこそ、重力が大きくなっている。


洞窟蟹自体は珍しくないと言っても、ここでしか手に入れる事が出来ない最高級の洞窟蟹と言う訳だ。


「お金は……そこまで持ってないので物々交換でどうですか?龍酒とかそこそこの量を持ってますよ」


流石にこの場では自分で捕ればタダとは行かない。

桃源郷の酒が湧き出る池で汲んだ酒から作った龍酒なら完全にノーコストなのに基本喜んで貰えるから贈り物とかにほんと便利。

最近はフィロの育てた果物詰め合わせとかの方が万人受けするだろうって、フィロの育てた果物詰め合わせを贈り物にする事が多いけど。


しかし今回は相手が龍。果物より酒の方が喜ぶだろう。


「話が早くて助かりますます。追加の洞窟蟹はリザードマン達に集めさせますので、私たちは先の場所に戻り洞窟蟹を食べてみませんかな?」


「それは良いですね。是非食べてみたいです」


「では決まりですな。それでは後は任せたぞ」


「はっ、お任せ下さい」


俺が持ち帰る分の洞窟蟹の確保はリザードマン達に任せ、ラムールさんが最初にいた空間に戻ってきた。


「そう言えば洞窟蟹はどうやって食べるのが美味しいんですか?」


「揚げると甲羅がパリパリになって丸ごと食べられるので。丸ごと素揚げや唐揚げにして食べるのが一般的ですな」


洞窟蟹は魔物じゃなくて普通の生き物らしいので、料理スキルで魔力抜きをする必要は無い。

創造神がオススメする蟹の味存分に楽しませてもらおう。



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読んでいただきありがとうございます。




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