第438話
「聞いていた通り、洞窟の中に入った瞬間少し体が重くなったわね」
異世界の創造神に食材になる珍しい魔物が出現する場所は近くにないかと質問してみた結果。
オススメされた重力の檻と呼ばれる洞窟に来ている。
ダンジョンでは無いのに洞窟の中に足を踏み入れた瞬間地上にいた時より体が重く感じる。
このまま奥に進めば進む程重力が地上の何倍にもなっていくらしい。
「ここはただの洞窟だからダンジョンギミックでは無くこの洞窟でのみ採掘出来る特殊な鉱石の影響らしいけど。何でここだけ何だろうね?」
全て聞いてしまうとつまらないので、周囲の重力を増加させると言う特殊な鉱石がこの洞窟にしか存在する理由は聞いていない。
色々仮説を立てながら正解を自分で見つけるってのも楽しいからな。
「そう言えばソフィア、相談なんだけど。
このまま先に進む?それとも重力変化を無効化してから進む?」
「えっ?どうにか出来るの?」
「出来るよ。多分だけど」
絶炎は全てを否定し拒絶する炎だから絶炎。
鉱石のよる重力変化を拒絶する事で、洞窟内の重力変化を無効化できるはずだ。
「辛くなるまではそのままでいこうかしら。映司がいない時に今回と似たような環境で戦闘するみたいな事が有るかも知れないし」
何から何まで楽をするのも良くないし。
絶炎による重力増加の無効化は一旦保留にしておこう。
「それにしてもこれは鍾乳洞で良いのかな?ライトアップだとか通路が整備されたら人気の観光地になりそうな景色だ」
洞窟内にはネットで鍾乳洞と調べると出てくる写真のような景色が広がっていた。
「そうね。魔物さえ出てこなければデートスポットとしてありかもしれないわね」
重力が増加するとか魔物が住み着いてるとか観光地には出来ない理由がてんこ盛りだからな。
だからこそ、人がいなくて自由にできてるし
力を持っている俺たちからすれば、それぐらいの方が案外良かったり?
「取り敢えず、先に進もうか。重力がキツくなって来たらすぐに言ってね。直ぐに対応するから」
そうして、重力の檻を進み始めたのは良いんだけど。
遭遇する魔物は百足や蜘蛛、ゴキブリ等と言った虫系の魔物ばかりだ。
虫系以外の魔物もコウモリや蛇と言った食べれない事は無いと思うけど、神々の宴会に持っていくには適さないだろうと言った種類の魔物としか遭遇しない。
「まぁ、まだ難易度の高い場所じゃないし。もうちょっと先に進んでみないと分からないか……と言ってもなぁ〜周辺の重力が増加する鉱石がこの洞窟にしか存在しない理由分かっちゃったからこそ奥までは行きたくないんだよな」
「そうなの?いや待って映司がコレだ!って確証を持って言える理由ってことよね?
この洞窟龍の住処だったりする?」
「恐らくね。入口部分は気づかなかったんだけど。大気中の魔力に少しだけ龍の魔力を感じる」
この洞窟を住処にしている龍は恐らく重力操作を得意とする地龍。
その地龍が自然と大気に放出する魔力を長い期間浴びた鉱石が周囲の重力を増加させる特殊な鉱石に変質したんだろう。
「確かに龍がいるとなると下手に刺激するのは危ないかも。龍と戦闘する事になるなら私は完全に足でまといだし」
「戦闘になったとして負けないとは思うけど。相手の実力をハッキリ判断出来てる訳じゃないからな」
それに龍って事は確実に知性が高く話し合いが出来る存在だ。
出来れば戦いたくない。
「それなら、今すぐ引き返す?」
創造神がここを紹介したって事はなにか有るんだろうけど。
それが安全かも……あぁ、もう手遅れか。
ウィーがいればもっと早く気づけたんだろうけど。
本当に2人っきりでと言うことで、ウィーとヴァルムの精霊組も地球に残って貰ったんだよね。
流石に理外を置いてくる事はしなかったけど。
「今の会話聞こえてたと思うけど。俺たちは縄張りを荒らしたり奪いに来た訳じゃない。なんだったら今すぐここから出て行くけど?」
一見何もいないように見える池に向かって声をかける。
「我々的にはこのまま引き返して頂けるならそれが一番ですが。我らが主から貴方を丁重にお連れしろと仰せつかっておりますので、我々について来て頂けると助かります」
そう言いながら水棲のリザードマン?が池から出てきた。
眷族では無いようだけど、地龍の配下をしている魔物のようだ。
「招待されたってなら連れて行って貰おうか。で、どうすれば君たちの主様に会えるのかな?」
「水中呼吸が出来るので有れば、水中を進めば直ぐなのですが……」
「なるほど。それじゃソフィアはここでちょっと待ってて。到着したら俺が迎えに来るから」
その間、ソフィアが一人になっちゃうけど
ソフィアは弱くない。BPが半分になるのは……って魔力体生成装置は使ってないにしても身代わり人形は持っているし。万が一の対策もしている。
「そうね。ウィーを連れて来てれば一緒に行けたんだけど……流石に世界を跨いで召喚する事は出来ないし、大人しくここで待ってるわ」
「それじゃ、案内よろしく」
「えーっと直ぐと言っても三十分程息継ぎ無しで水中を進む事になるのですが……」
「30分程度息を止めたぐらいで俺は死なないから問題ない」
なんなら数時間無呼吸で活動できるし。
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