第437話
「それじゃ河村さん行きましょう」
何とも無いように振舞っているけど。
気を抜いたら気絶しそう。
ヴァルムの時は耐えようと思って耐えれるものじゃなかったから、コレでもマシになってはいるけど早めに用事を終わらせて家に帰って眠りたい。
俺のやった事を見てボーッと突っ立ってる河村さんに声をかけて一緒に部屋を出た。
「前にも1回言ったけど、やっぱり映司くんって神様だったりしない?」
「どうなんでしょうね?俺は神様じゃないと思ってるんですけど…」
ほぼほぼ神みたいな事よく言われるし、神でも間違ってないかも知れない。
「まぁ俺が神なのかどうかはどうでも良くて例のアイテムの話をしましょう」
「ワイバーンの赤ちゃんをテイム出来るアイテムの話であってるよね?」
「はい。仲が良い事が条件ですがテイム出来るアイテム作って来ましたよ。あの子たちと仲良くなるには時間がかかりそうなのがちょっと問題かも知れないですけど」
「それは仕方ないさ。時間をかけて絆を深めるしかない」
「それじゃ、これを買い取るのも……」
「本当に申し訳無いんだけど。少し待って欲しい」
「分かりました。個人的にもコレを渡すのはワイバーンの赤ちゃんの仲を深めた人が現れたタイミングと思ってたので」
最初からこのオカリナの存在が広まっちゃうと、面倒臭い輩がわらわら現れるだろうし。
「それじゃ、俺はそろそろ……あっ」
ロスが喋れるように生身の肉体を作った訳だけど。生身の肉体を手に入れたと言うことは食事が必要になるだろうし、睡眠だって必要になるだろう。
魔物だから毎日食事をとる必要は無いだろうけど。本人に確認しておかないと。
正直、そろそろ気絶しないように耐えるのもキツイけど、気づいてしまった以上このまま帰る訳には行かない。
「そう言う事でしたら、竜牙兵を数体お貸し願いないでしょうか」
確かにロスが自由に操れる竜牙兵がいれば、ロスが寝ている間の護衛とかも任せられる。
「SCSFは友好組織だしあんまり数を用意する訳には行かないけど、数体ぐらいなら問題ないだろう」
竜牙兵を2体召喚して命令権をロスに与える。
後は河村さんにロスにもSCSF本部の食堂を使えるようにお願いして。
家に転移した。
ーーーーーー
「おかえり映司ってどうしたの!」
ソフィアに向かって倒れるように抱きつく。
意識を保つのももう限界だ。
「いやちょっと。ロスに生身の肉体を作って上げた反動でね」
「そうやって思いつた事をすぐ実行しちゃうんだから」
そう言いながらソフィアが俺の事をお姫様抱っこする。
ソフィアもレベルアップや種族進化のおかげで身体能力が上がっているからね。
人ひとりお姫様抱っこするぐらい余裕でできる。
それにしても……
「めっちゃ恥ずかしい……」
お姫様抱っこするのは良いけど、されるのはめっちゃ恥ずかしい。
まぁ、今から気絶する訳だしどうでも良いか。
ーーー
「おはようソフィア。俺ってどれぐらいの間気を失ってた?」
「だいたい30分ぐらいってところね」
30分か、思ったより短かったな。
「ねぇ、ソフィア少し2人で出かけない?」
「良いけど。体は大丈夫なの?」
「問題ないよ」
既に体に問題はない。
ソフィアと一緒に桃源郷に向かい、桃源郷に存在する空間のさけ目の前に到着した。
「異世界に行くの?」
「うん。あっちの世界なら魔物を倒せば死骸が丸々手に入るでしょ?神々の宴会に持参する食材を調達するのにちょうど良いかなと思ってさ」
ダンジョンに入らなくても地上にも普通に魔物がいるしね。食材になる魔物を倒せば倒すだけ食材を手に入れる事が出来る。
「なるほどね。まぁ、私は映司と2人でイチャイチャできるなら問題ないわ。異世界の方がデートの邪魔されない気もするし」
俺も何となくそんな気がする。
ソフィアと2人で空間のさけ目の中に入った。
ーーーーー
(映司さん、ソフィアさん。ようこそ異世界へ本日はどう言ったご要件で?)
異世界に到着すると直ぐに創造神が念話で話かけて来た。
丁度いい。
(魔物を狩って食材確保しようと思ってさ)
(魔物食材の確保ですか?上位世界でも可能なのでは?)
(そうなんだけど。地球じゃダンジョン内で倒した魔物の死骸が丸々残る訳じゃないから。 こっちの世界の方が集めるの楽なんだよ)
死骸が丸々残る分、解体が必要になる訳だから、丸々残る方が良いとは一概には言えないけど。
持ち運びの問題とかも有るし。
(という訳で、そこそこ近場で美味しい魔物が出現する場所って無いですか?)
(成程…でしたら重力の檻と言う巨大な洞窟は如何でしょう?)
重力の檻ねぇ。中々物騒な名前だけど。
面白そうな所じゃん。
明日も学校が有るし長時間探索出来る訳じゃ無いけど、そこに行ってみよう。
(ありがとう。そこに行ってみようと思います)
(お二人のお陰でこの世界は救われたのです。このぐらいお安い御用です。他にも気になる事が有れば、私と念話がしたいと念じて頂ければすぐにご対応させていただいますので)
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読んでいただきありがとうございます。
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