第433話
「転移魔法のスキルの書か……何処の国のものになるのかで、ひと騒動有りそうですね」
道化集団が目を覚ました時にスキルが使える状態だと危険だということで 空白の書 が持ち込まれて直ぐに道化集団からスキルの回収が行われた。
実際には理外のおかげでスキルは使えなくなっているんだけど。空白の書で回収するならそれを説明する必要もないし。俺以外の人達は空白の書が到着する前に道化集団が目を覚まさないかヒヤヒヤしていたようだ。
回収されたスキルの中には転移魔法を筆頭に
皆が欲しがるようなレアスキルが複数存在する。
普通に考えれば日本政府の預かりって事にはなるんだろうけど。
こいつらは日本以外の国でも暴れている。
それを引き合いに出してイチャモンつけて来る国があってもおかしくない。
そう言った件を対処するのは俺の役割じゃなくて日本政府のお偉いさんのお仕事だから俺には関係の無い話だろう。
「それに関しては上の方々に頑張って貰うしか無いですね。新藤さん奴らの無力化も完了いましたので、ご協力はここ迄で大丈夫です」
「分かりました」
もうここで俺がやる事は無いみたいなので、転移を使って帰宅した。
ーーー
家に帰って一度皆に顔を見せた後、一人になりたい気分だったので桜島ダンジョンの雪原階層に転移して天然?温泉に浸かる。
「こう言う時にお酒を飲んで酔っちゃえば色々考えずに済むのかな……」
悪人を殺す必要が有るなら殺す事を躊躇するつもりは無いし。
その選択を後悔するつもりは無い。
俺は彼奴らとは違うみたいな理由で一人になりたかったのでは無く。
助ける事が出来なかった一般人の遺族の嘆きの声を忘れられなくてだ。
まぁ、単純な性格しているから数日経てばまるっきり忘れる訳では無いけど気にならなくはなる。
「ダメだ。ボーッとしてるんじゃなくて、なにかしてた方が良さそう。そうだ……河村さんから頼まれているものを作ろう」
色々あって忘れかけてたけど。
ワイバーンをテイムできるようになるアイテムをSCSFに売る事になってるからね。
「うーん。どんな感じが良いかな……」
どんな形がするかなと考えてオカリナの形をしたアイテムを作り上げた。
リュウと一定以上の絆を育んだ人物がこのオカリナを吹いて、そのリュウに音色を聞かせると従魔にする事が出来る。
狙った通りの効果だし、これで河村さんとの約束も大丈夫だ。
ただの気分だけど、今回オカリナの素材には炎の結晶では無く、俺の牙をいくつか使って作成した。
なので見た目はただの真っ白なオカリナ。
鑑定されなきゃトンデモアイテムだとはバレないだろう。
「いくつ必要になるか分からないし。いくつか追加で用意しておこう」
SCSFが追加でいくつワイバーンの卵を押収して来るか分からないからね。
河村さんがこういった物を依頼してきた以上。
ヤクザが大陸から密輸したワイバーンの卵をまだ所持していると言う確証が有るからの筈だ。
何個必要になるのか聞いておけば丁度の数を用意出来たんだけど……
まぁ、このオカリナを作るのに少し時間がかかるだけで特に疲れたりはしないし、多い分には俺が保管して置くだけで良いし取り敢えず20個ぐらい作っておこう。
「うおっ!」
オカリナを計20個作り終えて温泉の中に全身を沈めるとソフィアと目があった。
ソフィアも勢いよく口から空気を吐き出していたので、このタイミングで目が合うのは想定外だったんだろうけど。
……そう言えば、ウィーって池から池を転移出来るんだっけ。
ウィーの能力で池もとい天然温泉に転移してきた瞬間、俺がタイミング良く天然温泉に潜ったことで起きたミラクルドッキリってことか。
「心臓に悪い。流石にびっくりしたわ」
「それはこっちもだよ。心臓止まるかと思った。それで如何してここに?」
「なんでって、こう言う時に一緒にいてあげるのが私の役目でしょ?」
ソフィア以外がそんな事言ったら何言ってんだコイツ?って言ってここから送り返してたただろうけど……
「それじゃ、少しだけ弱音を吐くのに付き合って貰おうかな」
ーーーー次の日ーーーー
あの後、満足するまで弱音を吐いたらある程度スッキリしたので事件に巻き込まれるゲームで遊んでたら朝。
普通だったら学校に遅刻確定の時間だったので転移を使って急いで高校に登校した。
「映司は定期テストの勉強はしっかりしているか?」
朝のHRが終わると勝彦がそう話しかけて来た。
もう10月だしな。ついこないだ一学期の期末テストを受けたばっかりな気もするけど。
二学期の定期テストがもうすぐある。
「まぁ、前回と同じく平均点周辺の点数が取れるぐらいには勉強してるよ」
提出課題もしっかりと終わらせてある。
赤点をとろうものなら出雲行きどころじゃ無くなるからね。
「そう言えば勝彦は最近どんな感じなの?冒険者として」
勝彦の近状を聞いているうちに一時間目が始まった。
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