地球「ファンタジーアップデートを開始します」

第430話

「再会を喜んでいるところ申し訳無いのですが。一度移動しましょう。ここだと病院を利用する人の邪魔になってしまいますし」

病院の入口付近なので、ここにいると邪魔になってしまう。なので、一旦近くの公園に向かうことになった。

「公園に来たのは良いですが。やっぱり人目が有るな〜」

そう言いながらちゃっちゃっと早嶋さんとリンゴの魂の繋がりを作成してしまう。

見られてようが何が起きたのか、理解出来たのは本人同士だけだろう。

「流石に今から行われることを見られるのはまずいか。かと言って人目のつかないところに移動ってのも逆に注目を集めてしまう…

どうしたものか」

筋書き的にはリンゴは既に早嶋さんの従魔になってないと行けないからな。

俺の呟きも相まって従魔にするには少し派手なことをしないと行けないと考えているようだ。

河村の肩をチョンチョンしてニヤニヤした顔で話しかける。

「もう終わったんで問題ないですよ」

「それじゃ、さっきの人目の多いところだと的な発言は？」

「いや、ただ人がいっぱいいるな〜と思って発言しただけですよ」

さてと、河村さんは一旦ほっといて問題はここからだ。

現状の早嶋さんはリュウをテイムできるスキルを持っていない。

筋書きでは早嶋さんが一般人だけど、リュウをテイム出来るスキルを持っているから。SCSFが密輸品の卵から孵ったワイバーンの赤ちゃんのテイムを依頼したって事になるのに、早嶋さんは実際にそんなスキル所持してない。

このままだと今後誰かに鑑定スキルとかを使われたら、SCSFの発表には嘘があるとばれてしまう。

まぁ、現状は理外に俺だけじゃなくて、リンゴと早嶋さんも鑑定されて情報を抜かれないようにお願いしているから、今ここでバレる事はないだろう。

事件の被害者になるまで一般人だし、刺されてからは搬送されていた時間以外は病室にいた訳だから理外による鑑定阻害が無い時にも鑑定された事はないと思う。

なので、今のうちにリュウをテイム出来るスキルを取得して貰う。

少し実験的な意味も有るけど。

俺も人に加護を与える事が出来るっぽいから少し実験して見たかったんだ。

初めてはソフィアが良いかなとも考えたんだけど。

色々理由があって他の人で試してからにする事にしてたから丁度良かった。

後はソフィアは氷属に特化していて俺は火属性に特化しているからな。

属性的には、あんまり相性良くないからホントに俺がソフィアに加護を与えちゃって良いのか悩んでいるからってのもある。

加護は一人1つまでだからな。

俺がソフィアに加護を与えてしまうと

今後、俺の加護より相性の良い加護を貰えるチャンスがあった時にその加護を貰う事が出来なくなってしまう。

まぁ、ソフィアだったら。それでも俺の加護がいいって言ってくれるとは思うけど……

カゴの内容はある程度カスタマイズできるみたいだから出来るだけソフィアに意味のある加護の効果にカスタマイズするのは当然だけど。

どうやら、加護の内容は事前にカスタマイズするのではなく、与える瞬間にする必要がある見たいなんだよね。だからこそソフィア以外の人で試したかった。

家族で実験ってのもあれだったし、俺の家族なら他の神から加護を貰う機会がやってくる気が何となくしたので、勝彦か古池さんあたりを実験台にしようかなって思ってたんだけど。

タイミング良く早嶋さんが現れたからね。

早嶋さんに実験台になってもらうことにした。

「ふぅ。ちょっと疲れた。それじゃ、ホイッ！！」

手のひらに現れたピンポン玉サイズの光球を早嶋さんに向かって投げつける。

光球は早嶋さんに取り込まれて、早嶋さんがピカッと一瞬だけ全身を発光させた。

「えーっと映司くんなにをしたの？」

「リュウと友好な関係を結ぶことが出来た人物に対する餞別？みたいなものです。ちょっと疲れたんで、詳しい説明は早嶋さんにして貰ってください」

そう言って公園に設置されているベンチにドカッと座り込む。

「〈炎龍帝の祝福〉って加護が増えて。その加護の効果で〈リュウの友〉って言う絆を深めたリュウ一体を従魔に出来るスキルと〈友情バフ〉って言う従魔との仲がいい程倍率が高くなるBP上昇バフを使える様になるスキルが増えました」

「なんともまぁ都合の良いスキルだね」

因みに鑑定スキルで〈炎龍帝の祝福〉の詳細を確認しても。炎龍帝より与えられた加護としか表示されないはずなので、〈リュウの友〉が〈炎龍帝の祝福〉のおかげで手に入れたスキルだとはバレないはずだ。

バレないと言うか証明出来ないと言う方が正しいか。

そうなんじゃないかと言われても。

『〈炎龍帝の祝福〉はリュウと友好な関係を結ぶことが出来た人物に対する餞別であり。〈リュウの友〉は〈炎龍帝の祝福〉の効果で取得されたものでは無い』と言っておけば何とかなるだろう。

そう言えば、俺がリンゴを早嶋さんの従魔にする必要一切なかった事に今更気づいたけど。

まぁ、実験できた訳だし良かったって思う事にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

読んでいただきありがとうございます。