第427話
「はいはい。今すぐ会いに行きたいのは分かるけど。飛んで行こうとするのはダメだよ」
河村さんからリンゴがお母さんと呼ぶ女性が目を覚ましたと連絡が来たので、寝ているリンゴを起こして、その事を説明すると。
1人で飛んで行こうとしたので尻尾を握って止める。
「そもそも何処の病院に入院してるかも知らないでしょ?準備が終わったら直ぐに向かうから」
ソワソワしているリンゴのことをフィロに任せて出掛ける準備を始める。
準備と言うか車を運転出来る人に声をかけに行く。
先ずはソフィアのところに行ったけど。
ソフィアはスゥを抱き枕にして気持ちよさそうに寝ていて起こしても起きなかった。
スゥが助けて下さいって顔で見てきたけど諦めて。
助けようとしたら俺が抱き枕にされるのが目に見えてるから。
この後、リンゴを目を覚ました女性のところに連れていくという用事がなければ抱き枕の役割交代しても良かったんだけどね。
ーーーー
「で、何で彩夏が車に乗ってるの?」
結局、安定のクラリスさんに運転をお願いしたのは良かったんだけど。
車に向かうと、彩夏が後部座席に座って待機していた。
「良いじゃん。私だってたまには映司にぃと外に遊びに行きたい」
確かに、最近は彩夏と一緒に何処かに行ったりはしてなかったな。
今回は遊びに行くわけじゃ無いけど。
ついて行きたいって言うなら一緒に連れて行くか……
俺と一緒に何処かに出掛けたいと言うわりには既に俺はガン無視で車に乗り込んだリンゴを膝の上に乗せて撫でている姿を見ると。
ついてきた本当の理由はリンゴと触れ合いたかったからじゃないか?と思っちゃうけど。口には出さず、車に乗り込んだ。
「そう言えば、今週から新しい中学校だったんだよね?どうだった?」
「どうだったも何もイキってるヤツらに絡まれたのが面倒くさかったぐらいで、他は普通の中学校と特に変わらなかったよ」
彩夏が新しく通い始めた中学校は、彩夏見たいな強力で危険なスキルを初期スキルとして取得した子の中で希望した子が通えるように新設された教員免許を持ったSCSF隊員が教師として働く中学校だ。
「強力なスキルを持っている分ちょっとイタズラするためみたいな軽い気持ちでスキルを使うような子がいるって事?」
「いや、中学生だとしてもスキルを使った悪質なイタズラはスキル犯罪として容赦無く捕まって裁かれるって何度も言われているし。実際、捕まった例も有るからスキル自慢してくるだけで、実際にスキルを使って来るのはいなかったよ」
これに関しては子供に対して厳しすぎるんじゃないかと言う人もいるけど。
拳銃より殺傷能力の高いスキルをイタズラに使うようなヤツを野放しにしておくとか危険すぎるだろう。
そういう事をしないようにしっかり教育すれば良いだけだし。
……そう簡単な話じゃないのはわかってるけどさ。
色々と反発したくなる年頃だろうし。
だからこそ、スキル犯罪になるような事をすると逮捕されて大人と同じ条件で裁かれるよと言う抑止力も必要になってくる訳だ。
彩夏に友達が出来てくれると良いんだけど…
まぁ、まだ始まったばっかりだし、そのうち友達もできるだろう。
俺も学校に友達が沢山いるわけじゃ無いから人の事言えないんだよな……
「映司様。目的地の病院に後数分で到着致します」
話をしているうちに目的地の近くまで来ていたようだ。
それにしても女性が搬送されたのが東京の病院で助かった。
搬送されたのが島根の病院じゃなくて助かった。
実際は最初島根県にある病院に搬送されたらしいんだけど。そこから東京の病院に移されたと言うことらしい。
もう直ぐ到着する事を河村さんに伝えるために電話をかけた。
ーーー
「それじゃ彩夏はクラリスさんと一緒に俺が戻って来るのを車で待っててね」
「え〜」
病院の駐車場に到着したので、彩夏にはクラリスさんと一緒に車で待っているよう言うと物凄く不満そうな表情をしてこちらを見てきた。
「いやいや、見ず知らずの人がゾロゾロ病室に入って来られたらいやでしょう」
流石に病室まで連れてくのは無理と言うことで納得してもらい。
リンゴと俺の2人で病院の中に向かった。
「うんまぁそうだよね」
リンゴと俺2人で病院の中に入ろうとしたら『ペット?の入場はお断りさせて頂いておりますので……』と追い返されてしまった。
まぁ、確かにそうだよね。リンゴはショックを受けて俺の腕の中でぐったりしている。
「いや、ほんとに申し訳ない。被害者女性の傷は完治しているし。被害者女性に映司くんに同席してもらった状態でいくつか質問した後にリンゴくんと病院の外で再会してもらおうと思ってたんだけど。それを伝え忘れてた」
人の姿をしているならまだしもワイバーンの姿じゃ病院の中に入れなくても文句は言えないか……
「そう言う訳で、会えない訳じゃ無いみたいだから彩夏達と車の中でちょっと待っててね」
一度、車に戻り彩夏にリンゴのことを任せて、今度こそ病院の中に入った。
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