第421話
「お帰りなさい映司」
「ただいまソフィア。着物似合ってるね」
石見ダンジョンの魔物の間引きと言う依頼を終わらせたのに何時までもダンジョン内にいる理由もないので、会話を中断してSCSF支部に戻る。
SCSF支部に戻ると着物を着たソフィアが出迎えてくれた。
ソフィアは何を着ても似合うなぁー。
「女性の隊員さんとお話をしてたら着物のレンタル、着付けをしてくれるお店があるって教えてくれたから利用してみたの」
「いやほんと素晴らしい。グッジョブそのお店を教えた女性隊員……ソフィアが着物なのに俺は洋服ってのもあれだな」
そう言って、スマホで男性用の着物について調べる。
「映司?ここで服を作り直したら一瞬スッポンポンになっちゃわない?」
ソフィアには俺が何しようとしているのか理解出来てるので、人前で服を作り直したら公然わいせつ罪で現行犯逮捕されるんじゃ?と心配される。
今までは新しい服を魔力で作る時は今着ている魔力で作った服を魔力に戻して全裸になってたからな。
心配されるのも当然だろう。
「大丈夫大丈夫。ちゃんと考えがあるから、公衆の面前でスッポンポンになるような醜態は晒さないよ」
着ている洋服が炎に変わり、身体中に炎を纏っている状態になる。
これなら公衆の面前で醜態を晒すことにはならない。
身に纏っている炎を男性用の着物に変化させて着替え終了だ。
「ソフィアさんや。無言で写真を撮るのはどうかと思うんだ……」
ソフィアが似合ってるって思ってくれてるのは物凄い伝わって来るけどね。
「カッコよすぎで体が無意識に動いちゃった」
「ま、ソフィアが気に入ってくれたなら良かった」
「新藤さん新藤さん」
俺とソフィアがお互いに着物が似合っていると褒めていると、古池さんが後ろからツンツンとつついて小声で声をかけてきた。
「そう言えばここSCSFの支部だったな」
イチャイチャする前に依頼の完了報告を済ませないとな。
「んんっ。先ずは、依頼の完了報告に行かなきゃでしたね。ソフィアも一緒に来る?」
「そ、そうね。折角だし私も一緒に行こうかしら」
最近、人目を気にせずイチャイチャすることに慣れてきたけど。
これはこれで問題だな。イチャイチャすること自体悪いことじゃないけどTPO考えないと。
今だって依頼の完了報告が終わった後だったらいくらイチャイチャしようがリア充爆発しろ!って思われるだけで何も問題なかったんだから。
少し反省しつつ支部長室に向かった。
ーーーーーー
「ありがとうございます。新藤様のおかげでスタンピードを回避する事が出来ました」
「お役に立てたようで何よりです。ですが……」
「分かっています。何か対策しなければ、また同じ事になると言う事ですよね?」
撮影した動画を見せながら、魔物を一掃してきましたよと説明すると支部長はもの凄く喜んでくれた。
念の為このまま何も対策しないと同じ事の繰り返しですよ?と釘を刺しておこうかな
と思ったけど流石に理解しているようだ。
まぁ、その程度分からない人が支部長になれるわけないよな。
「そこで1つ提案なんですけど。ダンジョンの壁掘ってみませんか?坑道風なダンジョンな訳ですし。掘ったら鉱石が出てくるかも?」
「ですが……ダンジョンの壁は……」
「簡単に壊せるものじゃない。それは理解しています。けど。採掘ポイントとして強度が下がっている場所がある可能性だってゼロじゃないでしょ?一度も調べてないのなら調べてみる価値があるんじゃないでしょうか?」
鑑定スキルとか調査系のスキルを持っている人に調べてもらえば、はっきりするだろう。
ここまで言っといて、鉱石が採掘できない可能性もあるんだよな……
もし、無駄足だったら大人しくゴメンなさいしよう。
「確かにそうですね。一度調べてみます。もし、鉱石が採掘できるとなれば冒険者の呼び込みに使えるでしょうし」
その後は依頼の成功報酬と明細書を受け取ってSCSF支部を後にした。
「それじゃ。3時間後にここで集合ってことで」
依頼は完全に終了したので、ここからは観光のターン。
と言うわけなので、古池さんとナディアさん2人とは別行動だ。
「それじゃソフィア、俺たちはこっちに行ってみようか」
同じ方向に行ったら別行動する意味が無いので、古池さんとナディアさんが行った方とは別の方向に進む事にした。
手を繋ぎながら歩いて気になったお店に入って買い物していると。
外から悲鳴が聞こえた。
「こっちはデート中だってのに……ソフィアちょっとお店で待ってて」
なんでわざわざデート中に問題が起きるかね…
溜息をつきながらお店の外に出るとバッグを抱えるように持った男がこちらに向かって走って来るのが見える。
奥にはナイフで腹部を刺された女性が倒れている。
まぁ、犯人は走ってきてるあいつだよな……
一応決めつけは良くない。先ずは止まるように警告してみるか。
それで止まらないようだったら出来るだけ傷つけずに捕縛するって感じで。
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読んでいただきありがとうございます。
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