第411話
今回はもうちょっと慎重に事を進めるつもりだったんだけど。
悪魔が女を殺して降伏なんてするから派手な感じになっちゃった。
「さてと。大惨事な訳だけど。この女がスキルを使って集めていた情報を纏めた物とか置いてある場所知ってたりします?」
よくよく考えてみると。俯瞰視点で対象を監視して、弱みを握ったところでそれって自分が観ただけであって証拠とかはゼロだよな。
……実際の証拠確保は悪魔にさせてたってことか。
あの悪魔なら簡単に入手できただろうし。
「……USBを肌身離さず持っていた筈だ」
全ての情報では無いかも知れないけど幾らかは悪事の証拠になる情報が入ってそうだな。
「もしもし?河村さん。悪魔の反応が旧C国にある連合軍基地からすると思って確認に行ったら。悪魔を召喚した人が殺害されてたから。悪魔を倒したんですけど。どうすればいいですかね?」
俺が関わっている事を隠すのはもう無理だと思うので、こっそり侵入したのは悪魔にバレないようにするためですよ〜と予防線を張りながら河村さん経由で事後報告をする。
USBメモリに関しては俺がここで回収するのではなく、他の人が回収して中身を確認すれば良いや。
あくまで俺は悪魔の反応があったから、人間に対して友好的なのか敵対的なのか確認しに来たって言うスタンスで行こう。
「取り敢えず現場に待機しといてもらっていいかな」
まぁ、そうなるか。
河村さんスッゴイ表情してそうだな。
待っている間に関係者である男と話を合わせておく。
女のスキルに関して一切口に出してないし特に口止めとかしなくても悪魔を確認しに来たと納得してくれてると思うけどね。
「成程。被害者は彼女でしたか……」
「被害者になにか問題でも?」
「実は、彼女はスキルを使って不当に個人情報を収集していると言う容疑がかけられていまして。悪魔の力を使ってそれをしていたのかなと……確証は無いですが」
河村さんの連絡を受けて派遣された連合所属の軍人さんがアッサリ教えてくれたけど。
やっぱり、疑われてたのか。
まぁ、色んなスキルが存在するわけだし。
女のスキルで 覗き見されているのに気づけるようなスキルだって存在するだろう。
考え無しに、そう言うスキルを持っているやつの事を覗き見した結果疑われたって感じかな。
「まぁ、敵対的な悪魔は危険ですからね。早めに排除する事が出来て良かったです」
召喚した人間次第でも有るけどな。
敵対する人間が悪魔を召喚すれば悪魔も敵対することになる訳だしね。
そもそも、悪魔の召喚なんて簡単に出来ないと思うけど。
まぁ、そんな感じで既に疑われていた人物が被害者だったと言う事もあって。
アッサリ話を信じて貰えて直ぐに俺は開放された。
男の方は重要参考人として連れて行かれたけど。
多分だけど、死体の記憶を読み取る事が出来るスキルを持った人が派遣された人の中に含まれてたな。
流石にアッサリ俺の話を信用しすぎだ。
SCSF隊員にもそう言ったスキルを持っている人がいたし。
女の死体の記憶から俺が言っている事が間違ってないと判断したんだろう。
もしくは、女のようなスキルを持っている人がさっきの状況を見てたとかな。
どちらにせよ。俺の話以外にもさっきの状況を確認出来る方法で確認した。
それは間違いないだろう。
派手になっちゃったせいで、無駄に時間がかかっちゃうかなと思ったけど。
ササッと片付いてくれて助かった。
「別に悪い事をしている訳じゃないんだから、事後報告じゃなくて事前に話をとうしてくれると嬉しいんだけどね……」
流石に河村さんのところに顔を出さない訳にはいかないので、SCSF本部の河村さんのところに来たら、最初から小言を言われてしまった。
まぁ、仕方ないか。
「今回は時間をかけて大事にならないようにコッソリ調べてから本格的に動くつもりだったんですよ。って思ってたのに悪魔を見つけたと思ったら女性が殺されてたんで仕方なく行動を起こしたんですよ」
これに関しては半分ほんとで半分嘘って感じだな。
悪魔が例の女を殺しちゃうのも想定外だったし。
男と協力してしっかり証拠を集めて女を捕まえて貰う予定だったからな最初は。
こんな感じになる予定じゃなかったんだよホントに。
「そうか……だとしてもこれからは出来るだけ、こういう事は事前に話を通して欲しい。正直胃が持たない」
そう言って河村さんの目から生気が抜けた。
全力で振り回しているからな河村さんの事……
ポーションとかで治して上げれば良いって話じゃないのは分かっているけど。
薬がわりにポーション渡しておこう。
「それで……今回の件。本当に悪魔だけが映司くんが関わった理由?」
流石河村さん。何となく察している訳か……
「まだ。オフレコで頼みますよ?多分そのうち情報が流れて来ると思いますんで。今回の被害者は悪魔と協力して金持ちとか権力者の弱みを握って悪どい事してたんですよ。俺も標的にされかけたんで早めに証拠を入手して逮捕なりしてもらおうと思ってたんですけどね……接触しようとしたらこんな事に……」
「成程ね……映司くんからしても厄介だった訳だ」
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