第392話

ーーー???ーーー


「で、君のスキルで覗き見が出来ないと言うのはどう言うことだ?」


「そんなの分からないわよ!」


旧C国に存在するダンジョンがスタンピードを起こさないように結成された連合軍の基地。その敷地内にある建物で男は呆れた様子で女はイライラした様子で密談が行われていた。


「君のスキルは直接見た者であれば何処であろうと……それこそダンジョンの中にいようと俯瞰視点で覗き見る事が出来るのでは?」


「えぇ。だから私はここでダンジョンの入場許可証を発行する受付嬢をやって各国の戦力の情報を収集しているんじゃない。龍王だって私が受付をした。その時に条件は満たしている筈なのに……スキルの対象に龍王がいないのよ」


女は戦闘力は無くても、このスキルがあればどんな人物の弱みでも握る事が出来る。

そうして、どんな強者であろうと自分に従わせ自分が世界の頂点に経つ。そう本気で思っていた。


だからこそ、自分のスキルが龍王に対して効かなかった事にイライラしている。


それに対して男は最初から龍王にスキルを使っての情報種集なんて反対だった。


龍王は最早人間がどうこう出来る存在じゃない。それこそどんな絡めてを使おうと。そう思っているからだ。



そもそも今回の作戦もこの女がスキルを使って男の上司の弱みを握って無理やり実行したものだ。男としてはとんだ貧乏くじを掴まされた気分だ。


「で?アナタはその事をただ俺に愚痴りに来たので?」


「んなわけ無いでしょう!龍王が私のスキルを躱した仕掛けを調べなさい。これは命令よ!」


そんなの龍王が俺らと次元の違う存在だからってだけだろう。そう思ったがこれを口に出すと女が喚き出すので口には出さない。


「わかりました。ただ、調べる方法は俺が決めさせて貰いますし。途中でアナタに口出しはさせない」


「ふん!生意気言っちゃって……まぁ良いわ。そんなこと言って失敗でもしたらタダじゃおかないからね!」


女はバタバタと無駄に足音を立てて部屋から出て行った。


「さてと。逆に考えよう。今回の機会は我が国の膿を排除するいい機会だと……龍王を上手く誘導して利用するかなり危険な賭けになるが、上手く行けば国をあの女から取り返せるし。ついでに汚職塗れの政治家も排除出来る」


結局二人は最後まで部屋の観葉植物を介して会話を盗み聞きしていた存在がいた事に気付くことは無かった。



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「へぇ、そんなことが。それにしても凄いスキルだね。1度でも直接見た人物ならどこにいても俯瞰視点で監視出来るスキルか」


C1ダンジョンから帰って連合軍の基地でワイバーンの魔石を幾つか売却してから家に転移で帰ると、至急報告する事がありますとフィロに言われたからなにかと思って話を聞くと。

また、俺の事を調べようとスキルを使って来た人がいたらしい。


まぁ、理外が自動で弾いてくれたけど。


他者からの状態異常攻撃とか鑑定、今回のような特殊なスキルマで自動で弾いてくれるってのは本当に便利だ。


と言ってもフィロから報告を受けるまで、スキルを使われた事に気づかなかったってのは問題だよな。


言ってしまえば攻撃されてたのに気づけ無かった訳だから。

俺には一切効かなかったからと言って問題ないと流す訳にはいかないだろう。


基地内だからって悪意感知を使わなかったのもミスだよな。


フィロの植物を耳や目として使う事が出来る距離を伸ばす為の実験としてフィロが育てた中継局のような役割をしてくれる植物をこっそり旧C国にある連合軍基地から少し離れたところに植えた結果。フィロが日本にいても旧C国の連合軍基地で盗み聞き出来るようになったから、今回の件気付く事が出来た訳だし。


中継局を中継する場合、現状は盗み聞きが限界で盗み見はまだ出来ないようだ。

まだ、と言っているしその内出来るようになりそうだけど。


まぁ、今はその情報を知ってしまった以上。

俺たちはどう動くのかそこが大切だよね。


「まぁ、結論としては少し様子見するしか無いんだよね」


EG国に行かないといけないし。

もし、男の作戦に協力するなら数日で終わる内容じゃないから、あの二人と接触するのはEG国から帰ってきてからだ。


ぶっちゃけ旧C国に、いかなきゃいい話だからね。

俺が旧C国にいなきゃあっちは俺に接触する事は出来ないんだから。


かと言って放置し過ぎて、女のスキルの力で巨大テロ組織でも作られたら壊滅させるの大変だからな。出来るだけ早めに接触しようとは思ってるけど。


それにしてもいくら他人の弱みを探り放題だと言っても。

戦闘能力皆無なら自分の弱みを握られていたって、直ぐに消してしまえば問題ないって行動をとる人も一定数いそうなもんだけど……


そこら辺は女が上手くコントロールしてるって事なのかね?


例えば弱みを握るだけじゃなくて欲しがっている情報を偶に教えるとか。


まぁ、やりようはいくらでもある気はする。



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読んでいただきありがとうございます。

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