第390話
「はぁ、休み時間が全然休み時間じゃない…」
と言うか同じクラスでも今まで喋ったことがない男子どころか他のクラスの名前すら知らない男子とか、挙句の果てには上級生まで俺のところに来るとかどうなってるの?
まじで迷惑。
まぁ、少しすれば落ち着くだろう。
授業は終わったし絡まれる前に早く帰ろう。
「あーそう言えば。昼頃に旧C国のダンジョンでひと暴れしてきてって河村さんから連絡来てたんだっけ」
話しかけてくる奴らの対応が面倒くさすぎて機嫌が悪かったから、話をよく聞かないで了承しちゃったけど確かそんな感じの話だった気がする。
俺に渡すものがあるとも言ってた気がするから先ずはSCSF本部に向かうか。
転移で移動するから移動に時間はかからないし。
SCSF本部に転移してほぼ顔パスで河村さんの部屋に通してもらった。
「なんです?これ」
渡されたバッチを眺めながら河村さんに質問する。
「旧C国のダンジョンに入る許可を得ている者に渡されるバッチだよ。中に個人情報の入ったICチップが埋め込まれているから専用の機械を通すと誰のものか直ぐに分かるようになっている。それと旧C国のダンジョンに入るには先ず、このバッチを持って連合軍の本部に行ってダンジョンに入場する申請をして。入場許可証を受け取る必要があるからね」
ダンジョン入口でその入場許可証を渡すわけか……
面倒臭いシステムになってるな。
ダンジョンのスタンピードを防ぐために複数の国が軍を派遣しているから仕方ないのかも知れないけど。
一回ダンジョンに入るのに凄い時間がかかりそうだ。
「それじゃ、早速行ってきますね。早く行かないと今日中にダンジョン入れ無くなっちゃうかもしれませんし」
連合軍の本部には行ったことないから転移で移動する事が出来ないし。
出来るだけ近くに転移して後は飛んでいくってのがいちばん早いと思うけど。
気分転換にここから飛んで行こうかな。
飛んで行ったとしても全力で飛べば三十分もかからないだろうし。
騒ぎにならないように透明化して空を飛んでいると。
基地と言うよりは急増の町のような場所が見えてくる。
あそこが本部だろう。
少し離れたところに着陸して基地に入る。
「止まれ!ここは連合軍の基地だ。一般人が入れる場所じゃない!」
鉄のフェンスで囲まれているのでゲートがある場所に向かって歩いて行くとゲートに立っている兵士に止められてしまう。
確かに子供が歩きで近づいて来たらこうなるのは当然か。
さてどうするか……
言葉で言っても信じて貰うのに時間が掛かりそうだし。
騒ぎになるかなって透明化して離れたところで着陸したのが問題だったかな。
そうだ。もうこの際龍の姿を見せるのがいちばん早い。
「日本から来た、新藤 映司だ。旧C国のダンジョンの間引きをする為にここに来た。許可もしっかり出ているはずだけど?」
「申し訳御座いませんでした!お通りください。門を開けろ!」
ちょっと怖がらせ過ぎたかな。この人は割と忠実に仕事をしていただけだったと思うけど。
ちょっと申し訳無いことしたなと思いつつ人間の姿に戻って基地の敷地内に入っていった。
あっ因みに会話はE国語でしている。
相手もE国語だったしな。訛り的にAU国の人だと思う。
それにしてもE国語が理解出来るようになるスキルを手に入れててホントに良かった。
E国語で喋れば大抵伝わるからね。
基地の中にはプレハブ小屋が何軒も建っていて、食事がとれるお店をはじめ色んなお店が用意されている。
連合軍の人達はここで生活している人も多いだろうし、そう言うお店も必要だよな。
それにしても、そう言うお店がいっぱいある分結構広いので、めっちゃ広い。
それに基地で入場許可証を発行する必要があるとは聞いてるけど。どの建物で発行してくれるんだろう?
適当に歩いて見つけるしかないかな?
「もしかしなくても新藤様ではないですか?」
どしようか考えていると車が真横に止まって声をかけられた。
「グラッツさんじゃないですか。ロイヤルナイツもここに派遣されてたんですね」
声をかけてきたのはE国王家を護衛することが主な仕事のはずのロイヤルナイツの一人グラッツさんだった。
ソフィアが婚約者だし、ロイヤルナイツのメンバーとはそれなりに面識がある。
中でもグラッツさんはリーリンさんの扱きを受けたメンバーの一人なので顔を見ればすぐに名前が出てくるぐらいには知り合いだ。
「参加している以上、一定の活躍をしないと問題ですから。ある程度実力のある人物が派遣されますので」
「なるほど。とにかく知り合いがいて少し安心しました。それと、ダンジョンの入場許可証ってどこで発行してもらえるんですか?」
「新藤様。詳しい話を聞かずに取り敢えずここに来た感じですか?」
「ははっ……」
「私達も今から入場許可証を発行してもらえる建物に向かうので、良かったらお送り致しますよ?」
「すいませんお世話になります」
車に乗せてくれると言うので大人しくお世話になる事にした。
どうやらグラッツさん達はダンジョンの帰りのようだ車の荷台部分に魔石等のドロップアイテムが積んである。
まぁ、時間的に考えたら帰りってのが普通だよな。
つまり入場許可証の発行だけじゃなくて買取もそこでやってもらえるのか。
冒険者ギルド的な場所って事だなきっと。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます