第389話
「火で炙っている訳でも無いし。本当に持っているだけでそんなでかい肉に火が通ってるんですか?切り分けて焼いた方が早いような……」
うん、それが普通の反応だよね。
結構な油が落ちるので、油のあと片付けをしなくていい桃源郷に移動してマンガ肉を焼いていると。
ぞろぞろと見物人が増えていく。
そうなると、当然こういった質問が飛んでくる。
俺の能力を正確に知っている訳じゃないからな。
肉が焼けるいい匂いはしてても中までしっかり火が入っているのかまでは分からないし。
そう思ってしまうのは仕方ない。
「いや、肉全体が均一に温度が上昇している。多分、火で焼くとかじゃなくて肉の温度を弄って肉を焼いてるんだと思う。ちょっと信じられないけど」
今発言したのは秀明さんハーレムの一人。アナーシャさん、見た目は普通の人なので言われるまで気づかなかったけど。
アナーシャさんはラミアらしい。上半身が人間で下半身が蛇の。
と言っても普段は人化を使っているので言われないとラミアだと気づくことはない。
何でそんなことを今説明し始めたのかと言うと。
ラミアと言うことでアナーシャさんはピット器官を持っているので、今ここにいる誰よりも温度に敏感だ。
だからこそマンガ肉の中心まで均一に温度が上昇しているとアナーシャさんは断言できているわけだ。
「待って。物体の温度を自由自在に操れるって事?それって……」
「基本戦闘は敵の体温を弄ってやるだけで終わるね。この世界のダンジョンは魔物を倒すとアイテムがドロップする感じだから、素材の品質とか気にして出来るだけ綺麗に倒すとか考えなくて良いし」
同格以上の敵には効果ないけどね。
まぁ、それでも周囲の気温を弄ったりとか使いようはあるけどね。
派手さは無いけど。戦闘は瞬で終わるからかなり便利だよ?
「なんと言うか。なんと言うかチート使っても勝てないバグキャラみたいな強さですね」
「そう?俺なんかがバグキャラなら神様はなんなんだって話になっちゃうしそんなことないと思うよ」
流石に神に対してもダメージを与えられるぐらいの強さになったとは思っているけど。
勝負になるかと言われれば無理。
こっちがダメージを与える前にボコされて終わりだ。
よっぽどの馬鹿でこっちに攻撃を溜める時間をくれて、その攻撃を避けない様な神がいれば話は別だけど。
「比べるのが神の時点で規格外です」
それもそうか。
「まぁ、今は俺の強さはどうでも良い。そろそろ肉も焼けるみたいだし。ボチボチ歓迎会を始めよう。一生ここで暮らして貰うわけじゃないけど。短くても一週間ぐらいはここで暮らしてもらうわけだし。まぁ、仲良くやりましょう」
肉以外に簡単に食べれるものは用意されてるし。肉もそろそろ焼けるから歓迎会を始めたのは良いけど。
開始の音頭をとった人が片手で、でかいマンガ肉持ちながらってのがしまらないな。
歓迎会を始める挨拶をしたので当然始まるわけだけど。マンガ肉を焼いているので自分で料理を食べる事ができないのでソフィアに食べさせて貰いながら参加する。
「歓迎会というか酒盛りだな」
年齢的にお酒を飲めないのが俺と彩夏しかいないから当然なのかも知れないけど。
龍酒(日本酒)、龍酒(赤ワイン)は当然用意してあるし途中から楓さんが稲荷狐が作るお酒を持って参加して来たので、酒飲みたちの酒を飲む速度が更に加速。
しっかり自分のペースで飲んでいる人はまだしもドワーフのカイゼルや竜の雷太の飲む速度に引っ張られて凄いぺースで飲んでる人は明日大変だろうな。
歓迎会は自由解散と言うことにして、これからは料理の用意とか片付けとかも残っている人達でやってもらうことにした。
ーーーー
次の日、桃源郷にゾンビのようにうぅうぅー喚く二日酔いの人がいたけど放置。
今日こそは朝から学校に登校して授業を受けてる。
異世界について話を聞きに来る男子が多くて鬱陶しいことこの上ないけど。
昨日の事件は発砲音を近隣住人に聞かれてしまっているし。古池さんがネット掲示板に褐色エルフが突然部屋に現れたと言うような内容を書き込んでしまったので、隠蔽も出来なかった訳で……
異世界の美女が自分の前に現れてしかも惚れられるなんて宝くじで1等を当てるより確率低いだろうし。そうそう起きることじゃないと思うけど。
と言うか、周囲の女子からやっぱ男子って
サイテーって目線で見られているけど。
俺まで同類扱いされてないよね?
あぁ、そう言えば秀明さんのお母さんが今日退院で、奥さんたちを紹介するって昨日言ってたな。
どうなるのかこっそり覗きたいけど。流石に可哀想だから後で結果だけ教えて貰おう。
桃源郷内で顔合わせするらしいから、リーリンさんに聞けば本人達に聞かなく必要もないからな。
古池さんも、その内ナディアさんを紹介しに行くことになるんだろうけど。
まぁ、ナディアさん一人だしこっちは特に問題ないかな。
まだ、付き合っている訳じゃないけど。
ナディアさんが結構積極的だったから時間の問題だろうし。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございました。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます