第388話

「じっ自分がですか?」


「はい。異世界ダークエルフさんもそれが良いって言ってるので」


俺の言葉を肯定するように異世界ダークエルフが首を縦に振る。


「そ、そういう事なら……」


うん、やっぱり美人に頼られたら断れないよね。


古池さん女性に耐性無さそうだし。

少し前の俺だったらもの凄いブーメラン発言だったけど。今はソフィアがいるからな。


古池さんの了承も貰えたと言うことで数日外泊する用意をして貰って桃源郷に移動する。


「ダンジョン内なので電波が通ってないのは申し訳無いんですけど。それ以外は結構快適なはずなので、少し我慢していただけると。日中はダンジョンから出てネットが使える環境を整えますので」


俺じゃなくてSCSF隊員の皆さんがだけど。


桃源郷はダンジョンだから電波が届かないってのだけちょっと弱点だよな。

まぁ、外に出れば問題ないし対した問題ではないけど。


と言っても毎日のようにネットを使っているであろう古池さんにはそんな環境が数日続くってのは辛いかも知れない。


それ以外の人達はネットという概念すら知らない人かネットについて知識はあれど。9年間ネットを使えない世界で暮らしてた人しかいないから気にならなかったけど。


「えっと、ダンジョンの中で生活って安全なんですか?」


「桃源郷に関しては安全です。E国の王太子も日本に来た際利用していますからね。人が暮らせるログハウスが数軒たっているスペースがあってそこなら魔物に襲われる事はありません」


「ダンジョンって噂の桃源郷なんですね……回答ありがとうございます」


噂のか。 桃源郷は当然冒険者だろうと一般人立ち入り禁止だしな。

まぁ、存在自体を隠している訳じゃないから

そう言う言われ方をされているわけだ。


古池さんの外泊の用意も終わったようなので桃源郷に転移して、ログハウスの建っている場所まで案内する。


「この先にある畑とか豚を初めとした野生?動物は好きに収穫したり狩りをして食べて貰って大丈夫なので。これ料理するためのガスコンロです。良かったら使ってください。あぁでも、ちゃんと3食ご飯は用意するので自分たちで料理しなくても大丈夫ですからね」


十数人分の料理を用意するって母がかなり大変だろうけど。

ジゼルとクラリスさんも手伝ってくれるだろうからなんとか頑張って貰おう。


「あっ映司さん。こんにちわ」


「レミーさんこんにちは。桃源郷に住む人が2人増えました男性の方が古池さんでダークエルフの方はナディアさんです。レミーさん達とはまた別の異世界から地球に来た異世界人でもあります」


なんと言うかどんどんカオスになっていくな。


「おーそうなんだ。私はレミー。異世界から日本に来て今は映司さんにお世話になりつつ日本について勉強しているところなんだ」


「初めまして古池です、よろしくお願いします」


「ナディアですよろしくお願いします。映司様、私みたいな異世界人ってポンポンいるものなのですか?」


「いや、珍しいはずなんだけど。まぁ、俺が色々巻き込まれ体質だから」


まぁ、巻き込まれ体質と言うか色んなことをしているからその分巻き込まれやすくなってるって感じだと思う。


「そう言えば、新しい人が増えたって事は今日も歓迎会するの?」


歓迎会って昨日したばっかりなんだけど……

かと言って秀明さんたちの時は歓迎会したのに古池さんたちの時はしないって訳にはいかないよな。


「それじゃ母に相談してくるので、残りの案内をレミーさんにお願いして良いですか?」


「あ〜そっか人数多いから料理の準備が大変だよね」


「BBQみたいな感じにある程度自分たちで焼いてもらう感じにすれば問題ないと思う」


「成程。それじゃここからの紹介は私がしておくよ」


と言う訳で残りの紹介をレミーさんに任せて桃源郷から自宅に戻る。


人が増えること自体リーリンさんしか把握出来てないだろうし、そこから説明しないと。


「ただいまー」


「おかえりなさい。リーリンがまた人を桃源郷に連れ込んだって言ってたけど?何があったの?」


「一言で言うと異世界人が一般人宅に現れたから、そこで住んでいる人ごと保護する事になった」


「その人も中々の運命力してそうね。自宅に異世界人が出現するって宝くじで一等当てるよりはるかに確率低いでしょ」


「まぁそうだろうね。あぁそうだリーリンさん。2人増えた分の家賃として楓さんが稲荷狐が作ったお酒くれるって」


「本当か?嘘だったら伏見稲荷に殴り込みに行くぞ?」


ソフィアに何があったのか説明しながら、リーリンさんに家賃の話をしたら凄い物騒なことを言い出した。


リーリンさんが伏見稲荷に殴り込みとか絶対シャレにならないのでやめてください。


「リーリンさんに対してお酒に関する冗談を言うなんてしないでしょ」


まじでシャレにならないからな。



「それで母さん。2日連続で大変だと思うんだけど、歓迎会をするって事に……

BBQみたいな感じでどうかな〜と思うんだけど」


「映司がマンガ肉焼いてくれるなら良いわよ。あれなら一個だけでも大きいからかなり楽できるし」


あ〜マンモスからドロップするマンガ肉ね。

一個で数十kgあるし、憤怒の王を使って肉の温度を直接操作することで調理するので、

デカイけど短時間でしっかり美味しく調理できる。


「あ〜無理言ってるのはこっちだしそれぐらいは手伝うよ。ただし焼き加減の判断はしてよ?」


傍から見ると片手でマンガ肉持って突っ立ってるだけと言うかなり滑稽な姿だけど。

美味しく調理出来るんだから文句は言わない。


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読んでいただきありがとうございます。

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