第385話
ーーー???ーーー
「えっ?えっ?」
もうわけがわからない。ネット掲示板で異世界について下らない話をしていたら、突然血だらけの褐色エルフが現れた。
なんか空間に変な裂け目が出来たと思ったらそこから褐色エルフが転がり出て来た。
ついつい癖で掲示板に書き込んじゃったけど。それどころじゃ無いよね?
「そ、そうだ!〈応急処置〉」
〈自宅警備員〉の能力を使って褐色エルフの傷を治す。
巫山戯た名前だけど。自宅でならそこそこ強いスキルだと思う。
と言っても強いのは自宅でだけなので、ダンジョンに行ってもそこまで活躍できない。
自宅以外の場所で〈自宅警備員〉のスキルを使うと効果が著しく下がってしまうからだ。
「うっ…ここは?」
〈応急処置〉と言う名前のわりには褐色エルフの傷が一瞬で治す。実際に使ったのは初めてだけど。やっぱりスキルって凄い。この回復力を自宅以外でも使えれば少しはダンジョンで活躍出来るんだけど。
そんなことより今は目を覚ました褐色エルフに事情を聞かないと。
「えーっとこっちの言葉は理解出来てる?」
「あっああ。それよりここは?さっきまで奴隷狩りに追われてて……そうだ!アイツらは!?」
そう言って周囲をキョロキョロしだす。
異世界でも日本語が使われてるの?とか聞きたいこと盛りだくさんだけど。
1番重要なのは、褐色エルフが現れた空間の裂け目はまだ健在。そして褐色エルフは何かに襲われていた。奴隷狩りって言ってたな?
……もしかしなくても絶体絶命のピンチ?
「あっ?何だここ?」
はい。絶体絶命のピンチです。血の着いたマチェーテを持った髭面の男が空間の裂け目から現れました。
どう考えても対話が出来る類の人じゃない。
やらなきゃやられる、死にたくない。
そうパニックになって〈自宅警備員〉の能力銃火器召喚を使ってショットガンを召喚。
無我夢中で髭面の男に銃口を向けてトリガーを引いた。
「うぇェェェェェっ」
部屋中に血と肉片が飛び散り自分も身体中に血と肉片がビチャっと纏わりつく。
やらなきゃやられるとパニックになっていたし実際そうだったとは言っても本当に人を殺したという実感に襲われ気持ち悪くなり吐いた。
「オイオイ、こりゃどう言うことだ?」
あっ不味い。さっきの男の仲間だろうか、追加で人が空間の裂け目から人が来てしまったようだ。
床にゲロぶち撒けている途中だから直接確認することは出来ないけど。
これは死んだかな……
「いや〜なんと言うか凄いカオスな事になっているね」
「取り敢えず日本人の方は、吐いている以外は問題なさそうですね」
何か部屋の現状からしたら有り得ないテンションで会話する男女の声が聞こえてくる。
女性の方は知らないけど。男の方の声は聞いたことが有る。
いや、聞いたことない人の方が少数なんじゃ無いだろうか?
これは助かったのか?
ーーーーーーーー
「中々にスプラッタな事になってるな〜。で、悪意感知にビンビン反応している男共は拘束したけど。楓さん俺は何をすれば良いんですか?」
もう一人例のダークエルフの女性もいるけど、こちらを警戒してはいるけど。
悪意は感じられないので取り敢えず放置。
「裂け目に放り込んで向こうの世界に追い返すのも手ですが……」
処理する方が面倒がないか……
偶然とは言え自分の生きる以外の世界の存在を知ってしまった訳だしな。
知ったところで何が出来るのか?という話ではあるが。
万が一って事もあるしな。
今更、人を数人殺すことに躊躇いなんてないしな。
相手が悪人なら尚更。
「待ってくれ。命だけは助けてくれ!俺たちは貴族にも商品を卸しているから助けてくれるならお前のことも紹介してやる!だから、な!」
「はぁ〜。お前は命乞いした相手をほんとに逃がしてやった事はあるのか?もし、一度でも逃がしてやった事が有るなら見逃してやる」
「そっそれはとうぜ━━━━━」
「お前らが命乞いした人を見逃すなんてする訳無いだろう!」
ダークエルフの女性が声を荒らげて会話に割り込んで来た。
どうやら相当恨みがあるようだな。
まぁ、俺もダークエルフの女性の方が正しいと思う。
「まぁ、それ以前に。命乞いをされるような事をしている時点でアウトなんだよバーカ」
なんだか特大のブーメランな気がするが。
俺は善人に命乞いさせている訳じゃないから……
まぁ、犯罪者より人を殺しているし。俺も目の前の男達と同類の屑なのは間違いない。
不毛な話を続けるのも無駄なので拘束している男達を燃やして消滅させる。
俺が来た時に既に死んでいた男に関しては…
コイツまで焼却処分してしまうとこのスプラッタな部屋の説明がつかないし、そのままにしておこう。
それより空間の裂け目の処理と近づいてくるパトカーのサイレン……警察が来ているみたいだからそっちもどうにかしないといけないな。
あ〜後、河村さんに先走って行動した事を報告して謝らないといけないな。
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読んでいただきありがとうございます。
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