第384話

「あっ秀明さんが帰って来た」


表情を見るに上手くいったのだろう。

疲れた表情をしているけど。絶望した表情はしていないし。

秀明さんの母親は助かったとみて良いだろう。


「協力していただきありがとうございました。お陰で母を救うことが出来ました。信じてもらうのにかなり苦労しましたが……」


まぁ、それは仕方ないだろう。


とにかく上手くいって良かった。後の退院手続きとかは河村さんにもうひと頑張りしてもらう感じだから俺はもうノータッチだな。


秀明さん達には、秀明さんを除くメンバーに日本の常識を勉強して理解してもらうまで、桃源郷内の家で暮らして貰うから。 ちょこちょこどころか、まだまだ頻繁に会うことにはなるけど。


現状で自由にさせたら何かしら問題起こしそうだし、仕方ないよね。


ーーー某掲示板ーーーー



237.匿名


つまり、俺もトラックに轢かれて死ねば異世界に行けると?



238.匿名


落ち着け(´・ω・)っ237。龍王様の会見が正しいなら確かにトラックで轢かれて死んだら異世界に転生出来るかも知れないけど。

しない可能性の方が絶対に高いから!

それに今更異世界に行かなくたって、ダンジョンが存在するし。レベルも上がるようになってスキルだって使えるじゃん。


239.匿名


238>いやいや。スキルとか使えたとしても地球じゃそこまで俺TUEEEE出来ないし。

異世界転生すれば転生特典で強スキルを貰って俺TUEEEEして美女のハーレムを作ったり出来そうだし。


240.匿名


そういう事考えてる人は選考で弾かれそう。


個人的には異世界の国が侵略してくる可能性は無いのか、とかの方が気になる。

龍王様でも自分の力で異世界に行ったり出来ないとは言ってたけど。

神の力を借りることが出来れば出来ちゃう訳でしょ?

異世界人が神の力を借りて地球に侵攻してくるみたいな展開も有り得るんじゃ?


241.匿名


そもそも異世界の存在をあっさり受け入れてるのがビックリ。

いくら龍王が会見で発表したからって流石にホラでしょ。

ホントなら異世界が存在する証拠でも見せてくれよ


242.匿名


ねぇ、どうしよう。突然、血だらけの褐色エルフが部屋に現れたんだけど……



243.匿名


242>はい。嘘乙。






ーーーーー


チャチャッと会見を終わらせて学校に登校して休み時間に会見の反応はどんな感じかな?と調べてた訳だけど……

なんと言うか事件の予感。


冗談だったら良いんだけど。

ビックリするほど良いタイミングで異世界人が地球に来ちゃった?


こんな事にまでいちいち関わらなくても……と思わなくなも無いけど。

大事になってから関わるのは面倒臭い。


「取り敢えず。河村さんにこの掲示板のことを伝えて調べても……」


タイミングよく河村さんから電話がかかってくる。

SCSFも俺の会見後の国民の反応を調べていたのかな。


「はいもしもし。もしかしなくても、部屋に突然褐色エルフが現れたって話ですか?」


「知っているなら話が早い。気を引くための嘘なら良いんだが。問題は本当だった時だ。現在、投稿した人物の特定を警察と協力しているんだけど。事実確認の為に投稿者の自宅に向かう時に同行して欲しい。攻撃されないとも限らないから」


まぁ、異世界から来ちゃったっぽいダークエルフが大人しく対話に応じてくれるとは限らないしな。

その場合、投稿主の安否が心配になってくるな……


仕方ないとは言え、遅刻してきている上に早退か……


「分かりました。取り敢えず本部に転移しますので、あとの話は直接しましょう」


そう言って電話を切る。


「で、楓さんも同じ件ですか?」


電話を切ったのは、俺が本部に転移して直接話す方が早いと思ったのもあるけど。

楓さんが現れたからでもある。


わざわざ楓さんが現れたって事はホントに異世界人が来ちゃったって事なんだろうな。


「えぇ、その異世界人についてのお話です。異世界の国がソフィア様を無理やり召喚したせいで空間の裂け目が発生しやすい不安定な状態になっているのはお話しましたよね?」


「楓さん達はそれの対処が忙しくて、俺たちの事を助けるのが難しいから、異世界の神を助けて力を借りて帰って来てくださいって話だったよね……えっとつまり」


「はい。異世界と繋がる空間の裂け目が出現しました。しかも空間の裂け目は健在です」


考えうる状況で一番ヤバイじゃん。

だって現れた異世界人であるダークエルフは血まみれだったんでしょ?投稿主の事を信じるなら。


ってことはダークエルフに攻撃した存在がいる訳で、まだ空間の裂け目が健在。

攻撃的な異世界の生物が日本に来てしまっている可能性が……


「まじでやばいじゃん」


「はい。なので私がこうやって来たんです。お話する時間も勿体ないので、空間の裂け目が発生した場所に転移します」


まーた河村さんに事後報告になっちゃうけど、これは仕方ない。後で謝って許して貰うしかない。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


読んでいただきありがとうございます。






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