第379話

「取り敢えず邪神の肉体は焼却処分できたな」


「えっまだ終わりじゃ無いのか?態々武器を作った意味は?って思わず突っ込みたくなるようなブレスで邪神は爆発四散したじゃん」


「今、焼却処分したのは邪神の肉体だけですから。まだ本命の魂の方が残っています。邪神との戦いはここからが本番ですよ」


さっき焼却処分したのはただの抜け殻。

魂を消滅させないと邪神との戦いは終わったとは言えない。

魂さえ残っていれば時間をかければ復活出来ちゃうし。


それに……


「そう!そこのにっくきドラゴンの言う通り。さっきのはただの挨拶。ここからが本当の戦い!」


そんな事を言いながら突如上空に現れたのはエルフのようなとんがった耳に蝶の羽が背中から生えた金髪ロングヘアの女。


こいつアレだ。この世界に召喚された時に俺が消滅させたはずの神(偽)。

消えたように見せかけといて実際は邪神と融合してたって訳だ。

ちょっと舐めてた。

本体じゃないとは言え楓さんの目を欺くとか中々やるじゃん。


とにかく今上空から俺たちのことを見下しているのは邪神と神(偽)が融合した存在って訳だな。


「はっはっはっ!ドラゴン!確かに貴様は強い。ムカつくけど強い。が、私の元肉体を地上に被害を出さずに処理するのは骨が折れるはず。それに、今の私は邪神で有りながら創造神の眷族。破邪の効果も効かない。

ドラゴンも消耗していて邪神の特効武器も無意味。全て私の作戦通り。私の完全勝利だ!」


はぁーはっはっはぁーーー!と高笑いする邪神。


何と言うのか馬鹿なのかな?何時もだったら相手の話なんて一切聞かずに攻撃するんだけど。

今回は気が済むまで喋らせておこう。

本当に俺が消耗しているのかとか全く気にしてなかったみたいだし。

調子に乗ってべちゃくちゃ喋っている間。たっぷり絶炎収束ブレスの溜めをさせて貰った。


よく見なくても、俺が殆ど消耗してないのが分かると思うんだけどな。


この世界に来た時見たいに、倒したと思ったのに実は生きてたとかならないように。

邪神の肉体を焼却処分した時より溜めた絶炎収束ブレスで、今度こそ塵も残らず消滅させてやろう。


普通ヤバいエネルギーがって俺がブレスを溜めているのに気づくと思うんだけど。

未だに気づかず上空で高笑いしている。


まぁ、良いや。あんなんでもガチンコバトルをするってなったらかなり苦戦するだろうし。

もう十分だろうと溜めに溜めた絶炎収束ブレスを邪神に向かって放つ。


次の瞬間、収束ブレスと言うのは物凄いゴン太レーザーが邪神を丸々飲み込む。


ゴン太レーザーが消えた後には邪神だった物は塵すら残っていなかった。


「ほんとに命をかけて無理やり種族進化しといて良かった」


種族進化前じゃ邪神が言っていた通りの展開になっていただろうからな。


それにしても神剣(鈍器)使わなかったな。

邪神がしっかり対策してたし。使わなかったのも仕方ないだろう。


「それにしても、特に被害が出なくて良かった。相手が油断してくれて無かったら、こうあっさりと勝つことは出来なかった」


神(偽)と融合したおかげで破邪の効果は効かなくなったけど。知能が常時下がるみたいなデバフかかってたんじゃないの?

策士策に溺れる的な。


色々作戦を考えてたっぽいにしては滅茶苦茶油断してくれたからな。


そういえば……


(邪神を倒しちゃったら邪神の一部を核にしているダンジョンってどうなるの?)


ダンジョンが機能停止したりしちゃうのだろうか?

ダンジョンは危険な場所ではあるが人類に資源を供給してくれる大事な場所。

それが無くなってしまったら資源を奪い合う国家間の戦争が加速したり……


もしかして……邪神を完全に消滅させるのはヤバかった?


(安心してください。既にダンジョンの核に加工されている邪神の一部は邪神の魂が完全に消滅しようと消えませんし。核としてしっかり稼働し続けますので、ダンジョンはこれからも稼働し続けます)


そっかそれは良かった。


「ゲームだったらクソゲー認定されそうな最終戦だけど。これはリアルだし。アッサリ終わるに越したことはないわね。それで映司、私たちは直ぐに日本に帰れるの?」


ソフィアの言う通りだな。ゲームだったらバランス調整ミスったクソゲー認定されるだろうけど。

これはリアルだからな。苦戦しないで倒せるならそれに越した事はない。


直ぐに日本に帰れるかと言う質問に関しては……

どうなんですか?創造神さん。


(邪神との戦いで私が一切消耗しなかったとはいえ、この人数を日本に送り届けるとなると。戦闘の前段階の情報収集で消耗した力を回復させるのに……5日……いや、3日お待ちいただけませんか?そうすれば、余裕を持って送り届ける事ができますので)


三日ぐらいなら全然待つ。その方が安全みたいな言い方だし。


「流石に直ぐにってのは難しい。日本に帰るのは3日後になる。ってことで秀明さん3日後に秀明さん達が肉まんの屋台をやっていた場所に集合しましょう」


思ってたより短い日数で日本に帰れるようになったな。

結局日本では1日すらたってない訳だし。


残りの3日間で存分に異世界を堪能しよう。



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読んでいただき有難うございます。



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