第374話
「へぇ。私が寝ている間にそんな事があったのね。で、映司どうするつもりなの?」
夕方近くになってソフィアが目を覚ましたので。午前中あった肉まんの屋台についての話を一通り伝える。
「特に何も考えずに、アレ異世界人関わってそうじゃね?ちょっと接触してみようって感じだったからな。まぁ、地球に帰りたいって言うなら手伝って上げれば良いかなって思っているぐらいかな」
特にこっちから手伝って欲しい事とかないし。
「割と適当だけど。いいの?」
「俺の知り合いで神隠にあった人とかいないから日本人だったとしても知り合いじゃないだろうし。この世界でも普通に生活出来ている感じがするし、下手に関わりすぎるのも良くなさそうだから」
エルフの奥さんがいるし。現状の地球を知らないなら絶対地球に帰ろうなんて思わないだろうし。
とりあえず。接触しようと俺が動いちゃったから最低限話はするけど。
あっちからしたら関わらないでくれって思っているかも知れない。
「そうね。こっちがガツガツいっても有難迷惑って事もあるだろうし。なら、初めから接触しようとしなければ良かったんじゃない?と思わなくもないけど……」
「俺って何だかんだ考えるけど。結局はその場のノリで動いちゃうからな〜」
ソフィアから目線を外して苦笑いをしながら呟く。
「そう言えば。創造神さんアレから神鉄の反応感じられた?」
創造神は基本俺たちが話しかけなければ、喋らず邪神関連で色々しているようだ。
俺としてもそっちの方が有難い。
(私の感知範囲には存在しないです。やはりダンジョンの中かと)
因みに創造神の感知範囲はこの街全体レベルではなくもっと広い。
創造神がこの街に例の武器があると当たりをつけたタイミングからして、例の武器の所持者がこの街を去った後だったとしても。
創造神の感知範囲外に出ることは不可能なはずらしい。
なので、例の武器の所持者はダンジョンに入っていると言うのが一番確率が高いんだと。
ダンジョン内は一種の異空間なので、外から中を感知するには少し手間がかかるらしい。
創造神が全盛期の力の5%でも出せれば、片手間でダンジョンの中だろうと感知できるらしいけど。
現状は難しいってことだね。
まぁ、わざわざ中を感知しなくとも外に出てきたらすぐに感知出来るんだから。
無理ぜず、待ちの姿勢だな。
創造神に頑張って貰って、例の武器の所持者がダンジョン内のどこにいるか突き止めたとして接触するためにダンジョンを進むのは大変だし。
ー次の日ー
「なんと言うか完全に俺を待っている感じだね」
例の武器に関しては完全に待ちの姿勢なので、早速異世界人疑惑のあるエルフの旦那さんに会いに行こうと昨日肉まんを売っていた屋台があった場所に向かうと。
黒髪黒目で20歳後半の男性と多種多様な種族の女性が8人。当然、昨日肉まんの屋台で売り子をしていたエルフの女性も8人の中に含まれている。
ただし、屋台は出ていないので。
商売するつもりは一切無しで、完全に俺と話をするためにここで待っていたと言う感じだろう。
「初めまして。やっぱり日本人で間違いないみたいですね」
向こうは少し警戒しているようなので、こちらから話しかける。
「そうですね。大体9年前ですかね?それぐらいにこの世界に召喚された日本人です。
ところでそちらは?顔は日本人っぽいですがドラゴニュートですよね?」
「なんと言ったらいいですかね?まぁ、結論から言うと俺も日本人ですよ。ついでに言うと婚約者のソフィアはE国人。信じられないかも知れないですけど今の地球はドラゴニュートとかエルフも普通に暮らしているんですよ。なんならダンジョンも有りますし」
パラレルワールドとかそんな感じで、俺とソフィアの暮らしていた地球と目の前の日本人男性が暮らしていた地球は別物って可能性もあるけどね。
「……正直、直ぐに信用するのは無理だ」
「でしょうね。俺も信用してもらうつもりはないんですよ。もしかして日本人いる?と思って何も考えずに行動しちゃっただけで。
まぁ今回は、ただ俺たちが日本に帰る時に。日本に帰りたければ。ご一緒にいかがですか?って言うのを伝えに来ただけかな」
あっちの人達は全員無言でこちらを見ている。
「まぁ、地球に帰るためになにかして貰うつもりは無いし。こっちで40日ぐらい過ごしても地球では1日しか経過してないって稲荷狐が言ってたから。9年こっちの世界にいても地球では3ヶ月ギリ経ってないぐらいしか経過していないってのも伝えときますね。あぁ後、一夫多妻制も近いうちに導入されるとか何とか言ってた気がするな……」
戸籍とかそこら辺も、まぁ河村さんを巻き込めば何とかなるだろう。
「あなたの話がホントだったとして。あなたにメリットが無さすぎる何を企んでるんですか?」
「企んでるも何も。俺以外にも異世界人がいるかも知れない。気になるので接触してみたら日本人だった。こんな状況で何も伝えずに自分たちだけで地球に帰ったらちょっと可哀想かなって一度地球に帰れるけど、どうする?って伝えただけだよ」
ある意味これもタダの気まぐれ。
メリットだデメリットだとか一切考えていない。
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