第372話

「戦力増強って考えたら精霊じゃなくて魔物を生み出すのでも変わらなそうだけど。精霊の方がデフォで透明になれるし。魔物より連れ歩き易いと思うし」



俺が試してみたいってのも有るけどね。


と言う訳で早速やってみよう絶炎を作り出してどんどん圧縮していく。今回は物理的な肉体を持たない……はず(ウィーとか何故か抜け毛が落ちたりするので、本当に肉体を持たないのか謎)の精霊なので絶炎だけでOKだ。


圧縮された炎が蛇の形になる。

コーンスネーク系の可愛い感じの顔をしている。蛇の顔が怖いって人も多いからね。できるだけ可愛い感じの方が親しみやすいだろう。


「おっ魂が宿ったみたいだな」


少し待つとコーンスネークの目に光が宿り、舌をだしチロチロさせながら動かし始めた。


「俺が親だって分かっているみたいだな」


俺の事をジーッと見てきたと思ったら近づいてきて腕に巻きついて、そのまま肩の位置まで上がってくる。

産まれたての赤ちゃんだけど。精霊だからな。既にある程度の知能は有るだろう。

ウィーだって生まれて直ぐでも日本語を理解してたからな。


「中々可愛いわね。っと、映司以外は敵だと思っているのかしら」


ソフィアが触れようとしたらシャーと威嚇して噛み付こうとした。


「ソフィアは敵じゃないよ。俺の1番大切な人だ。お前には回復役としてソフィアに同行してもらおうと思っているからな。そう言う意味でも仲良くしてよ?」


攻撃力は十分でも、回復役が足りかなと思ったから今回はアスクレピオスの杖に巻き付く蛇から連想して蛇の姿をした精霊を生み出した。しっかり回復能力を持ち合わせているみたいだから。生み出す時にこう言う精霊が生まれて欲しいと意識するのが重要そうだ。


回復能力特化なら不死鳥とか朱雀とかそう言う存在をイメージしながらでも良かったかも知れないけど。パッと最初に思い浮かんだのがアスクレピオスの杖に巻き付く蛇だったからな。


「『父上、分かりました。けど、属性的な相性が悪くないですか?』だって?あぁ、ソフィアと契約して貰うつもりはないよ。ソフィアがつけてるアンクレットに宿ってもらうつもり」


ソフィアが付けているアンクレットは俺が絶炎を結晶化させて作ったものだ。

火の精霊であるこの子なら宿ることが出来るはず。


それなら問題ないと返事が帰ってくる。

それなら宿る前に名前を付けて上げないといけないな。


アスクレピオスはそのまま過ぎるし。全く違う名前を考えてあげないとな。


「お前の名前は今日からヴァルムだ。念の為もう一度言っておくけど。ソフィアと仲良くね?」


「うんうん。気に入ってくれたなら良かった。じゃソフィア、俺はもう限界なので後はよろしく」


そう言ってその場に倒れた。生命を俺の力だけで一から生み出すってやっぱり反動が凄かったね。


まぁ、無理せずこのまま数時間寝れば復活するだろう。そのまま意識を手放した。



ーーー


「そう言えば、ディメンションルーム俺がつけてるマジックバッグの中からだす前に寝ちゃったな」


どれぐらい眠っていたのか分からないけど。

泊まっている宿のベッドの上で目を覚ます。

そこそこ値段のする宿なのでベットの質が悪い訳じゃ無いけど。

ディメンションルームのベットの方が自分が気に入ったものを選んでるし質も高い。


俺がディメンションルームの入口を作り出すドアノブをマジックバッグから取り出す前に倒れて寝ちゃったからディメンションルームに入れなくて宿の部屋で寝かせてくれたんだな。


「おはよう映司。気分はどう?」


「おはようソフィア。特に問題ないよ。そんな事よりもしかしてソフィア寝てない?」


「婚約者が突然ぶっ倒れて、寝れると思う?どれにヴァルムも自分のせいで映司が倒れたってずっと気にしてるんだから反省しなさい」


それは悪いことをした。


「心配かけてごめんね2人とも」


ソフィアはこれから寝るみたいだ。ヴァルムは俺の腕に巻きついて離れない。まぁ特に邪魔になる訳でも無いし。そのままにしておこう。


「昨日冒険者ギルドで朝に1回顔を出すって言っちゃってるから。冒険者ギルドに顔を出すだけだして直ぐに帰ってくる」


ソフィアが言うには俺が寝てたのは1晩だけのようだ。


昨日受付の人にメナージュへの伝言をお願いしたけど。その時点では泊まる宿が決まってなかったので、朝に1回冒険者ギルドに顔をだすと言ってしまったからね。

約束を破る訳にはいかない。


部屋の警戒をウィーに任せて冒険者ギルドに向かう。

昨日伝言をお願いした受付の人がちょうどカウンターにいたので。

泊まっている宿を伝えて冒険者ギルドを後にした。


ちなみに、昨日俺が伝言をお願いしてからメナージュは冒険者ギルドに来ていないとのことだ。


急いで宿に帰ろうと思って駆け足で歩いていると気になる屋台が視界に入った。


「肉まんか。この世界では初めて見たけど…」


俺はこの世界の事を全然知らないから。肉まんを普通に食べている地域もあるのかも知れないけど。

もしかしたら、俺たちより前にこの世界に召喚された地球の人がやっている屋台の可能性もあるよね。


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読んでいただきありがとうございます。








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