第368話
「それは超越者どころではなく。正しく神の領域に足を踏み入れている存在しかできないことですよ?分かっているからこそ1人で行なおうとせず。協力を要請しているのだと思いますが……リスクが高すぎるかと」
黙って話を聞いていた創造神がそう言って話に割り込んできた。
「うーんそもそも。私、種族進化とかどう言う原理で行われているものなのかよくわかってないんだけど。レベルを上げれば良いってものじゃ無いのよね?」
確かにソフィアからしたら色々とあやふやなところが多いよな。
「超越者の領域に足を踏み入れれば、自ずと分かるようになるものなのですが……まぁ、現状では神がその人物の功績を認めた時に神によって位階が吊り上げられる。そんな感じだと思っていただければ」
そう言えばこの世界。地球が色々手を加えている訳では無いのに、地球の存在について知識は有るんだね。
地球に暮らす人間の意思から生まれた異世界に存在する神なら地球の知識があってもおかしくないか。
地球に存在する神は、他の惑星から侵略者が来た場合の戦力という側面もあるって言ってたのに。
戦えるどころか存在を保つことすら難しい神が多そうな感じだし。
異世界の神も地球が他の惑星からの侵略者に襲われた時の戦力として地球と契約しているのかな。
まぁ、地球のあれこれをソフィアに説明する事は出来ないからね。
あんな感じの説明の仕方になっちゃうよね。
「超越者が最低条件ねぇ。相当難易度の高い条件だけど。まぁ、今はそれで納得しておくわ。それで、映司。創造神様は現実的じゃないって言っているけど……」
「確かに成功するかは良くて半々かなってところだけど。ここで成功させなきゃ。結局邪神に殺される事になる。俺はそう思ってる」
実際は成功率3割有ればいい方かなと思っている。けどここは大見得を張って5割と言っておく。
失敗したら死ぬのに成功率が5割ってのも十分低いけどね。
「その成功率でも実行するつもりなのね……もし、失敗して映司が死んだら私もすぐに後を追うからね?」
「あ〜その心配はない失敗したらソフィアも巻き込んで爆散する事になると思うから」
嫉妬で俺に魔力を供給できる距離にいてもらうとなると、失敗した場合ソフィアも助からないはずだ。
だからこそ、俺に命を預けてくれる?と最初に聞いたんだ。
「なら文句はないわ。自分で言うのもアレだけど。私の命がかかっていて映司が失敗するとは思えないし。意地でも成功させるでしょ」
まぁ、失敗するつもりはない死にたくないし。ソフィアを殺したくない。
そうと決まれば、早く初めてしまおうと言うことで、ソフィアが最大範囲で霧を生み出して大気中の魔力を吸収し始めた。
俺も覚悟を決めるか……大きく一度深呼吸をして理外を自分の心臓に突き立てた。
ソフィアが凄く何か言いたそうな顔をしているけど。無視して理外で絶炎を増幅させて自分の体を燃やして再構築していく。
再生の炎ではなくて、絶炎で再生した部位は他の部位に比べて強くなる。
絶炎は神が使う力と同じもの。まぁ、俺の練度不足で、神から見たらちゃっちい炎だろうけど。
それでも、絶炎で再生させた部位が強化されると言うことと、絶炎も神が使う力と同等のものと言う事実から。
むちゃすれば自力で種族進化する事も出来るだろうと考えた訳だ。
簡単な事じゃないし。出来ればやりたくなかったけど。
別に体を丸ごと再生させるぐらいは別にどうって事は無いんだよ。
ただそれだけじゃ。種族進化は出来ない。
体が強化されるんだから多少は強くなるけどね。
種族進化した時ほど強くならない。
種族進化するには体だけではなく魂も強化されないといけない。
難しいのはここだ。
創造神が種族進化の事を位階を上げると言う
言い方をしたけど。魂と肉体の格を神に近づける行為。これが種族進化の正体だ。
一度に神の領域まで格を上げようとすると生き物は耐えられない。だからこそ、種族進化には段階を設けて少しづつ格を上げていく訳だな。
予想通り体の方はあっさり成功する。
問題はここからだ。
ちなみに順番は必ず体→魂の順番で強化しないと失敗する。
先に魂の格を上げた場合。体が耐えられず爆散する。
「グッ」
魂を絶炎で燃やして再構築しようとした瞬間とてつもない激痛が走る。
一瞬でもう無理かもって思ってしまうレベルの痛みだ。
痛みに負けて意識を手放した瞬間失敗だ。
ソフィア諸共死ぬ事になるだろう。
創造神は……弱体化している状態でも神だしな。生き残るかもしれない。
「いや、そうじゃないだろうが!!」
なんで失敗することを受け入れた?失敗したらソフィアが死ぬんだぞ?
少しでも諦めモードになっていた自分に対して物凄い怒りの感情が混み上がってくる。
これは……憤怒の王の感情操作か……
無意識だったけど。普通、感情操作は敵に使って仲間割れさせたりするのに使う為の能力だど思うけど。
自分に使って怒りの感情を最大限に上昇させることで。痛みを耐える。
憤怒の王にはかなり助けられているけど。
今回が一番助けられたかも。
憤怒の王を使い。少しでも気を抜くと一瞬で気絶しかねない痛みが、気にならないレベルの怒りを維持しつつ魂の再構築を続けていると。痛みがふっと消えて身体中に力が溢れて来る。
どうやら種族進化に成功したようだ。
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