第360話
「ほう?其方が強いのは認めるが。エルフによーいドンで始まる近接戦縛りの模擬戦で負けるつもりは無いぞ?」
あ〜ソフィアが煽るから姫さんもやる気になっちゃった。
基本魔法特化。まぁ、弓も才能がある人も多いかなと言うエルフから近接戦縛りでも勝てるなんて言われたら、近接戦闘が得意なドラゴニュートからしたらそう言う反応になるだろう。
模擬戦を断るって事も出来ただろうに。
こうなったしまったら、模擬戦しないのは無理か。
姫さんとソフィアが地下の訓練場に向かうのを後ろからついて行った。
訓練場に到着するとソフィアが刀身部分に布を巻いた木製の短剣。
姫さんが穂に布を巻いた木製の槍を選び素振りを始める。
うーん2人のやる気が模擬戦のそれじゃない。
もし、やりすぎるようだったら俺が止める方がいいか。
お互いウォーミングアップが済むと模擬戦を始めるために武器を構えて真正面から向かい合う。
俺が銅貨を投げて地面に落ちた瞬間模擬戦開始だ。
いや、審判がいるなら審判が始めって言えばいい気もするけど。
まぁ、どっちでもいいか。
銅貨を親指で上に向かって弾く。
銅貨が地面についた瞬間、姫さんが思いっきり地面を蹴って距離を詰めて突きを放つ。
ソフィアは短剣で槍を滑らせるように受け流して動くことなく突きをいなす。
当てた時のダメージを減らす為に布を巻いてるから滑らせて受け流すなんて難しそうなもんだけど。当然のように成功させたな。
リーリンさんに厳しく扱かれている成果だろう。
姫さんの攻撃は突きだけで終わらず、そのまま槍を横に払う事でソフィアを吹き飛ばそうとする。
ソフィアは払いを身を屈めながら全身する事で交わす。
槍は間合いが広いけど、接近されると少し戦いづらいだろう。
と思っていたら姫さんは払いを放った流れのまま1回転する事で尻尾でソフィアを攻撃する。
ソフィアはバックステップで距離を取って尻尾攻撃を躱したが、間合いを詰めることが出来なかったので、まだまだ姫さんのターンだろう。
短剣のソフィアはどうにかして間合いを詰めないと、防戦一方で勝ち目がない。
避けるのにだって体力は使う。
ドラゴニュートとエルフじゃドラゴニュートの方が体力あるだろうし。
ソフィアは種族進化しているし、レベルも上げてるから、逆も有り得るかも知れないけど。
ついこないだレベルとかスキルが導入された地球と違って、この世界はもうずっと前からレベルとかスキルが存在する世界だろうから、レベルに関しては確実に姫さんの方が高いだろうからやっぱり姫さんの方が体力は多いだろう。
と言っても焦って間合いを詰めようとすると手痛い攻撃を貰う事になるだろうから焦るのはいけない。
しばらく姫さんが攻撃してソフィアが避けるか受け流すかという展開が続く。
いつの間にか観客が増えて、このままの状況が続くなら勝つのは姫さんだろうと言っている人が増えてきた。
ソフィアが今まで受け流していた突き攻撃を体をズラす事で躱したと思ったら、槍の柄を掴んで回転を加えながら自分の方に引っ張る事で、姫さんから槍を奪った。
突然回転を加えられると思いっきり握ってても、意外とああ言うみたいに手放しちゃうんだよね。
いやまぁ、相手が思いっきり突き攻撃を放ってきている武器の柄を握って回転を加えながら自分の方に引っ張るって簡単に出来る事じゃない。と言うか普通成功しないと思う。
度胸と技術がないと出来ない技だと思う。
因みに相手の武器が柄の短いものだった場合は、手首を握って回転させつつ腕を極めるらしい。
つまるところ関節技だよね。
力の差があろうと関節技が完璧に決まっちゃうと逃げれないからな。
俺の場合、直ぐに治せるし骨折覚悟で抜けるぐらいしか無いかな?
当然、炎を使ったり関節技をかけてきている人の体温を憤怒の王で好き勝手変更したりしない事前提だけど。
動けなくてもスキルで攻撃する事は可能だからな。そう考えると関節技も意外とリスクあるよな。
っと流石にこれ以上模擬戦を続けると軽い怪我じゃ済まなそうな雰囲気だからとめないと。
ソフィアの体からは嫉妬を使った時に出てくる霧が出てきてるし。
姫さんの方も血管が浮かび上がってさっきまでとは比べ物にならないレベルで身体能力が上がっていそうだ。
「流石に熱くなりすぎ(です)」
姫さんのおつきのフランと俺が同時にそう言って模擬戦を止める。
そう言っただけで止まるか分からなかったので一応 、障壁で別々に囲んである。
「ソフィア模擬戦をする前にそれは使わないって言ってたでしょ?」
「姫様もアレは模擬戦に使うようなものでは無いでしょう?」
俺とフランが各々の連れに説教を始める。
2人が怪我するというより周囲への被害が出てたろうからな。普通に説教案件だ。
ギルドマスターが訓練場に現れて『説教するなら別の場所でしてくれ、他の冒険者たちが訓練場を使えない』と言われるまで説教が続いた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
読んでいただきありがとうございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます