第359話

「ん〜やっぱり体が少しダルいな」


次の日、いつも通りの時間に起きて体を動かしてみるけど。

当然のように体にだるさが残っている。


超広範囲で燃える聖炎を維持し続けている反動だから仕方ない。


……今日のダルさに関してはそれだけが理由じゃ無いかもしれないけど。


それはそうと今日は何をしようか。

体調も万全じゃないし、特に何もせずに魔人がどう動くのか様子見もありかな。


混沌大陸があんな事になってるんだから残っている魔人達も何かしらの行動を起こすと思うんだよね。


だから数日は特に何もせずに街で買い物したりして魔人の動き待ちって感じで行こう。


そんな事している場合じゃないと言えばその通りだけど。

数日ぐらい何も考えずソフィアとデートを楽しんでも良いだろう。


あ〜でも、クリア出来る分の採集クエストのクリア報告しに冒険者ギルドに行くか。


まだクリアしてないクエストもそのまま放置しちゃうとクエスト失敗で罰金を払わなきゃ行けない。1番近くの森は無くなってしまったから少し離れた森まで行かないといけないな。


流石にそこでも寄生茸が発生しているとかはないよな?


流石にそれは勘弁して欲しい。でも魔人からしたら寄生茸をばら撒くのは、お手軽にこちらに被害を与える事が出来る方法だろうし。


寄生茸が胞子をばらまける状態で持ち歩くのは魔人からしてもリスクのある事だろうし、俺が燃やした森にしか寄生茸は持ち込まれていないと思っておこう…


とりあえず。今日はまず冒険者ギルドに行く感じだな。


その前に朝ごはんだな。ウィーに体を綺麗に洗ってもらってから、宿の食堂スペースに行って朝ごはんを貰って部屋に戻ってくる。

今日の朝ごはんはバケットにベーコンエッグ、豆が沢山入ったトマトスープ。

朝ごはんに丁度良い献立だと思う。


「おはよう映司。少し寝坊したかしら?」


「おはようソフィア。そこまで寝坊したって時間じゃないよ。朝ご飯貰ってきたから、ウィーに体を綺麗にしてもらってから朝ごはんを食べよう」


ササッと朝ごはんを済ませて冒険者ギルドに向かった。


「こちらがクエスト報酬になります」


「ありがとうございます」


冒険者ギルドでは特に何事もなく用事が終わる。

職員達が何やら忙しそうに行ったり来たりしているから平和って事は無さそうだけど。

何か巻き込まれる前に冒険者ギルドを後にしよう。


そう思い入口の方に視線を向けると丁度姫さんとフランが冒険者ギルドに入ってきた。


「おぉ。映司ではないか。冒険者ギルドで会うのは初めてか?」


「どうだったかな?あったことあるような、ないような?」


何だかんだ、こうやって挨拶して話すけど。

冒険者ギルドでどうだったかは何故かあやふやだ。


そう言えば、姫さんの名前なんだかんだ言って未だに聞いてなかったな。いやまぁ、姫さん呼びでも問題ないし。別に聞く必要ないか。それに姫さんは有名人だからその気になれば少し調べるだけで名前ぐらい分かるだろうし。


「映司達は、この後予定が入っているか?

この街はダンジョンもあるし。他種族に対する差別も無いから暮らしやすいんだが。妾が本気で模擬戦を出来る相手が少なくてな。良ければ模擬戦相手になって欲しいんだが」


模擬戦かぁ〜別にダメじゃないけど。体調が万全じゃない今は模擬戦だろうと必要ない戦闘はしたくないな。



「良いんじゃないかしら?どうせ森に行って薬草採取するぐらいしか予定は無いんだし」


俺が返事をする前にソフィアがそう言ってやる気満々。

もしかしなくても自分が姫さんと模擬戦をするつもりだよね。


距離が大して離れていないよーいドンでスタートする模擬戦なんて魔法使いに不利すぎないか。それ以前に魔法は威力を弱めたりみたいな手加減が出来ないから、模擬戦では禁止なんじゃないかな。


〈嫉妬〉だって模擬戦に使うには効果がエグすぎるし。


〈狩人〉のおかげで多少短剣が扱えるようになっているけど。

姫さんレベルと戦えるレベルかと言うと……

無理だろう。

エルフのステータスは魔法特化で力は低めだし、まともに打ち合いしたら一発で負けるんじゃないの?


ドラゴニュートはパワー特化みたいだし。


「映司は私のこと見くびりすぎよ。これでもリーリンと組み手して鍛えられてるのよ?魔法やその他諸々を使わなくたって彼女ぐらい一捻りよ」


あ〜うん確かにそう言われると、そんな気がしてくる。

ソフィアは俺が学校に行っている間は立ち上げた会社の仕事をしているけど。それ以上にリーリンさんと組み手をして近接戦闘も出来るように鍛えてるんだった。


ソフィア大丈夫かな?って心配になるぐらいボコボコにされながら鍛えてるからな。


当然のように四肢が欠損するような鍛え方をしている映司に比べたら全然問題ないってソフィアに言われちゃったから何にも言い返せなかったけど。


それに関しては俺が望んだんじゃなくてリーリンさんが『斬っても直ぐに生えてくるんだから問題ないだろう』って始めた事だ。

いやまぁ、痛みに強くなったりメリットもあったけどさ……


何はともあれ、リーリンさんに厳しく鍛えられてるソフィアだったら模擬戦なら姫さんとも魔法や嫉妬を使わない短剣オンリーでもいい勝負するだろう。



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読んでいただきありがとうございます。




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