第356話

「すっごい人数だね〜」


予定通り森に発生してしまった寄生茸を焼き払う為に森の境界部分に来ている。


当然俺だけではなく森を焼き払う事で森の中から焦って出てくる野生動物や魔物を倒す為の人員が大量に配置されている。


騎士や兵士に冒険者。人数が必要なのはわかるけど。

また、街の方が手薄になるんじゃないか?そのタイミングで魔人の襲撃が起きたりしないか少し不安になってくるんだけど。


前回とは違って対策はしてあるんだろうけど…


「本当はこれでも足りないぐらいの人数だ。時間をかけられない以上これが限界ではあるが」


昨日から一睡もせずに準備していたんだろう。そう喋るギルドマスターはかなり疲れた顔をしている。


個人的には直ぐに始めちゃいたいんだけど。

まだ、全体の配置が終わっていないようで、

待機してなきゃいけないんだよね。


待機を初めて1時間。ようやく配置が完了したと報告が入ったので、やっと俺の出番だ。


「結局、森ごと全て燃やし尽くす事にしたから森から逃げてくる野生動物や魔物なんて出て来ないけどね」


俺なら寄生茸本体と胞子だけを燃やすことも可能だけど。

街の人間からしたら寄生茸本体と胞子だけ燃やしたと言われても信じることは出来ないだろう。


という訳で自然や野生動物には本当に申し訳ないけど。燃やす事にした。


森全体を炎を結晶させた障壁で包み込む。


こうしてみるとこの森ってそこまで広くないんだなと改めて感じる。


東京ドームと同じぐらいの広さかな?


障壁で包み込だあとは憤怒の王で障壁内の温度を急上昇させる。

障壁内に存在するのが地面が溶けてできたマグマだけになったら、今度は温度を下げてマグマを冷やし固める。

マグマが固まり人間が素手で触っても大丈夫な温度まで下がったら障壁を解除する。


「はい。これで終わり。はいっ撤収〜」


ここでやるべきことは終わったのでさっさと街に戻る。


調べたい事もあるし。


街に帰ってきたら一直線に図書館に向かう。


寄生茸について記述のある本を探して読んでみる。


この大陸では絶滅したとは言っていたけど。

言い方を変えればほかの大陸ではそうでも無いと言うことだ。


それがいったい何処なのか調べておきたい。


寄生茸については植物図鑑の菌類のページに記述があった。


まずは混沌大陸。この大陸では自生している地域があるらしい。


後は大陸全てが砂砂漠の大陸に存在するズレロタ帝国で管理されて育てられているようだ。


寄生茸は乾燥のすこぶる弱いらしく、砂砂漠のような乾燥地帯では胞子を撒き散らして増える事が出来なくなる。


その特性を活かして、オアシス1つを寄生茸農場にすることで養殖しているらしい。

砂砂漠が天然の防壁になってオアシスの外で増えるような事にはならないからな。


オアシス1つを寄生茸用にするなんて随分思い切った事するなと思うけど。

寄生茸の特性は厄介だけど。薬の材料としても優秀なので。

オアシスが1つ飲水として使えなくなっても問題ないぐらいの利益が出るのだろう。


この本の情報通りなら、今回あの森に持ち込まれた寄生茸は、そのどちらかから運ばれて来たものと言う事だ。


だけど。ズレロタ帝国の方は万が一が起こらないようにオアシス内で採集された寄生茸は直ぐに乾燥させて薬に加工される事になっていて、寄生茸の状態で取引される事はないようだ。


となると怪しいのは自生しているらしい混沌大陸の方になる。

邪神の生まれた土地で魔人達の本拠地と呼ばれている大陸らしいし。


今回の件も魔人の仕業の可能性が高くなったな。


と言うか魔人の被害にあっているのはここだけなのかな?


ダンジョンはここだけじゃなくて世界各地に存在しているはず。

そしてその全てが邪神の1部を核として動いているのなら、この街以外も魔人に襲われている筈だけど。


「と言う訳で、混沌大陸にチョッカイをかけに行こうと思う」


「この世界の人が聞いたら卒倒するわよ?それに、混沌大陸は魔物以外の生き物を蝕む穢れが充満しているって書いてあるけど?」


魔人に対して後手に回る事が多い理由の1つとして、魔人たちの本拠地である混沌大陸が魔物以外を蝕む穢れが充満している為。斥候を向かわせたりこちらから攻勢に出る事が出来ないからと言うものがある。


俺も当然その穢れに蝕まれる対象ではあるけど。

まぁ、どうにかなるだろう。

穢れに蝕まれる範囲外から攻撃したりとか。

聖炎を使って浄化するとか。

絶炎を使うのが一番確実な方法ではあるけど。大陸全体の穢れを消滅させる量の絶炎を作り出すには魔力が絶望的に足りない。


対象方を考えていると指輪の姿になっている理外が一瞬だけ熱くなった。

そう言えば、状態異常とかデバフとか防いでくれる効果あったね。

穢れも理外が防いでくれるってことか。

俺の事を忘れるんじゃねぇってアピールしてきた訳ね。


そう考えると、河村さんも俺の感情を魔眼で読み取ったりできて無かった訳か。


便利な効果だけど。他の効果も便利だからついつい忘れちゃうよね。


まぁ、理外のおかげで穢れについて心配する必要は無くなった。これで安心して混沌大陸にちょっかいをかけに行けるな。



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読んでいただきありがとうございます。








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