第355話
「やっぱり体を動かすのも良いね」
今日は昨日立てた予定通り森に来て薬草の採集をしに来ている。
「そうね。街と違って襲いかかってくる裏組織もいないし」
「はは……そうだねぇ」
俺を直接狙ってくる奴らはともかく、ソフィアを狙う連中は速攻消してやろうと思ったんだけど。
言い訳が面倒臭いから仕掛けられたらやり返す。と言うスタンスで排除している。
無駄にドラゴンに特攻の有る武器を用意したり無駄な努力お疲れ様って感じ。
確かにドラゴンに特攻のある武器の方が俺にダメージは与えられるみたいだけど。
致命傷になるようなダメージを受ける事は無い。
そもそも当たらなきゃ特攻のある武器は意味が無い。
当たらなければどうということはないってやつだな。
ぶっちゃけ当たったところでどうということはないけど。
「そろそろ諦めてくれるといいんだけどね……」
まだ、諦めて無さそうなんだよね…
いっその事見せしめとして裏組織をいくつか真正面から堂々と潰すか。
お前らが用意するようなちゃっちい武器じゃ特攻がついていても大したダメージは与えられないって事を分かりやすく教えてあげる為にわざと特攻武器を使った攻撃をくらったりしてるんだけどね。
無謀ってことが分からないのかな?
もしくは、依頼主が大物で1度受けてしまった依頼をキャンセルなんかしようとしたら殺させるから、止めたくても止められないとか?
どちらにせよ邪魔でしかない。
「うぁぁ〜何あれ」
地面に落ちた木の小枝が踏まれて折れる音がしたので、そちらの方を見ると全身からキノコが生えたゴブリンと目が合った。
「寄生茸に寄生されたゴブリンね。胞子を大量に浴びると身体中から茸が生えてくるらしいわよ」
うへぇ〜ヤバいキノコじゃん。
「あ〜でも薬の材料になるのか」
胞子を撒き散らす前に灰すら残さず燃やしてしまおうと思ったけど。
鑑定モノクルで確認してみたら薬の素材にもなるらしい。
「という訳でソフィア。あのゴブリン氷漬けにできる?」
寄生されてるゴブリンを倒したところで茸が胞子を撒き散らすのが止まる訳じゃないので、氷漬けにする事で胞子を撒き散らせないように出来ないかソフィアに質問する。
「そのぐらいなら簡単よ〈アイスコフィン〉」
ソフィアが魔法を使うと寄生茸に寄生されたゴブリンは長方形の氷の中に閉じ込められた。
「これで胞子を気にする必要は無いね」
氷漬けになったゴブリンをそのままマジックバッグに収納した。
自分達じゃ使い道がないしクエストをクリアする為に冒険者ギルドに行った時に売ってしまおう。
今日は大した稼ぎにならないと思ったけど。
こいつのおかげで以外とお金が手に入るかもな。
まぁ、問題は寄生茸はその性質上放置するとこの森中の生き物が寄生される可能性があるって事だね。
制限とか有るのかも知れないけど。無制限に胞子を撒き散らし続けることが出来るならネズミ算式に寄生された生き物が増えていってしまう。
「とりあえず確認が必要か」
まだ20個分のクエストをクリアできて無いけど。
これは早く確認しておかないといけないだろう。
「と言う訳で、突然申し訳ない。森でこんなのと遭遇したから、あの森では普通に出てくるものなのかなって聞きに来たんだけど」
転移を使ってギルドマスターの部屋に移動する。
「文句の1つも言いたいところだが。それがホントにあの森ででたんだな?」
「やっぱりヤバいものなんですね。何となく分かってたから急いで来たんですけど」
「寄生茸はこの大陸では既に絶滅させた茸だ。それがまた現れたとなれば胞子が広がる前に森ごと焼き払わ無ければ……」
やっぱりそのぐらいの対応をしないといけないのか。
と言っても森を焼いたら森で暮らしている野生動物に魔物が暴れ出すことになる。
それでも寄生茸が増える方が不味いって事だよな。
「森を燃やすんなら俺がやって上げようか?」
俺なら寄生茸と胞子だけ燃やすってのも出来るから、森を焼け野原にせずに寄生茸を根絶やしにできる。
それにしてもこの大陸では絶滅させたって事は別の大陸から持ち込まれたって事でしょ?
魔人かそれとも俺狙いの裏組織か……
どちらにせよ、大人しくしといてくれれば良いのに。
それにしてもこんなパンデミックを引き起こしかねない茸を使うなんて手段を選ばないって感じだな。
今後もこう言う事をしてくるならこっちから排除しに行った方がいい気がする。
俺からしたら今から燃やしに行っても良いんだけど。さすがに寄生茸が出現した事を領主に知らせたりとかやらなきゃいけないことがある様なので、森を燃やすのは明日と言う事になった
ギルドマスターは今から大変だろうし。伝えることは伝え終わったので部屋から退室してカウンターでクエストの完了報告をしてから冒険者ギルドを後にした。
表から入ってきてないのに、突然職員スペースの方から出てきたので、無駄に驚かせてしまったのは申し訳無かったと思う。
緊急事態だし、謝らないけど。
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